恋愛中には、しばしばとある疑問が湧いてきます。それは「私はこの人のことを本当に好きなんだろうか?」という単純な、だけどとても深い自問自答です。「本当に好き」とはどのような状態なのでしょう? それについて明快な答えを、医学博士の森下克也先生が出してくださいました。
恋愛は本能で
森下先生が書かれた書籍『運命の恋を長続きさせる本』(学研プラス・刊)には「本能」という言葉が頻繁に出てきます。ヒトはそもそも本能で恋をする生き物なのだ、というのが先生の説なのです。それは確かにもっともで、だけど私たち現代人が忘れがちな指針です。近年、恋愛や結婚の相手を選ぶとき、ついつい自分との釣り合いを優先してしまいがちだからです。
結婚情報サイトでも、お相手とマッチングさせるために、かなりの質問に答えなくてはなりません。年収や身長、共働きはOKか、タバコは吸うか、お酒は飲むか、子どもは欲しいか、ペット飼育はOKか、相手の両親との同居はあるのかないのか、出身地はどこか、趣味は何か、などなど驚くほどの多くの項目を聞かれ、より諸条件が一致した人がマッチングされますが、これは本能とは真逆の方法です。
自分の本心が見える
本の中で森下先生は、相手を真実愛しているかどうかについて、究極の問いを投げています。それは「相手が寝たきりになっても、あなたは愛せるか」というものでした。
「あの人」が寝たきりの病人になったと想像してください。1日中ベッドに横になってピクリとも動かず言葉も出ず、ただ天井をじっと見つめているばかりの植物状態です(略)。あなたはそのおむつを取り替え、下半身の汚れをきれいに拭いてあげることができますか?
『運命の恋を長続きさせる本』より引用
この問いに「もちろん」と答えることができる人は、相手のことを愛しているのだとのことです。大好きな人のものは分身のように感じて、汚くは思えないのだとか。確かに、お母さんは自分の子どものオムツを躊躇なく替えることができますし、それも真実愛しているからこそためらいもなくできることなのでしょう。
本能に正直に
私自身、女友達に「あの人に告白されたけど、迷ってるの」などと相談された時は、いつもこう答えています。「その人と手をつないだり、キスしたりできる?」と。そう聞くと、彼女らは瞬時に判断できるのです。「あ、ムリだわ。ありがと!」とスッキリした顔でそう言う人もいれば「全然OK!付き合ってみるね!」と言う人もいます。相手に触れることを想像した時に本能的に拒否感があるかどうかは大切な基準だと思っています。
森田先生によると、相手に触れたい、という直感は、相手を喜ばせたい、尽くしたいという感情につながるからなのだとか。その人に何かしてもらいたい、と求めてばかりいると険悪になりやすいですが、その人に何かしてあげたい、という思いが出てくる人を選ぶべきなのだそうです。そうすればごく自然に相手に尽くすのでいい関係が築ける、という説明は、非常に納得できるものです。本能的に相手に尽くすので、義務でも苦でもないのですね。
条件というリスク
自分の本能を重視せず、単なる条件だけで相手を選ぶと、その条件がズレた時に、あっけなく破局を迎えてしまいかねません。例えば相手の収入を一番の条件にした人は、相手が貧しくなったら、もしくは医師限定で相手探しをした人は(結構医師限定で探している女性、多いんですよ)、相手が医師じゃなくなったら、離婚を選択してしまうかもしれないのです。
自分の本能というものは、恋愛サイトでマッチングすることは難しく、おのれの直感を鍛えていくしかありません。ビビビときた、という瞬間を逃さないよう、意識を尖らせていたいですね。
【著書紹介】
運命の恋を長続きさせる本 うまくいく愛、ダメになる愛の心理学
著者:森下克也
出版社:学研プラス
どうすれば「運命の恋」と出会い、「しあわせな愛」を続けていくことができるのか? 恋人や夫など、パートナーとの関係に問題を抱えた患者との対話を通じて見えてきた、うまくいく愛、ダメになる愛の心理学を、実例や具体的なアドバイスとともに紹介する。