NTTレゾナントは4月19日、自社で独自開発する「gooのAI」について、企業向けとなるセミオーダーソリューションの販売を開始しました。また、5月からはニュースアプリにgooのAIを利用した新機能を搭載することも発表されました。
企業のキャラクターを生かしたAIチャットが作れるように
まず、「gooのAI」について概要を紹介しておきましょう。gooのAIは、NTTレゾナントが独自に開発した技術です。ポータルサイト「goo」を通じて蓄積したインターネットに関わる技術やノウハウと、NTTグループのAI関連技術「cerevo」を活用して開発されています。
そもそも自然でスムーズな対話を実現するには、膨大な量の対話に関するデータと、文脈理解が必要。gooのAIでは、約3000万件の「教えて! goo」のデータを活用。そして、ディープラーニングを用いて、文脈理解の精度を高めています。世界初(※同社調べ)となる「長文回答生成」技術が行えることもポイントです。
導入実績としては、恋愛相談を行う「教えて!goo 恋愛相談オシエル」(2016)や、旅行プランを提案する「goo旅行AI」(2017)といった自社サービス、そして日本テレビ放送網が提供したTVドラマ連動型AI会話サービス「AIカホコ」(2017)や、ANAが提供する「#hawaii24」のAIチャットサービス(2018)などが挙げられます。
今回発表された「goo AI ×Design(グー・エーアイ・クロスデザイン)」は、このgooのAIを活用した自然対話型AIのセミオーダーソリューションとなります。コンサルティングからAIサービスの創出までを一貫して支援し、企業の持つキャラクターを生かした「キャラクターAI」を生み出せることがメリット。
ECサイトにおける商品レコメンドや、旅行分野での観光プロモーション、ゲーム分野におけるユーザーロイヤリティ向上施策などで運用できると想定でき、それぞれのニーズに合わせたチューニングを行えます。
ニュースアプリが進化し、情報感度を見直すツールへ
「gooのニュースアプリ」は2018年1月に提供を開始したサービスです。コンセプトは「大好きをもっとそばに」となっており、知りたい事柄に関するキーワードを利用者が自らフォローする仕様を採用していました。同サービスにAIが導入し、機能をアップデートします。
今回の発表では、AIを活用し、日頃の行動履歴からAIが自動的に判断して、利用者に適した専用のカテゴリを自動的に生成するようになると明かされました。例えば、SNSや動画サイトなどからも情報を収集してきて、自動でカテゴリを生成します。
また、位置情報に応じて、沿線のイベント情報や、近所のお店などの情報を発信。配信に関しても、利用者に適したタイミングで行います。例えば、朝はビジネス、夜はエンタメを中心に、といった具合です。
さらに、AIが興味関心を分析してグラフ化する「インフォグラフ」機能も搭載されます。編集部が設定した職種ごとのモデルケースと比較して、自身の情報感度を見直すことができます。
AIを活用したカテゴリーの自動追加やインフォグラフのような分析機能に関しては、ユニークな試みではありますが、どこまで消費者ニーズがあるのかという疑問が残ります。行動履歴を分析されることには抵抗を感じる人もいるでしょうし、情報感度の指標はどこまで実用的なものなのか現時点で判断がつきません。
果たしてこれらの新機能はユーザーに受け入れられるのか。実際に同サービスが提供されるまで、評価は保留しておきたいと思います。