ファッション
ホン・モノ・ケイカク
2018/3/6 17:00

「ナイロン素材=安物」という常識を覆してしまった「リモンタナイロン」は深みのある色合いと滑らかな肌触りが特徴

ホンモノ素材辞典vol.8
今回のホンモノ素材辞典は、実用性だけでなく、高い質感をも兼ね備えている「リモンタナイロン」です。

 

有名ブランドがバッグに採用。一躍有名に

「リモンタナイロン」とは、生地の名前ではなく「リモンタ社が手がけるナイロン素材」の総称で、深みのある色合いと滑らかな肌触りが特徴です。

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リモンタ社は、イタリアのロンバルディア州レッコレッコ県南西部にあるコスタ・マズナーガで、1893年に創業を開始した歴史ある繊維メーカーです。繊維産業の盛んなコモからもほど近いこの土地で、ジャカード織の布やタペストリーなどを生産していましたが、徐々に事業を拡大。衣料品や家具といった、幅広い分野の素材を手がけるようになりました。

そんなリモンタ社が一躍名を馳せたのは、1970年代後半のこと。バッグで有名なイタリアの一流ブランド・Pが、同社のナイロン生地「ポコノ」を採用したのがきっかけでした。主にテントやパラシュートといったアウトドアやミリタリー製品に用いられていたポコノは、薄くて軽量、丈夫なうえに防水性も併せ持つという、高い機能性を誇りました。しかも、細い繊維を緻密に織り込んだポコノは、独特の光沢と、シルクのような手ざわりのよさまで兼ね備えていたのです。

以来、同社の高い技術と幅広い製品バリエーションは世界的に知られることとなり、さまざまなブランドが採用。ビジネスバッグを中心に、あらゆる製品へと活用されています。

リモンタナイロンのバリエーション

リモンタ社は、ポコノ以外にも数多くの製品を世に送り出しています。その中から、代表的なものをご紹介しましょう。

デービス
リモンタ社の主力商品のひとつ。高密度で水が染み込みにくく、ハリの強さも絶妙なため、バッグのアウターに最適です。同社の生地全般に言えることですが、イタリアンレザーにも通じる発色のよさは、さすがの一言。豊富なカラーバリエーションが楽しめます。

ダボック
これも、リモンタ社の主力商品で、デービスをベースに、コットンなどの素材をボンディング(貼り合わせ)加工したもの。デービスのメリットに加え、ボンディングする素材によって異なった風合いが生まれます。

ティワ
リモンタ社の技術が注ぎ込まれたナイロンタフタです。タフタとは、もともと細かなウネのある平織地の薄い絹織物のこと。それをナイロンと微量のポリウレタンによって高密度に織り上げることで再現しています。非常にソフトで、若干の撥水性もあります。

ジョージア
まるで厚手のコットンのような質感を持つジョージア。ナイロンなので、厚みがあっても軽量です。そのうえ、キャンバス地のように織り目が深く、汚れにくいのも特長です。

実用性だけでなく、高い質感をも兼ね備えていることから、とくにバッグにおいて、皮革素材=高級、ナイロン素材=安物という常識までも覆してしまった「リモンタナイロン」。ぜひ一度お手にとり、その魅力を堪能してください。

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