ファッション
2016/4/2 21:32

【バーゼルワールド2016レポート】会場で見つけたゼンマイ仕掛けの超絶ウオッチ

少し前、東北芸術工科大学の学生による卒業制作「書き時計」(正式作品名はplock[プロック]と言うそうです)がネットで大いに話題となっていましたね。こうしたユニークな動きをする時計を、時計の本場スイスで、超一流の時計師が作るとどうなるか。バーゼルワールドの会場で見つけたギミックウオッチの動きをご覧ください。

 

扇型のダイアル部分で時刻を計測する機構を持つ「Cylus KLEPCYS MOON」

Cylusというブランドが作ったKLEPCYS MOONは、扇型のダイアルの終点まで行くと、瞬時に始点へと戻り時刻を計測する「レトログラード」機構を応用したもの。右上にあるのは日付表示で、9日から10日へ日付が変わる際にキューブが下へ戻ると同時に数字が0から1に切り替わります。文字盤の中央が秒表示で、その外周が分針。さらにその外側には同じくレトログラード運針する時針となります。ゴールドの球は、ムーンフェイズ表示です。価格はチタンケースのもので1200万円超。

 

ガラス管の中を液体が侵食していく様子がわかるHYTの新作

次は、すべての機械にとって大敵である「液体」を時針代わりにしてしまったHYTの新作。リューズを使って分針を早送りします。マットブラックの液体がどんどんガラス管の中を侵食していく様子がわかりますでしょうか。こちらのマットブラックの液体、終点まで到達するとゆっくり始点まで戻っていきます。ガラス管の中には、マットブラックと無色透明の2色の液体が入っていてその圧力バランスをふいごで調整しながら時間を示しているそうです。本機ではマットブラックですが、違う色もあります。ただ、色を変えるだけでも相当な研究期間が必要だそうです。もはや時計の開発ではないような……。価格はフルチタンで3000万円前後。

 

石油採掘の機械の動きを表示の一部に採用したモデル

こちらは石油採掘の機械の動きを時刻表示の一部に取り入れた時計。秒目盛りがついたドラムパーツはオイルタンクのイメージとのこと。いかにもアラブの石油王が喜びそうだと思っていたら、実際に中東系で人気があるそう。価格は3120万円

 

蓄光塗料が練りこまれたケースが暗闇で発光する「ディートリッヒ OT-1」

一旦、機械の構造から離れましょう。こちらは近年増えてきているカーボンケースを使ったディートリッヒのOT-1ですが、新作のケースは蓄光塗料のルミノバが練りこまれていて、暗闇に入れると発光します。既存モデルは、もちろん光りませんでした。同様のケースをフランク ミュラーが1月のWPHHで発表していましたが、ディートリッヒの方はお値段が約30万円。たぶん6分の1以下ではないでしょうか。

 

最後は、機械式時計に詳しい人ならわかる「本当にこんな操作して大丈夫!?」な2本をご紹介します。

 

時針が大胆に動くワールドタイムウオッチ「ブレゲ オーラムンディ」

1本目は、名門中の名門ブレゲのワールドタイムウオッチ「オーラムンディ」。今年はギョシェダイアルが出ました。8時側のボタンを押すと、都市名ディスクと時針、24時間針が一度に切り替わります。時針がとくに大胆に動きますが、この時計743万円するんですよ。

 

機械式時計のなかでも特に複雑な機構を持つ「アンジェラス U30 トゥールビヨン ラトラパンテ」

2本目は、アンジェラスのU30 トゥールビヨン ラトラパンテ。スプリットセコンドクロノグラフは、機械式時計の機構のなかでも特に複雑なため注意深く操作しないと故障の原因になるのですが、本機ではどんな順番でボタンを押しても壊れる心配がないとのこと。機構の複雑さを知っているだけに、ハラハラしながら操作しました。価格は668万円。買える買えないは別にして、安いと思います。