厚生労働省が2015年10月末に発表した「新規学卒就職者の在職期間別離職率」を見ると、大学卒業後3年以内に会社を辞めた人の割合は、32.3%となった。こうした社会人経験2~3年で辞めた人の中には「第二新卒枠」で転職を考えている人も多いだろう。
実務経験の少ない転職希望者を採用する枠として「第二新卒枠」を設けている企業は最近多い。しかし、この第二新卒枠を狙う転職活動は注意しないと様々な落とし穴が潜んでいる。『人事が拾う履歴書、聞く面接』(佐藤留美・著/扶桑社・刊)の中から、その実態をみていこう。
第二新卒は普通の転職とは違う
そもそも普通の転職とは前職で培った実務能力や人脈など、キャリアを買われての「即戦力」としての採用。一方、第二新卒は社会人としてマナー研修を終えた新卒という扱いなので、即戦力であることは期待されておらず、あくまでも「新卒扱い」なのだ。本著では、3年の社会人経験があったとしても第二新卒枠で入社すれば3年間の経験はすべてチャラになり、入社後はその会社の新卒者の最後尾に並ぶことを認識してほしいとすらある。
この普通の転職との違いが分からず、第二新卒枠で自分のキャリアをウリにしようと面接に臨んでいる人が後を絶たないという。第二新卒枠の面接にスキルやノウハウの話は不要なのだ。
第二新卒を成功させる鍵
人事担当いわく、第二新卒は当たりはずれが多いのだそう。実力や実績がないのにプライドばかり高い、仕事を選んだり上司にかみつく…。こういったタイプは、どこの職場でも居づらくなり転職を繰り返す人になりやすい。当たりはずれを見分けるためにも、人事担当は面接でじっくり「退職理由」を聞くという。
「今の会社にいても成長できない」「周囲に目標となる人間がいない」という今の会社や上司を出す、ネガティブな退職理由はNG。本音はそうであっても、面接の場であえて正直に話す必要はなく、大事なのは「前向きさ」を伝えること。「実は御社をずっと目指していました。」など、あくまで自分の夢やキャリアアップを叶えるための転職だということを強調して話すことがポイントなようだ。
第二新卒の面接でのアピール法
人事担当は、前出の「転職を繰り返す人になるか」以外にもうひとつ気にしていることがある。それは「前職場で染み付いた社風と自社の社風のミスマッチ」がないかどうかである。一般的に人は半年で社風が染み付くらしい。週の初めの仕事が、掃除や上司へのお茶出しから始まる会社もあれば、朝礼で一発芸を求められる会社もある。当人が許容・順応できる範囲であれば問題ないのだが、電話の受け答えや会議の進め方など、業務に関する細かな作法がそれぞれの会社に存在するのだ。
前職のやり方を引きずってしまい、新しい職場に馴染めないという第二新卒でのミスマッチを避けるためにも、応募する前に事前にHPなどで社風を調べることはもちろん、面接では「自分は前の会社に染まっておらず、柔軟性に富んでおり、応募している会社のやり方にも馴染めそう」といったことをアピールするのが吉のようだ。
第二新卒での転職活動に限らず『人事が拾う履歴書、聞く面接』には、面接で聞かされると採用者がガッカリする話や、残念な履歴書の共通点など就活生には目からウロコの情報が盛りだくさん。エントリーシートや履歴書を書く前に、ぜひチェックしておきたい一冊だ。
(文:フムフム編集部)
【文献紹介】
人事が拾う履歴書、聞く面接
著者:佐藤留美
出版社:扶桑社
就活マニュアルを必死に読み漁り、それに従って何社もエントリーしているのに、内定がもらえない―。その人は、企業が「本当にほしい」人材を勘違いし、捨てる履歴書を書き、聞きたくもない面接での受け答えをしているかもしれない。多数の入社希望者の中から選ばれ、内定を勝ち取るにはどうすればいいか?これまで100人以上の人事・採用担当者に取材を行ってきた著者が採用試験の舞台裏をまとめ綴った。就活マニュアルには、絶対に書いていない“答え”が見つかる!