ネコという生き物は、いまいちよくわからない。そう思っていました。なぜなら、昔飼っていたネコが、そうだったからです。
抱っこされるのを嫌がった我が家のネコ
20年以上前、実家で飼っていたネコ。名前はポン太。ある雨の日に弟が拾ってきました。まだとても小さくて、かわいらしいネコでした。
しかし、捨てられていたネコだからか、あまり人に懐くということがありませんでした。まだ拾ってきたばかりのころは、僕の部屋にやってきては、テレビの上に飾ってあった小さなサボテンと戦っていました。
抱き上げようとしたり、触ろうとするととても嫌がります。ポン太が大人になってからも、あまり抱っこをした記憶がありません。ネコごとに性格は違うのでしょうが、あのつっけんどんな感じは、老衰で死ぬまであまり変わりませんでした。
抱っこを嫌がるネコは臆病
当時は、「まあ、そういう性格なのかな」と思い、こちらもポン太に積極的にかまうことはあまりありませんでした。
しかし、『ネコの気持ちは「見た目」で9割わかる!』(加藤由子・著/大和書房・刊)を読んでみると、ポン太がどんな気持ちだったのか、ちょっとわかった気がしました。
とりあえず抱っこされるのを嫌がっていましたが、そういうネコは臆病なんだそう。
人がネコの体を触ろうとすると嫌がるネコは、どこか臆病なところがあるのです。だから人に触られるのが不安なのです。
『ネコの気持ちは「見た目」で9割わかる!』より引用
また、家に来たばかりのころは、トイレ以外の場所でよくおしっこをしていました。特に僕のベッドで……。どうやらこれは、不安を感じていた模様。複数飼いの場合でストレスを感じている、家の中の雰囲気が悪いなどの理由で粗相をしてしまうことも。
ポン太の場合は、生活環境が変わったストレスだったのかもしれません。ある程度大人になったら、粗相はまったくしなくなりました。
ネコは室内飼いでもまったくストレスを感じない
ポン太は、基本室内飼いでした。よく窓から外を見ていたので、外に行きたいのだと思っていました。しかし、どうやらそうではなさそうです。ネコは、縄張りを作ってそこで生活する動物。そのため、縄張り内に必要なものがすべて揃っていれば、何もストレスを感じない生き物のようです。
飼い主の家のなかには必要なものがすべてそろっています。安全に関しては文句なし、食糧も飼い主が必ず用意してくれます。トイレも昼寝場所も作ってくれます。つまり飼い主の家は、ネコの縄張りとしての条件を完璧に満たしています。
『ネコの気持ちは「見た目」で9割わかる!』より引用
ネコにとっては、「わざわざ外に出る必要などない」のです。
一度、ポン太が窓から外に出てしまったことがありました。しかし、ポン太は家の中から見える範囲しか移動しませんでした。つまり、自分が安全だと思うところ(=飼い主から見えるところ)にしか行かなかったのです。
やっぱり、ポン太は臆病な気質だったのでしょうね。
今だにわからないポン太の性格
あまり家族に慣れることがなかったポン太。当時僕は大学生でしたが、家によく友だちや先輩が遊びに来ていました。
ポン太は、お客さんが来ると様子を見に来て、敵意むき出しになるのがわかっているので、誰か来るときは弟の部屋に隔離していました。仮に、客人とはち合わせてもフーフー言って威嚇はしますが、抱きかかえて移動させます。
しかし、大学の先輩のうちの一人、および後輩の一人に対しては、手がつけられなくなるほど好戦的になるのです。この理由は今でもわかりません。
ちなみにこの二人、同時期に飼っていた犬にも吠えられまくっていました。うちの犬は基本的に愛想がよく、人が来ると一応一声吠えたりしますが、撫でられようものなら完全服従体勢に入るような性格でした。
それにもかかわらず、この二人がやってくると狂ったように吠えます。一応玄関に繋いでいたので、噛みついたりすることはありませんでしたが、今にも噛みつきそうな勢いではありました。
二人の共通点といえば、「骨太でガタイがよい男」というところ。とにかく、この二人は我が家の犬にもネコにも嫌われまくっていました。
いろいろ協議した結果、「この二人はうちの犬ネコに同類と思われている」ということになりました。つまり、人間ではなく動物と認識されているのだと。
『ネコの気持ちは「見た目」で9割わかる!』には、ネコの行動から気持ちを読み取る方法が100個書かれていますが、上記のことに関してはわからずじまい。ぜひ、次回作ではこの点についての答えを教えていただきたいと思います。
(文:三浦一紀)
【文献紹介】
ネコの気持ちは「見た目」で9割わかる!
著者:加藤由子
出版社:大和書房
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