明日4月2日にアユートから発売されるJH Audioのユニバーサルイヤホン「Layla II」、「Roxanne II」、「Angie II」の3機種を、発売前にお借りすることができたので、アステル&ケルンのハイレゾ対応ポータブル音楽プレーヤー「AK380 Copper」と組み合わせて試聴してみました。
オーディオ界最強の3姉妹!? JH Audioから約40万円のイヤホン「Layla II」など3機種が登場
音質について語る前に、まず最初に申し上げておきたいのは、これらの製品がいずれも超高級製品であるということ。Layla IIが39万9980円、Roxanne IIが26万9980円、Angie IIが18万9980円、そしてAK380 Copperが54万9980円と、4つ合わせた総額は140万円以上にもなるのです!
大型スピーカーやフルサイズのシステムオーディオの組み合わせなら100万円を超えることは珍しくはありませんが、ポータブルオーディオでこの価格はあまり例がありません。近年、ヘッドホンやポータブルプレーヤーの高級化が著しいですが、そのなかでも群を抜いているといえます。
片方12ドライバー搭載という超絶仕様
まず簡単に、製品のスペックからご紹介しましょう。Layla II、Roxanne II、Angie IIの3姉妹は、いずれも複数のカスタムBA(バランスド・アーマチュア)ドライバーを搭載したマルチBAイヤホンとなっています。ドライバー数は、Layla IIとRoxanne IIが計12基(低域×4、中域×4、高域×4)、Roxanne IIが計8基(低域×2、中域×2、高域×4)です。
第2世代モデルの特徴として、いずれもフルメタルボディを採用しており、Layla IIがチタン製のボディとベゼルのフルチタン仕様、Roxanne IIがチタンベゼルとアルミボディ、Angie IIがアルミ製ボディとベゼルとなっています。
AK380は、256GBの内蔵メモリを搭載し、PCM 384kHz/32bitとDSD 11.2MHzまでのハイレゾ音源に対応したポータブルプレーヤー。このAK380 Copperは、本体に銅を採用していることが特徴(通常モデルはジュラルミン素材)。持ってみるとズシリと重く、オーディオ機器というより、銅のかたまりのような存在感を漂わせています。
宇多田ヒカルを超高級イヤホン&プレーヤーで聴く!
試聴のために用意したのは、宇多田ヒカルの名曲「First Love」のハイレゾ音源版(96kHz/24bit)。これをAK380 Copperで再生し、Layla II、Roxanne II、Angie IIで聴き比べてみました。
まず最初に聴いたのは、3姉妹の末っ子Angie II。First Loveはいわずとしれた名バラードですが、これをAngie IIで聴くと、低音の迫力にド肝を抜かれます。
1番のサビに入ったあたりからバスドラムが鳴り始めるのですが、このドン、ドドンが、尋常じゃなく重い。一般的なイヤホンが壁を軽くノックするような「ドン」だとすると、Angie IIは壁を全力で殴ったかのような「ドゥンッッ!」という深く沈む低音を鳴らします。
お手ごろ価格の低域強調イヤホンの場合、低音が強調されるあまり中高域が負けてしまうことが多々あるのですが、Angie IIは中高域が低域にマスキングされることなく、それぞれの楽器やボーカルが自然なバランスで聴こえます。パワフルなのに、破綻しないバランスを保っているところに、超高級イヤホンの実力を感じました。
バランスよりもノリ重視のド派手なサウンド
続いてRoxanne IIにチェンジしてみると、さっきまでAngie IIの低域に驚いていたのを忘れるくらい、さらに強力な低音を聴かせてくれます。
Roxanne IIは低域だけでなく高域にも主張が感じられ、Angie IIよりもきらびやかで派手な印象。Angie IIが保っていた絶妙なバランスをあえて1歩踏み外したような、調和よりもノリを重視したサウンドに仕上げられています。
First Loveのようなしっとりした曲ではややうるさい感じにも聴こえますが、アップテンポの曲では、他では聴けないような迫力を味わえます。同じく宇多田ヒカルの「Movin’ on without you」のような打ち込み系や、ロック系の音楽をよく聴く人にオススメです。
最上位のLayla IIは予想を裏切るサウンド
最後に残ったLayla IIを手にしたとき、「Roxanne IIをも超える超低音を鳴らすのか…?」と期待しながら聴いてみると、予想を裏切るようなまとまりのあるサウンドに、また驚きました。Layla IIは、どちらかというとAngie IIをブラッシュアップしたようなバランス重視タイプで、Roxanne IIとは異なる方向性にチューンナップされています。
下位モデルのAngie IIとの違いを感じるのは、その解像度の高さと音場の広がりです。各楽器の音が団子にならずしっかり描き分けられており、歌っているステージが大きくなったような空間の広がりを感じられます。ボーカルの違いも顕著で、Layla IIでは宇多田ヒカルの声にしっとりしたツヤがのり、コーラスとのハーモニーが美しく響きます。最高級クラスの貫禄を感じさせる、ワンランク上の音質です。
3姉妹とはいいながら、「頭脳明晰で物静かな長女」、「元気でやんちゃな次女」、「バランス感覚のとれたしっかりものの三女」というように、各モデルごとに異なる個性を備えたイヤホンですので、ぜひ実際に試聴して、好みの音質を確認して頂きたいと思います。
いずれのモデルも手軽に購入できる価格ではありませんが、「いつかはクラウン」のように、「いつかはLayla IIやRoxanne II」といったレファレンスモデルがポータブルオーディオ分野にも登場したことで、ポータブル市場がさらなる発展を遂げることを期待したいですね。
【URL】
アユート http://www.aiuto-jp.co.jp/
Layla II http://www.iriver.jp/products/product_125.php