僕が子どものころなどは、捨てられた犬や猫を拾ってきて飼うというのは、割とあったことのように思う。しかし、最近はあまり捨て犬は見当たらない。猫はちょいちょい話に聞くが。
犬や猫ならば、そのまま家で飼ってしまうということはあるだろう。僕の実家にいた犬も猫も、どちらも捨てられていた。
それでは、たぬきを拾ったらどうするのが正解なのだろうか。
野性動物は飼ってはいけない
『すくすく育て! 子ダヌキ ポンタ 小さな命が教えてくれたこと』(佐和みずえ・著/学研プラス・刊)は、福岡県の獣医さんが、野生の子だぬきを育て、山に返すドキュメント。この本の中に、「野性動物を見つけたら?」というコラムがある。それを要約すると、以下のような感じだ。
まず、家で飼うことはできない。これは「鳥獣保護管理法」という法律で定められている。なので、野性の動物を見つけても基本的には放置だ。
ただし弱っている場合、ケガをしている場合は、地域の窓口に相談をして適切な方法を教えてもらう。動物病院に持ち込んだり、施設に預けたりすることになるだろう。
この本の中では、生後3日くらいの子だぬきを飼育することになるのだが、約1年後、里山へ放している。いわゆる「放獣」だ。通常、たぬきのような野性動物、しかも生後すぐのような場合、死んでしまうことが多い。しかし、獣医さんにところに持ち込まれたことにより、この子だぬき(ポンタと呼ばれていた)は立派に成長して、山に帰ることができたのだ。我々素人が同じことをしても、その動物を死なせてしまう確率が高いだろうから、やはり育てようなどとは思わず適切なところに相談するのが一番だ。
獣医さんでも情が移って放獣を延期してしまった
実は、この獣医さん。秋に放獣を決意したのだが、結局春まで延期してしまった。
ぼくは、冬のおとずれを理由にして、ポンタの放獣を先にのばしました。
けれども、それだけが理由ではありませんでした。
ぼくの中には、ずっとポンタと一緒にいたい、と願う気持ちがあったのです。
(『すくすく育て! 子ダヌキ ポンタ 小さな命が教えてくれたこと』より引用)
野性動物は自然に帰さなければいけない。それを一番わかっているはずの獣医さんですら、育てているうちに情が移ってそういう感情になってしまうようだ。
人間と野性動物は“なんとなく仲良く”が一番
よく子どものころに、つばめやすずめを飼いたいなと思ったことがあったが、親に「そういうのは飼うものじゃない」と言われていた。よく理由はわからなかったのだが、親はなんとなく、そういう野性動物は飼ってはいけないということを知っていたのだろう。そういえば、野うさぎが迷い込んできたときも、すぐに保護してどこかに持ち込んでいた。
野性動物と人間は、同じ地球上に住んでいるが、基本的には別な生き物。お互いの生活を脅かすことなく、なんとなく仲良く生きていきたいものだ。
【著書紹介】
すくすく育て! 子ダヌキ ポンタ 小さな命が教えてくれたこと
著者:佐和みずえ
発行:学研プラス
子犬と間違えて獣医さんの元へ届けられたのは、手のひらよりも小さな、野生のタヌキの赤ちゃんだった。野生動物の幸せってなんだろう? 無事に里山に返せるだろうか? 獣医さんが、悩みながら、小さな命を育てる感動の実話。子ダヌキの貴重な写真がいっぱい!
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