グルメ
2018/5/11 11:00

量は鶏卵30個分!? ハンマーで割る!? 世界最大の卵・ダチョウの卵を食べてみた

現存する生物の卵としては最大のものとして知られるダチョウの卵。動物園などで模型を見たことのある人はいるかもしれませんが、実際に食べたことのある方は少ないでしょう。このほどダチョウの卵を実食する機会に恵まれた筆者。卵を割る過程から、食べるまでをレポートしたいと思います。

 

ハンマーとドライバーで頑丈な卵をたたき割る!

大きいものでは鶏卵30個分もの内容量を誇るダチョウの卵。重さは平均しても1.6kg以上、重いものでは2.1kgにもなるそうです。そのカラはなんと2㎜もあり、成人の腰の高さから落としても割れないほどの頑丈さを誇ります。その大きさ、重さは、持っただけでも感動もの。これだけの卵を、1羽が多いときには年間80個も生むというのですから、ダチョウの持つエネルギーのすごさがうかがえます。

↑鶏卵と比較するとこの大きさ! 圧巻です

 

さっそくその卵を割ってみましょう。といっても、鶏の卵のように簡単に割れるわけではありません。割るために使うのはなんとハンマーとドライバー。ドライバーを卵に押し当て、それを上からハンマーでたたくことですこしずつ割っていくのです。

 

割る際の様子をタイムラプスで撮影したので、臨場感を味わいたい方はこちらをご覧ください。ここでは卵の割り方を説明していきますから、動画とあわせて見ていただくと、その過程がよくわかると思います。

卵下側のカラの内側には内卵殻膜(俗に薄皮などと呼ばれるものです)という膜があり、卵の下側のカラと薄皮の間に気室という空気の入った部分があります。割る際にはそこをめがけてドライバーを当て、慎重に、慎重に、ハンマーを振り下ろしていきます。小さな穴が開いたら、そこをとっかかりにしながら、周囲に穴を広げていき、気室があった場所全体に穴があくまで繰り返します。

 

その際に注意するのが、内卵殻膜を割らないようにすること。もしこれを割ってしまうと、白身が外にあふれ出てきてしまって、手元が汚れてしまうのです。とはいっても、鶏卵とは異なり、ダチョウ卵の内卵殻膜はピンポン玉ほどの厚さがあり、とても丈夫で簡単に割れることはありません。

 

……と書いたのですが、不器用な筆者は、不覚にも内卵殻膜を割ってしまいました。これからダチョウ卵割りに挑まれる方は、筆者ような失敗をしないよう、慎重に作業されることをおすすめします。

↑これが内卵殻膜。薄皮といえないほどの厚みで、感触はプルプルです

 

↑割った後の卵のカラ。キレイに割れば、記念オブジェにもなります

 

↑黄身の色は鶏卵よりもやや薄め。白身は粘り気が強いです

 

これは豆腐!? スッキリ淡泊な味が新しいトロフワオムレツ

卵を割ったところで、まず初めに作ったのはオープンオムレツです。大量の白身、大きな黄身を箸でかき混ぜていったのですが、そこで驚いたのはそのトロみ。鶏卵と比にならないほどの手ごたえがあり、ただかき混ぜるだけでも腕が疲れてしまいます。ゼラチン質の白身は、まるでゼリーのようです。

 

なんとか十分に混ぜ終えて、具材とともにスキレットの中へ投入します。大きな卵の半分を使って作ったオムレツは、火にかけて30分ほど調理しました。

 

ついに出来上がったオープンオムレツは、これで卵半分か! というほどの大ボリューム。これをスプーンですくって、どんな味かとおそるおそる口へ運んでみます。第一印象は、とてもふんわりした食感と、淡泊な味わい。すでに書いた通りダチョウの卵は強いトロみを持っているので、それがこの特徴的な食感につながっているのでしょう。味は、例えるなら豆腐を思わせるほどすっきりしていてクセがなく、人によってはひとくち目で面食らってしまうほど。今回はうっすらカレーの味をつけたのですが、もしこれがなかったら本当に“豆腐”になっていたかもしれません。ダチョウの卵を調理する際はしっかりした味付けが必要なようで、目玉焼きのような、ただ火を通しただけの料理は避けたほうが無難だと感じました。また、ダチョウの卵のだいご味は、トロみからくるふわふわな食感ですから、これを活かせる料理がベストでしょう。

↑スプーンを入れた際の感触も独特。強い手ごたえがある

 

↑驚愕のボリューム感。iPhoneと比較すると大きさがよくわかります

 

これがダチョウの卵料理のベスト! もちもち感がたまらないふわふわホットケーキ

そこで作ったのが、ふわふわのホットケーキ。混ぜるのが大変なゼラチン質の卵にホットケーキミックスと牛乳を加え、力を入れてかき混ぜていきます。オムレツ以上に硬質なその生地は、これからできるホットケーキが、通常のものとは異なることを予感させます。大量にできた生地を焼いていき、無事ホットケーキが完成しました。

↑甘ったるくないすっきりした味わいのホットケーキ。もちもち食感で食べ応えも十分

 

写真では5枚のホットケーキが写っていますが、使った卵の量は1/20強。つまりダチョウの卵1個まるまるホットケーキにすれば、なんと100枚近いホットケーキを作ることができるというわけです。その量の多さには、わかっていながらも驚かされるばかりです。

 

肝心のホットケーキのお味ですが、鶏卵で作ったものに比べてとてもさっぱり。これなら食べ続けてもしつこくはなさそうです。逆に、甘みや香りがほしいという場合には、チョコレートやバニラエッセンスを生地に混ぜることが必要になります。そんな淡泊な味わいの一方で、食感は「これは餅か!」言いたくなるほどもっちり。そのもちもち感のせいか、通常のホットケーキに比べて、お腹にしっかりたまる感覚があります。お昼時にこのホットケーキを食べれば、夕方の空腹感がやわらぐかもしれません。

 

大きさだけでなく、味、食感も鶏卵と異なるダチョウの卵。いつもとは違った味わいを楽しめるばかりか、卵を割るだけで場がとても盛り上がりますから、“ホームパーティグッズ”にもなる食材です。10人ほど集まる大規模なホームパーティなら、盛り上げグッズとして、さらには一風変わったメニューとしても親睦に貢献してくれるでしょう。

 

ダチョウの卵の実売価格5000円/1個