本・書籍
2018/3/30 18:00

子どもの生活を脅かす「貧困」の脅威を打ち破るのに必要なこと

格差社会と言われるようになって久しい。その格差は次第に広がり、ついには「貧困」という言葉が使われるようになった。今や子どもの貧困率は13.9%である(2017年国民生活基礎調査より)。そのせいか児童文学にも貧困が登場するようになった。

 

 

 

子どものガマン

ブルースマンと小学生』(こうだゆう子・作/学研プラス・刊)という児童小説は、とてもほろにがい。主人公の男の子は小学6年生で、塾にも行かず、少年野球にも入らず、エネルギーを持て余してコンビニで立ち読みをしている。両親はあまり家におらず、おやつはカップ麺だ。

 

外壁にひびが入り、室内の壁紙の裏にはカビが生えているような古い団地に住み、両親は毎日働いているというのに生活は一向に豊かにはならない。よって少年は塾にも少年野球にも通うことができない。その費用を親が出せないからだ。本当は少年野球をしたいのに、そんな金がないと言われ、ガマンせざるをえなかった気の毒なエピソードも出てくる。

 

 

子どものお金

私の息子も短期間入っていたけれど、スポーツ少年団は結構お金がかかる。まずバットやグローブなどの道具、それからスパイクに、お揃いのチームユニフォーム。このユニフォームが高かった。長袖と半袖合わせたら2万円以上したと思う。さらに外に皆で連れ立って試合で出かける時のスポーツ自転車も用意する必要がある。

 

塾は塾でさらにお金がかかる。入塾金、テキスト代、毎月の授業料、それとは別に夏期冬期春期講習の費用がかかる。あまり成績がよろしくないと個別授業をさらに追加で勧められたり、通学用塾バッグまで購入しなくてはならない塾もある。生活がギリギリの親ならかなり厳しい。

 

 

ブルース小学生

小学生からお金のことでつらい思いをしていたら、そりゃあ厭世観も出るだろう。主人公の男の子は不登校になり、公園で弾き語りをしていたお兄さんと知り合った。彼が歌っていたブルースの歌詞が気に入り、ライブにも行くようになる。小学生でブルースとは、なんて渋いんだろう。

 

少年は、この弾き語り青年には、なんでも話せた。家が貧しく、本当は野球をしたいのに金がないからすることができないなど、小学生にして人生のつらさをグチるほどにストレスフルになってしまっているのだからかわいそうである。するとお兄さんは、そんなことで夢をあきらめていいのか? と少年に鋭く問いかけてきた。

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