ヘルスケア
2018/5/28 18:30

もはや「歯のホワイトニング」は社会人の常識? メリット・デメリットを専門家に聞いてみた

筆者は個人的に、喫煙者が苦手です。タバコの臭いが苦手というのも大きいですが、喫煙者って口が臭いことが多いんです……。缶コーヒーなんかを飲んだあとは最悪です。タバコとコーヒーと糖分の臭いがミックスされて、それがすえたような香り。

 

また、歯周病も、すえたようななんとも不快な口臭がしますよね。日本生活習慣病予防協会サイト(http://www.seikatsusyukanbyo.com/)によると、歯周病を患っている人は、20代で約7割、30~50代は約8割、60代はなんと約9割という恐ろしい数字が出ています。30代以降になると、歯周病を患っている人は少なくないようです。

 

歯周病と言えば、とある結婚相談所に取材をしに行ったときのこと。条件が非常によく、感じもよい男性がいたそうなんですよ。でもぜんぜん成婚にならない。コンシェルジュがデートした女性に聞いてみると「口臭がきつい」と言っていたとか。その方にはすぐに歯科に行ってもらい、歯周病を治療してもらったそうです。その後、無事によい方と知り合えたとか。口臭って自分ではなかなか気づかないんですよね。

 

となると、普段から歯を含め、口腔内に対する意識を高めるしか方法はありません。

 

30代になったら虫歯の有無に関わらず定期的に歯科に通い、クリーニングをしたいものです。口が臭いだけで、恋愛はもちろん、職場でも「近づいて欲しくない人」になってしまい、うまく行くものもいかなくなってしまいます。

 

そしてクリーニングに留まらず、さらにおすすめしたいのが「歯のホワイトニング」です。

 

ブランドコンサルタントの守山菜穂子さんも、開催しているセルフ・ブランディング講座のなかで、ホワイトニングの重要性についてこんなお話をされていました。

「私は女性ファッション誌の営業をしていましたが、ファッション誌に掲載する写真では、印刷時に歯がより白く見えるよう、印刷の色調整をするのが常識でした。歯が白いだけで、明るく、10歳は若々しく見えます。逆にいえば歯が汚れていたり、黄色かったりするだけで、暗く、老けて見えるということ。これはタレントだけの問題ではなく、社会人(みなさん、誰でも)のイメージアップにも効果的です。

例えば仕事に対して前向きに取り組む人とか(アグレッシブな人、はつらつとして元気な人)に見えるものです。営業職やサービス業といった方々は特に、気をつけていただきたい。また『ホワイトニングしたら仕事が増えた』『昇進した』という嘘のようなお話もよく耳にします。オーラルケアをすることで清潔感も生まれますから『この人は仕事に誠実だ』というイメージを与えることもできるんです。ホワイトニングは、イメージコントロールにおいてはやって損をすることがひとつもないと言ってよさそうです」(守山さん)

 

ではなぜ、歯が白いと若く見えるのでしょうか。神宮前フェイスデンタルサロン顧問・医学博士の西沢成剛先生に聞いてみました。

「歯はエナメル質で覆われていますが、その中心部に象牙質があります。年齢を重ねるとエナメル質がすり減って、中の黄味がかった象牙質の色が目立つようになるんです。そのうえ、色のついた食べ物や飲み物でも歯に色がつきますから、歯の内と外の両方から色がついていくのです。放っておくと高齢の方は、どうしても白い歯のままではいられません。そうした事実から、歯が汚れていると実年齢よりも老けて見え、白く綺麗な歯だと若々しく見えるのです」(西沢先生)

 

しかしホワイトニングは「健康によくない」という噂も聞きます。

「そんなことはないですよ。容量と使用方法を守れば、危険なことはまったくありません。歯を削ると思っている方もいるようですが、そんな危険なことはしません。色素を分解する薬剤を使用して色を取るのです。欧米ではもう10年以上前からホワイトニングは常識になっています。虫歯などの治療を始める前にホワイトニングをして歯を綺麗にするんです。そうするとそれが汚れなのか虫歯なのかがわかります。最近は、歯の詰め物を歯と同じ色のものにするようになりましたが、これもホワイトニングをしてから入れないと、歯の色と詰め物の色が異なることになってしまいます」(西沢先生)

 

では、そのほかでホワイトニングをするデメリットはあるのでしょうか。

「人によっては、薬剤がしみることがあるので、その場合は濃度を低くするなどして調整します。あとは保険が利かないので実費になります。だいたい1回1万円〜2万円程度が相場のようです。1回で真っ白になることはなく、何度か定期的に通う必要がありますし、自宅でホームホワイトニングをするほうが効果が高まります。個人の歯の色や敏感さなどによってよりよい方法が変わってきますから、クリニックでよく相談されるとよいでしょう」(西沢先生)

 

ところで、歯をキレイにすると聞いて、「クリーニング」を浮かべた方はいないでしょうか? クリーニングとホワイトニングの違いについても聞いてみました。

「クリーニングは言葉の通り、歯の掃除をすることです。歯と歯の間や、歯茎と歯の境目、歯の裏側など、普段磨き残しをしてしまいがちな箇所まで綺麗に掃除をし、歯石がある場合は歯石を取り除きます。その後、歯の構成成分のひとつでもあるハイドロキシアパタイトをナノ粒子レベルでは配合しているペーストを用いて磨き上げています。エナメル質表面を美しく滑らかにし、さらに再石灰化作用により、虫歯予防にも効果的です。

一方ホワイトニングは、薬剤を歯に塗って、光を照射し、色素を分解して歯を白くします。ホワイトニングには歯の掃除をする効果はないので、クリーニングをしてからホワイトニングをすることをおすすめします。クリーニングをすると歯の表面の汚れが落ちますので、歯が白く綺麗になる場合もあります。しかしエナメル質やその奥にある象牙質の変色を変える効果はないので、根本的に歯を白くするなら、ホワイトニングが必要です」(西沢先生)

 

西沢先生によると欧米人のほうが歯の色素が薄いため、元々の歯が白いということです。確かに先日筆者がホームステイしたおうちのママも、歯は暗闇で光りそうなほど真っ白でした。歯並びがよく、かつ白いだけで、とても清潔そうに感じますね。髪がボサボサだったり肌が多少荒れていても気になりません。

 

ここ数十年で、日本人の口腔内衛生に関する意識は格段に上がってきています。いまや歯列矯正も当たり前になりました。しかし口腔内の不調は、自分では自覚がなくても、周囲の人を不快にしている可能性があります。

「歯に違和感がなくても、3か月に1度はクリーニングとチェックに来院されることをおすすめします。最近の歯科は無痛治療に対応していたり、インフォームド・コンセントを心がけているところが多く、昔のように恐いムードではありません。臆せず気軽にいらしてくださいね」(西沢先生)

 

歯を治療するために歯科に行くのではなく、アンチエイジングや予防のために通うのが、今後の常識になっていくのでしょう。歯に色がついている人は、それだけでも不潔な感じがしてしまいます。口腔内はバイ菌の宝庫とも言いますから、歯が汚れている人とキスなんて、ちょっと躊躇してしまうかも……。「芸能人は歯が命」というCMがありましたが、いまや「社会人は歯が命」と言えそうです。白い歯っていいな〜。

 

【Profile】

守山菜穂子さん

多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。読売広告社、小学館を経て、2014年にブランドコンサルタントとして独立。社会に貢献できるブランドづくりを実践している。一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアトレーナー、GCS認定プロフェッショナルコーチ、日本マーケティング学会会員。