今年で5回目の開催となるアニメの祭典「AnimeJapan 2018」が、東京ビッグサイトで3月22日より25日まで開催されています。「アニメのすべてが、ここにある」をテーマに、話題の作品が一同に集結するアニメファンならずとも必見のイベント会場から、特に注目したいブースのレポートをお届けします、
注目はNetflixブース
広い会場のなかでもひときわ目立っていたのが、映像配信サービス「Netflix」のブース。今回、AnimeJapan 2018への出展は初めてとのことですが、2018年1月5日より配信開始された「DEVILMAN crybaby」をはじめ、プロダクションI.G.が手がけた「B: The Beginning」、ボンズによる「A.I.C.O. Incarnation」といった話題作が体験視聴できるとあって、大勢の人でにぎわっていました。
3作品の視聴コーナーには、東芝レグザの4K有機ELテレビのフラッグシップモデル「55X910」が設置され、Netflixの提供する4K/HDRのハイクオリティな作品の魅力を、あますところなく視聴できるようになっています。
Netflixがオリジナルアニメを作るワケ
今回は、Netflixブランド広報の松尾 崇ディレクターに、同社がAnimeJapan 2018に出展した狙いなどを伺いました。
――今回、AnimeJapan 2018に出展されたのは、どういった目的があったのでしょうか?
松尾さん(以下、敬称略):Netflixでは、今年の1月5日より全世界で配信を開始した「DEVILMAN crybaby」をはじめ、多数のアニメ作品を配信しています。また、プロダクションI.G.、ボンズの2社と包括的契約を結び、「B: The Beginning」、「A.I.C.O. Incarnation」といったオリジナルのアニメ作品の配信もスタートしました。国内外のアニメファンに、Netflixはアニメ作品にも力を入れているということをアピールするために出展させて頂きました。
――初出展にもかかわらず、かなり大規模なブース展開をされていますね。
松尾:新規参入なので、出来るだけ目立つようにしたいと思いまして(笑)。ほかのブースのように作品を前面に押し出すことも考えたのですが、まずはNetflixというブランドを認知してもらいたいと考え、このような展示になっています。
――展示のコンセプトを教えてください。
松尾:Netflixは世界中でグローバルなサービスを展開していますが、ユーザーが利用している視聴デバイスを調べると“テレビ”が半分以上を占めており、大画面で見られている傾向にあります。我々は作品のクオリティにこだわっており、4K/HDRを取り入れた美しい映像を大きな画面で見て頂きたいと考えていますので、ブースでも実際に自宅のテレビで見るような形でサービスを体感して頂けるようにしました。
――Netflixは4K/HDRなど最新の映像技術をいち早く取り入れていますが、なぜそこまで映像のクオリティにこだわっているのでしょうか?
松尾:Netflixが映像のクオリティにこだわっているのは、10年後も作品が見られることを想定しているからです。現在の基準からするとオーバースペックに感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、今後4KテレビやHDR技術が普及していけば、やがては当たり前のものになっていきます。いまのうちから高いクオリティの映像を制作しておけば、10年後でも満足して頂ける品質を保てると考えています。
――視聴コーナーでは東芝の有機ELテレビを使用されていますね。
松尾:東芝さんは、国内で初めてテレビのリモコンにNetflixボタンを搭載して頂いたことなどもあり、以前からお付き合いをさせて頂いておりました。また、以前に「シドニアの騎士」という作品で、アニメで初めてHDR表現を取り入れたのですが、そういった映像クオリティへのこだわりを再現して頂ける良きパートナーと考えております。
――さきほど挙げられた「B: The Beginning」や「A.I.C.O. Incarnation」のように、近年オリジナルのアニメ作品制作に力を入れられているのはなぜでしょうか?
松尾:Netflixは昨年、実写ドラマなども含め、グローバルで400超のオリジナル作品を配信しました。2018年はさらに増えて、700超のオリジナル作品を配信する予定です。例えば韓国の韓流ドラマやインドのボリウッドなど、各国それぞれ得意なジャンルの作品を制作しており、それらが全世界で視聴されています。日本で制作した実写ドラマやバラエティ作品も同様に世界中で見られていますが、日本のアニメは特に人気が高く、オリジナル作品の制作にも力を入れていきたいと考えています。
――2016年のリオ五輪の閉会式での日本のプレゼン映像でも、アニメキャラが多く登場して観客を沸かせていましたね。最後に、Netflixブースのなかでもココは見てほしい、という注目ポイントなどがあれば教えてください。
松尾:本音を言えば数多くのオリジナルアニメ作品すべてを見て頂きたいのですが、なかでも「DEVILMAN crybaby」はぜひ視聴して頂きたいですね。同作品では、原作に近いストーリーや地上波テレビ放送では放送できないような過激な表現を取り入れていますが、それはエログロを含めて表現する必要があると考えた制作者の意図を尊重したためです。Netflixでは「クリエイターズ・フリーダム」というキーワードを掲げ、制作者の表現の自由を尊重していますので、地上波放送では難しい表現も可能となっているのです。
アニメをより美しく映し出す工夫とは?
また、Netflixブースに有機ELテレビ「レグザ 55X910」を提供された東芝の山内日美生さん(写真右)、三廼浩太さん(左)にもお話を伺うことができました。
――今回、Netflixブースにテレビを提供されたことについてお聞かせください。
山内さん(以下、敬称略):きれいに映す装置があっても、コンテンツがなければ意味がありません。Netflixさんでは4KやHDRといった最新の技術を使った映像を配信されており、弊社のテレビならその映像をより美しく再現できるということで提供させて頂きました。
――東芝は液晶テレビと有機ELテレビの両方を発売していますが、今回4K有機ELテレビの「55X910」を提供されているのはなぜでしょうか?
三廼さん(以下、敬称略):液晶テレビも有機ELテレビも4K/HDRの美しい映像を楽しめますが、有機ELテレビは引き締まった黒や暗部の階調表現を得意としており、今回Netflixさんのブースで視聴できる作品にマッチすると考えて有機ELテレビを選んでいます。
――東芝のテレビは以前から「アニメモード」を搭載していますが、具体的にはどのような調整を行われているのでしょうか?
山内:まずアニメの場合は、キャラクターなどが黒の輪郭で描かれていますので、コントラストをしっかり表現してキレイに見せてあげる必要があります。また、彩色されている部分やグラデーションをなめらかにしたり、配信時に発生するデジタルノイズを消したりといった調整も行います。さらに、アニメは細部まできっちり描き込まれていることが多いので、超解像処理の効き目を調整しています。アニメ作品を美しい映像で楽しみたいのであれば、ぜひ弊社のレグザを選んで頂きたいですね。
――ありがとうございました。
クオリティにこだわったオリジナル作品を発信するNetflixと、その映像をより美しく再現する東芝のテレビの組み合わせにより、これまで見たことがないほど高画質なアニメの映像表現を楽しむことができました。AnimeJapan 2018は明日まで開催していますので、ぜひNetflixブースへ足を運んで最先端の映像を体験してみてはいかがでしょうか。