グルメ
立ち食いそば
2015/5/11 22:36

秋葉原・中央通り沿いにある立ち食いそばの”隠れた名店”

秋葉原界隈にはそばやつゆはもちろん、店構えにも味のある立ち食いそば店がいまもたくさん残っています。その代表的な店として紹介したいのが、「味自慢」です。

 

「味自慢」と書きましたが、実はこの店、店名がはっきりしないんですよ。看板には「安く早く 味自慢」と書いてあって、店名というよりキャッチコピー、宣伝文句のように思える。かといって看板のほかの部分をじっくり見ても、店名らしきものは書いてないんですね。ちなみにネット上でも意見が分かれていて、「味自慢」と呼ぶ人もいれば、「岩本町スタンドそば」と呼ぶ人もいる。ちなみに某大手グルメサイトでは「岩本町スタンドそば」と書かれています。

 

外観は“ザ・20世紀”の佇まい!

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秋葉原の駅から昭和通りに出て、都営地下鉄の岩本町駅に向かって歩き、神田川にかかる橋を渡ってすぐの路地を左に入ると黄色い看板が目に飛び込んできます。「揚げたてお好み 天ぷらそば」の文字がもう昭和の香り満点。この佇まいだけで「世界遺産級」というか、「後世に残しておきたい20世紀の東京」って感じですよ。

 

この店、外見だけじゃなく、店内もちょっと変わっています。入口から中に入ると店の奥まで長くカウンターが並んでいるんですが、その途中に階段があって、その上に中二階みたいな感じで席があるんです。でもその奥までいくのがちょっとハードルが高いというか、常連さん以外は入っていけない雰囲気を醸し出しています。

 

というわけで今回も僕は店に入って5番目くらいのカウンターに座って、そばをいただくことにしました。

 

しょう油がきいた濃いめのつゆは、やみつきになる“魔性の味”

 

今回頼んだのはいかげそ天そば(380円)です。そばは店構えから想像する通りのゆで麺使用。太くもなく細くもなく、食感は柔らかで喉ごしがよく、するすると食べられます。そして絶品なのがつゆ! 丼に口をつけてひと口飲むと、まず甘みが口の中に広がります。そのあと、だしのうまみが怒濤のごとく味蕾をくすぐり、さらにしっかりとしたしょうゆのうまみと辛みが口内を蹂躙する。上品な味ではないですが、週に一度くらい無性に食したくなる“危険な味わい”。

 

同じく秋葉原の「野むら」で供される「暗黒汁」同様、極めて中毒性の高い「魔性のつゆ」と言えます。もちろん、つゆとゆでめんとの相性も抜群です。

 

↑今回頼んだ
↑今回頼んだ「いかげそ天そば。色の濃いスープは出汁の強い風味としょう油の味が効いている

 

いかげそ天は揚げ置きで、四角く堅めに揚げられています。コロモは厚めで、つゆでふやけるとお好み焼きのような食感になって、なかなかうまい。いかげそは小さめにカットされていて程よく柔らかいです。噛みしめるといかのうまみがじわ~っと広がって、それがつゆと相まってさらに食が進む……。ああ、原稿を書きながらヨダレができました。

 

さらに、この店は揚げものの種類が豊富なのも魅力。カウンター上段のガラスケースにはかき揚げはもちろん春菊天、いわし天、ソーセージ天から、いも天、ピーマン天まで魅惑の顔ぶれが勢揃いで、客を飽きさせません。

 

店員さんの接客もにこやかかつ物腰柔らか。古き良き立ち食いそばの伝統を具現化したようなビジュアルと味には、まさに「路地裏の名店」と呼ぶにふさわしい風格が感じられます(店のある場所は別に路地裏ってわけでもないんですが)。名店が数多く存在する秋葉原の地でも強烈な個性を放つ同店では、今日も多くのビジネスマンが舌鼓を打っていることでしょう。

 

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