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2018/4/3 18:15

予想以上の進化だ! パナ「Wおどり炊き」「ビストロ」の新作がDEWKs層に刺さるワケ

春になり、暖かくなってくるとお腹が空きますね。家で美味しい料理を作って家族でワイワイ楽しんでもいいし、お弁当を作ってピクニックに行くのにもよい季節になりました。そんな折、パナソニックが6月1日に発売する高級炊飯器「Wおどり炊き」と、高級スチームオーブンレンジ「3つ星ビストロ」の新製品セミナーを開催するとのこと。どちらもその性能には定評のあるモデルです。今回はいったい何がどう進化したのか、楽しみにしてセミナーに参加しました。

↑上写真左が「スチーム&可変圧力IH炊飯ジャー Wおどり炊き SR-VSX108」、右がスチームオーブンレンジ「3つ星ビストロ NE-BS1500」

 

今度の「Wおどり炊き」は鮮度の落ちた「乾燥米」も美味しく炊く!

まずは炊飯器のほうから見ていきましょう。今回発表された「スチーム&可変圧力IH炊飯ジャー Wおどり炊き SR-VSX8」シリーズの最大の特徴は、鮮度の落ちた乾燥米(※)を新米のようにみずみずしく炊き上げる「鮮度センシング機能」を搭載したことです。

※乾燥米……精米後に常温で2週間経過し、含水率が12%以下に落ちたお米

↑「Wおどり炊き SR-VSX8」はブラックとホワイトの2色展開で、実売予想価格(税別)は5.5合炊き「SR-VSX108」(写真)が11万円、1升炊き「SR-VSX188」が11万5000円。5.5合炊きのサイズは、幅約275×奥行き361×高さ234mm、質量約7.8kg

 

ここで重要なのは、“乾燥米”であって“古米”ではないこと。イベントにゲスト登壇した5つ星お米マイスターで、自身も米店を経営する澁谷梨絵さんは次のように説明します。

↑澁谷梨絵さんは「5星お米マイスター」や「ごはんソムリエ」など、食に関する6大資格を方。全国200箇所以上の田んぼに通い、厳選したお米を松屋銀座などの百貨店で販売します

 

「JAS法上、12月31日までに精米したお米が新米、1月1日以降の精米が古米と定義づけられている。1日違いで味に差はなく、古米でも低温でしっかり鮮度管理された貯蔵であれば、美味しく食べられます。家庭でも、できれば1-2kgで買ってきて冷蔵庫で保管し、2週間以内で食べ切るようにすれば、いつでも美味しご飯が食べられるのです」。

↑新米と古米の差は精米時期だけ。古米が美味しくないのではなく、精米後の保存状態が悪くてお米が乾燥してしまって美味しくなくなるのです

 

冷蔵庫に保管スペースがないため、どうしてもお米の乾燥が進む

しかし、共働き家庭ではそう頻繁にスーパーに行けるわけでもなく、週末にまとめ買いするため、5kg、10kgで買ってしまい、冷蔵庫に入らないからほとんどが常温保存になってしまいます。パナソニックで炊飯器の開発している女性グループ、ライスレディの塚原知里さんも、「DEWKs層(※)へのアンケートでは、9割が常温で保存しており、そうした人たちの9割が冷蔵庫にお米の保管スペースがないと回答しています」と説明します。

※DEWKs(デュークス)……Double Employed with Kidsの略で、子どものいる共働き家庭のこと

↑お米の鮮度保持には冷蔵庫保管が有効だが、そのようなスペースがないのが現状

 

↑パナソニックのライスレディの塚原知里さん。現在、ライスレディは6人いて、炊飯器を1機種開発するのに3トンのお米を炊くといいます

 

減圧の速度を圧力センサーが検知し、乾燥米か否かを見分けて調整

塚原さんによると、精米直後のお米は約14%の水分を含んでいますが、常温で2週間保存すると約12%程度まで減少し、乾燥が進んでしまうそうです。とはいえ、冷蔵庫にはお米を入れるスペースがないのが実情……。これを解決するために開発したのが、「鮮度センシング機能」です。もともと、Wおどり炊きIH炊飯ジャーには圧力をかけて高温でお米を炊き上げる機能があり、加圧・減圧を繰り返して炊飯しています。

 

その減圧するときに、新搭載の圧力センサーが減圧スピードを検知するのがポイント。新米は水分量が多く、おねばが多いので減圧速度が遅く、逆に乾燥米は水分量が少ないので減圧速度が速いという傾向があります。これを検知して「乾燥米」と判断した場合、圧力をかける時間を長くし、高温で炊き上げる時間を増やして水分の浸透を促す仕組み。これにより、パサツつきを抑え、甘みの低下を改善して、乾燥米でも新米のような美味しいご飯を炊き上げることができるのです。

↑新搭載した「鮮度センシング」の仕組み

 

↑内ぶたの中に新たに搭載した圧力センサー

 

実際に試食してみましたが、新米を標準コースで炊いたものより、乾燥米を鮮度センシングコースで炊いたご飯のほうが甘みが増しているように感じられました(筆者個人の感想です)。

↑写真では違いは分かりませんが、見た目でも①(左)の乾燥米は水気が若干なく、食感もぱさついています。②③はみずみずしく、食感もしっとりもちもちしていました。③の鮮度センシングありは、ほんのり甘みが立ち、美味しいです

 

食感炊き分けメニューが増加し、銘柄炊き分けに新ブランドが加わった

炊き分けメニューも増えました。新圧力センサーの搭載で、自在に圧力を調整できるようになったため、食感の微妙な違いを再現できるようになり、従来9通りだった「食感自在炊き分け」メニューを13通りまで増やすことができました。

↑「食感自在炊き分け」メニューが9通りから13通りに増加

 

また、50銘柄のブランド米をその特徴に適した炊き方に自動調整する「銘柄炊き分けコンシェルジュ」に、今年デビューする新ブランド2種が加わりました。宮城県の「だて正夢」と福井県の「いちほまれ」です。前出のライスレディ、塚原さんは「2銘柄を加えるために、私達ライスレディは何度も福井県と宮城県の農業試験場に赴き、開発者の方にダメ出しされながらも、一緒に炊飯コースの設計をしました。自信のコースです」と胸を張りました。

↑「銘柄炊き分けコンシェルジュ」が対応する銘柄

 

前出のお米のプロ、澁谷さんの評価も高いようです。

 

「最近のお米は水分量が多く、粘りが強いので炊くのが難しい。お米の袋には“水の量を1割ほど減らして”と書いてある銘柄もあるが、毎回同じ分量を減らすことは不可能です。その点、今回の炊き分けメニューでは、どんなお米でも水の量を変えずに誰でも美味しく炊き上げられる。この機能は非常にありがたいですね」

↑新たに銘柄炊き分けメニューに食わった宮城の「だて正夢」と仙台しそ巻、福井の「いちほまれ」と若狭湾産小鯛のささ漬け。「だて正夢」はさっぱりしてご飯ほぐれがよく、みずみずしい食感。「いちほまれ」はもちもちしていて甘みが強いです。どちらもとても美味しいお米でした

 

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