アプリやECサイトでの購入代金を、月々の携帯電話料金と一緒に支払えるケータイ払いサービス。ドコモは「dケータイ払い+」という名称で提供していますが、4月からバーコード/QRコードを利用した新たな支払い方法「d払い」が始まります。
ドコモは、iモードケータイの時代である1999年に、iモードのコンテンツ料金をケータイ料金と一緒に支払える電話料金合算払いを開始しました。2005年には、iD、DCMX(現dカード)といったおサイフケータイを活用した決済サービスも開始。現在、電話料金合算払いは月間で1500万人が利用、dカードと合わせた取扱高規模は、2000年度の300億円から2016度には2.6兆円まで拡大し、iモード提供から19年で90倍にまで大きくなっています。
電話料金合算払いは、スマホのアプリ内課金など、ネットのデジタルコンテンツを中心に拡大しました。2005年には「ドコモケータイ払い」でネットショッピングでの支払いにも対応。2015年12月にはdポイントが貯まって使える現在のdケータイ払い+となり、2016年度の取扱高はiモード全盛期のピークを上回る4000億円にも上っているそうです。
こうしたサービスでドコモはキャッシュレス化を進めてきているわけですが、日本のキャッシュレス決済は2割に満たない状態で、海外の半分程度の水準に留まっています。中国では「Alipay」「Wechat Pay」などのバーコード決済が最近になって急速に普及し、韓国、中国ではキャッシュレス決済が5割を超えているのにです。ただ、日本でもインバウンドの増加で、バーコード決済を導入する店舗は急拡大しています。
今回、ドコモが始める新決済サービスは、電話料金合算払いとバーコードを組み合わせたスマホ決済サービスで、すでに電話料金合算払いを利用しているユーザーや、クレジットカードの登録や利用に抵抗を感じる人を対象にしたもの。d払いという新名称は、dポイントやドコモが他社とコラボしてサービスを展開する「+d」とケータイ払いを組み合わせています。お店で支払い方法を指定するときにも分かりやすいですね。
d払いの特徴は「かんたん」「べんり」「おトク」の3つ。店頭ではアプリを起動し、バーコードを見せるだけ。代金はケータイ料金と一緒に支払われることになります。さらに、dポイントが貯まるほか、持っているdポイントを利用して買い物もできます。利用にあたって、ドコモのスマホユーザーなら申し込みは不要です。また、ドコモユーザー以外でもクレジットカードを登録するなどしてd払いを利用することができます。
支払う方法は、コンビニなどのPOSレジの場合、お金を支払う際にユーザーがスマホで「d払いアプリ」を起動し、店員がバーコードスキャナでその画面のバーコード/QRコードを読み取るだけ。バーコード/QRコードは支払いの都度、異なるものが表示されます。
リクルートが提供している「モバイル決済 for AirREGI」などを導入している店舗の場合は、タブレットのカメラでアプリ画面のQRコードを読み取ります。
サービス開始当初、d払いが使える店舗は以下の10社。もちろん、順次拡大予定です。身近なお店でもd払いを利用できるように、加盟店拡大を進めていくとのことでした。なお、ネットで提供しているdケータイ払い+の名称もd払いに変わり、ドコモの電話料金合算払いはすべてd払いとなります。d払いで支払える上限金額は、dケータイ払い+と同様、1万円から最大10万円まで設定できます。子どもは最大1万円まで。もちろん、使わせない設定にもできます。
d払いは、電話料金合算払いを利用している1500万ユーザーが利用する可能性があるので、ドコモの前田氏は「この新決済方法を店舗が導入することで顧客獲得につながる」とアピール。iPadなど市販のタブレットでも利用できるので、「FeliCaのリーダー/ライターを導入するよりも簡単で安価にできる」(前田氏)というメリットもあります。
また、ローソンの野辺氏は、「非現金決済は、明らかにレジの通過スピードが違う。非現金で買い物をしてもらうことは、ローソンにとってお客さんの数が増えたり、購買喚起につながったりというメリットがある。また、日々、小銭を紙幣に変えて口座に入れるという業務がコンビニオーナーの負担になっている。24時間営業なので、現金が多いと防犯上のリスクも高い。非現金率を高めることはコンビニにとって大きな意味がある」と期待を寄せました。
バーコード決済というと、中国などでは露天のお店や個人間送金でも使われています。d払いでの具体的な対応予定は示されませんでしたが、「中小のお店とともにニーズはあると思うので、検討してはいる。キャッシュレス化推進の中で検討を進めていきたい」と前田氏は語りました。
また、訪日外国人が日本でd払いを使う、あるいは日本人が海外でd払いを使う、ということも、現時点で予定はないということでした。ただ、2020年には東京オリンピックが開催され、多くの外国人が訪日します。今後、そうした人たちも利用できるサービスに成長することが期待されます。
ちなみに、おサイフケータイやApple PayなどでiDを利用している人が、無理にd払いのバーコード決済に変える必要は特にありません。おサイフケータイの方が素早く支払えますし、dポイントについては、iDの方が有利な部分もあります(d払いの場合は、リアル店舗で使うと200円につき1ポイント。iDは100円につき1ポイント)。
現時点では、クレジットカードを敬遠する人がキャッシュレスで支払いができること、ケータイ料金と一緒に支払えることがメリットです。ともあれ、いま注目のバーコード/QRコード決済は簡単・便利なサービスであることは間違いありません。