銀座といえば、高級店が軒を連ねるイメージだろう。だが、その一方で庶民に愛され続ける街中華も存在する。そして今回紹介する「萬福」(まんぷく)は、そのなかでも奥深い歴史を持つレジェンド的な老舗だ。創業年は記録として残っていないものの、創業したのは大正時代。屋台から立ち上げた初代店主が、昭和4年に現在の地へ居を構えたという。
大正時代の歴史的遺産が彩るハイカラな空間
最寄りは東銀座駅で「木挽町仲通り」の一角にある。歌舞伎座からも近いこの界隈は、かつて「木挽町」という地名だった。店舗に足を踏み入れると、そこはまるで連続テレビ小説の舞台のよう。随所に目を配ると貴重なオブジェの数々を拝見できる。
たたずまい自体もだが、それはまさに歴史的遺産。戦災で焼け残った店舗を15年ほど前に建て替えた経緯があるため、当時そのままというわけではない。しかし、これまでの歩みを物語る骨董に彩られた空間が、古きよき時代をここに再現しているのだ。