連載コラム「自分会議のススメ」 第2回:新年に立てた2018年の目標を再建する方法
今年になってからはやくも2か月が過ぎました。そろそろ「もう2月も終わりか……。いつもの忙しい日々に戻ってしまい、新年の誓いはどこへ行ったことか」と嘆き始める季節かもしれませんね。過ぎた日をコントロールすることはできませんので、嘆いている暇があればコントロールできる明日からの仕切り直しに目を向けましょう。“目標の再建”はいつから始めたっていいのですから。このタイミングで改めて目標を見直してみませんか?
目標実現に向けて、もしあまり進んでいないということがあれば、次の点に課題があるかもしれません。様々なクライアントを見ていると目標設定の課題点はたいてい3つに集約されます。
1つ目は、立てた目標が現実離れし過ぎていることです。高すぎる目標に打ちひしがれてしまう状態。現在の年収が700万なのに、いきなり1500万を目指しても逆にすぐに挫折してしまいます。
2つ目は、他人への見栄えを考えた目標です。こんな目標を公言すれば格好いいかな、世間体はいいかなと思って目標を立ててしまい、本音ではあまり熱が入っていないパターン。
3つめは、目標が見いだせずこのままでいいのかなと焦燥感にかられるパターンです。いずれも挫折してしまうリスクがあります。
そこで、挫折を乗り越えるために、2018年の“目標の再建”方法ベスト3をご紹介します。
①「スモールゴール」の設定
クライアントを見ていると、目標達成の期限を決めて逆算式に行動計画を立てるタイプばかりではありません。あまり先のことは考えずに、目の前のことに集中しているうちに目標の輪郭が浮かび上がってくる“積み上げ式”のタイプの人もいます。
強固な目標がない(見いだせない)場合は、目の前のことに集中する積み上げ式に切り替えるのも1つの手です。目の前の小さな目標は「スモールゴール」と呼び、少し先に手が届くレベルの感覚でOKです。
たとえばあなたが今年は“なんとなく”英会話能力をアップさせたいとします。しかし、いきなり英会話塾に入ったり、TOEICの勉強を受けても挫折する可能性があります。その前に、自分が好きなファッションで英語に親しもうと考え、海外のファッション雑誌で英語を目にするところから慣れさせるのはいかがでしょうか。
スモールゴールとして、海外のファッション雑誌を毎月1冊「眺める」というだけでもいいのです。全部訳して熟読となるとまた挫折のリスクがありますので、あくまでも眺めるだけという点が肝心です。そのうちに、自分の目標は英語力アップではなく、海外のファッション事情に通じたプロになろうという願望が芽生えてくるかもしれません。先が見えないときは、先のことばかり考えずに、目の前の小さな目標に視点を切り替えることが有効です。
②「直感」で目標を改めて自分に問い直してみる
新年に立てた目標は本当に自分がやりたかったものだろうか? 冷静になって自分の気持ちをノートなどに書き出してみてください。その際に大切な自問自答の言葉は「本当は?」という枕詞をつけて本心を問い直すことです。
副業で稼げるものを1つ見つける、コーチング能力を習得する、プログラミングを勉強するなど様々な目標も、それって本心でやりたかったことですか? みんながやっているから、人に褒められるから、時流を考えると必要そうだからという雑念が入ってないでしょうか? 改めて自分に「本当は?」と問いかけてみましょう。
そのうえで、1番目に頭に出てきたことをそのままノートなどに書き留めておいてください。2番目に頭に浮かぶことはもう1人の批評家の自分で論理的にその気持ちを評価し始めてしまいます。1番目に思い浮かんだものが本当の自分(直感)だと捉えると良いでしょう。
作家の村上春樹さんも、ずっと作家になりたいという目標を持っていたわけではないようですよ。神宮球場でプロ野球観戦中に突如、直感で今後は小説を書こうと思い立ち、ジャズ喫茶を経営する傍ら、毎晩キッチンテーブルで書き始めたと自著のなかでも明かしています。自分の直感に素直になる目標設定こそ、真の目標設定といえるかもしれません。
③「やりたいこと」ではなく「やりたくないこと」も明確にする
目標と聞くと、すぐに「やりたいこと」ばかり思い浮かべることだというイメージがありますよね。しかし、自分の方向性を明確にしていく意味でも、「やりたくないこと」を明確にしておくことも大切です。
あなたが仮に営業職でトップセールスになりたいと思っていたとしましょう。でもそれは、顧客に訪問する営業で商談やコンペで無敗を目指しますか? それともWEBで集客してWEB集客でNo.1を目指しますか? あなたが副業を考えているとして、週末に他者向けのコーチングをしますか? それとも趣味でつくったモノをネット通販で売ってみますか? やりたくないことはどちらでしょうか。
どちらが正解というのは全くありません。やりたいことも、状況の変化で気持ちがブレてくることもあることでしょう。そこで、自分の目標や自分の気持ちを確認する意味でも、「やりたくないこと」を先に明確にすることで2018年自分にとってベストな目標を描き直すのです。もし「やらないリスト」をつくるとすれば、どんな内容を書きますか?
ぜひ、新年に立てた目標にしばられすぎず、とらわれ過ぎずに、のスタンスを大切にしてください。目標をバージョンアップして「進化」させていけばよいのです。連載第1回でお話しした「じぶん会議」の時間を確保し、2018年の羅針盤を見直してみてください。
【著者Profile】
鈴木 進介(すずき・しんすけ)
思考の整理家。経営コンサルタント・(株)コンパス代表取締役。1974年生まれ。思考の整理術を使った問題解決支援という独自の手法をとる。25歳で起業後、「経歴なし・金なし・人脈なし・ノウハウなし」の4重苦からスタートしたため、3年以上まともに給与が取れずに挫折続きの生活を送る。その後、思考を整理すれば問題の9割が解決していることに気づき、思考の整理術に開眼。以来、10年以上にわたり研究を独自に重ねて体系化。近年は「思考の整理家」として講演活動や人材教育などにも力を入れている。
http://www.suzukishinsuke.com/
[近著]
「1日10分 「じぶん会議」のすすめ」(WAVE出版)
http://www.wave-publishers.co.jp/np/isbn/9784866210254/
「1分で仕事を片づける技術」(あさ出版)
http://www.asa21.com/book/b325627.html