私は現在32歳だが、この歳にもなって、下半身のファスナーを閉め忘れることがよくある。とても恥ずかしい限りだ。
しかも、中学生の時に制服を着るようになったときから、ずっと、である。さらに困ったことに、相手から指摘されて気づくことが多い。赤面ものだ。
ファスナーはすごい
そういえば、昔、下半身のファスナーを”社会の窓“と呼ぶのが流行ったが、今は聞かなくなっている。この言葉はもう死語なのだろうか?
『ファスナーのひみつ』(たまだまさお、オフィス・イディオム・著/学研パブリッシング・刊)は、そんなファスナーの歴史を教えてくれるなかなかニッチな内容の一冊である。
ファスナーは簡単な作りのように見える。
しかし、少しでも狂いがあるとかみ合わせが悪くなり、開かなくなってしまう。ある有名ファスナーメーカーでは専用の機械を使って、0.1mm以下まで正確に作られているそうだ。
進化しているファスナー
ファスナーの構造そのものはいたってシンプルだが、細かい部分で改良が重ねられている。
例えば、私が学生時代に履いていた安いジーンズは、勝手に下半身のファスナーが開いてしまって恥かしい思いをすることがあった。しかし、今ではファスナーの形状などを工夫することによって、勝手に開かないようになっているそうだ。技術の進化はすごい。
ファスナーをチャックと言うのはなぜ?
今やファスナーは日常生活に欠かせないものだが、いつごろからあるのだろう。
発祥はアメリカで、意外にも歴史は古く、1891年に靴ひもを結ぶ不便さをなくすために考えられたものだという。
やがて、日本にも伝わり、製造が始まった。ちなみにファスナーをチャックと呼ぶのは日本だけらしい。本著によると、1927年にある会社が、巾着をもじった「チャック印」という名前でファスナーを販売したことに由来する。
自動で開閉するファスナーが欲しい
ファスナーは便利すぎるものだが、そもそも閉め忘れてしまっては元も子もない。電車の中で人々を観察していると、結構、ファスナーを閉め忘れていたりするおじさんが多い。自分だけではないとほっと一安心…していてはいけない。
本著によると、ファスナーは宇宙服や消防服などのプロ用途の服にもつけられているし、技術が応用されて鉄橋の排水設備などにも使われているそうだ。
いつの日か、自動で開け閉めができるファスナーを作ってほしい。そうすれば、私も閉め忘れを心配しなくて済む。しかし、技術開発を待つよりも、何よりもそそっかしい性格を直した方が早い気もするが、どうだろうか。
(文:元城健)
【文献紹介】
ファスナーのひみつ
著者:たまだまさお(漫画)、オフィス・イディオム(構成)
出版社:学研パブリッシング
洋服やバッグ、いろいろなものについているファスナー。単純なしくみにみえるけど、実はたくさんの技術がつまっているんだ。どんな種類があるの?どんなふうにしてつくられているの?…など、この本を読めば、ファスナーのひみつがよくわかるよ!