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2016/1/22 0:00

低年収でも家が買える裏ワザ

家を買いたい、でも、高すぎる! と悩んでいる人は、少なくない。『シングルマザー、家を買う』(扶桑社・刊)の著者・吉田可奈さん(当時29歳)も、年収200万台だったため、最初はローン審査が通らずあきらめかけた。しかし彼女はとある裏ワザで見事、2人の子どもと暮らす家を手に入れたのだ。

 

 

 

理解ある不動産業者を見つける

 

シングルマザーである私自身も、過去に家の購入を考えたことはある。子どもの学校のすぐ近くで見つけた物件は、とても安くて魅力的だった。でも実際に建物を見に行くと、隣の部屋の人が傘を何十本もドアの外に出しているのが気になった。少し考えたかった私に、不動産屋さんは車の中で書類を開き、今すぐ判を押せと迫った。格安なので早く契約しないと他の人に決まってしまうから急かしたのだろうけど、大事なことを車内で即決できるほどの度胸もなく、結局断ってしまった。というか、早く早くと言われたのが、怖かった。

 

吉田さんもそうだったけれど、私も不動産屋には正直に「シングルマザーです」と打ち明ける。隠してもどうせ契約の時にバレるのだから。母子家庭とわかると急に厳しくなる業者も、逆に優しくなる業者もいた。吉田さんも「家を買うのは難しいですね」と業者に断られることもあったが、最終的に親身になってくれる業者と巡り会えた。こちらの状況を把握した上で動いてくれる不動産屋さんがいると、とても心強いし、実際そういう業者が良い物件を知らせてくれるものなのだ。

 

 

狙い目は、団地

 

結局吉田さんは、東京の郊外にある80平米の3LDKの物件を選んだ。築35年とはいえ、1290万円というのはものすごくお安い。どこかというと、団地である。団地というと、公営住宅のようなイメージが強いけれど、実は分譲タイプもある。高度成長時代、団地が人々の憧れだった時期もあるのだ。やがて住民が高齢となり、団地を離れ、部屋が売りに出されることが増えている。

 

鉄筋コンクリートの住宅の耐用年数は70年と言われているので、あと35年ほどは住むことができるかもしれない(その間に立て替えの話も出るかもしれないけれど)。郊外であったり駅から遠い団地はかなりお買い得価格のものも出ている。大規模集合住宅というものは、イベントなどで顔見知りも増えやすいし、子どもも友達ができて楽しくなるかもしれない。

 

 

必殺の親子ローン

 

年収200万円台だと、そう簡単にはローンを組ませてはもらえないようで、吉田さんは最初、ローンの審査に通らなかった。そんな時、必殺ワザとして「親子ローン」というものが現れた。親御さんの収入も合算し、共有名義として一緒に返していくという方法だ。親御さんは年金暮らしだそうだけれど、年金も収入とみなされるので、親子で合算すれば、通らなかったローンの審査が通りやすくなることもある。実際吉田さんはこの方法で、無事に30年ローンを組み、家を手に入れることができた。親御さんの同意を得られるのであれば、この手段が使えるのである(人それぞれ審査は違うので、親子ローンにすればすべての人が審査が通るというわけではない)。

 

 

無職でも家が買える

 

実は私自身は、結局いまだに家を買えていない。私の田舎は山梨なので、親の近くに住むこともできない。それから私の子ども達は私と似て少々風変わりなので、合う学校がかなり少なく、場合によっては通学が超遠距離になるリスクがある。私の知り合いにも、お子さんが2時間半もかかるところに進学したため家を買い直した人がいる。家族の行動範囲がしばらく定まりそうにない場合は、早急な判断をしなくてもいいと思っている。

 

けれど吉田さんの場合、購入は吉だっただろう。なにより生まれ育った土地で知り合いも多いだろうし、ご両親の家がすぐ近くなので安心だ。今後も定住の可能性が高いエリアならば、思い切ってもいいはずだ。子ども達が成人するまで安心して暮らせる場所が欲しい、という母親としての強い意志が、運を拓いたのだろう。

 

私はコミック誌『本当にあった笑える話』に連載中の『ほぼ無職、家を買う』も愛読している。そちらは23区内で800万円台という格安一戸建てを購入したサムソン高橋さんの話だ(ちなみに彼は貯金をはたいてキャッシュで購入した)。あまり予算がなくても手が届きそうな物件は、都内にもちらほら出てきている。自分の中の人生プランとマッチする物件であるのなら、手を伸ばしてみるのもいいかもしれない。

 

 

(内藤みか)

 

【文献紹介】

シングルマザー、家を買う
著者:吉田可奈
出版社:扶桑社

年収200万円、2人の子供を抱える29歳シングルマザーのマイホーム購入記。資金のやりくりやご近所トラブル、息子の発達障がいなど、多くの難問を明るく乗り越えていく。