ソニー「α7 III」は、有効2420万画素のフルサイズセンサー搭載のミラーレスカメラです。20万円を超える価格にもかからわず、今年3月の発売以来、好調なセールスを記録中。その魅力は何でしょうか。約2か月間使用したユーザーの立場から、特に気に入った点と不満点を挙げてみました。
フルサイズミラーレス「α7シリーズ」第3世代のスタンダード機
ソニー「α7シリーズ」は、35mmフルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラのシリーズです。いまのところ8モデルが存在し、2013~2014年に発売された「α7」「α7R」「α7S」が第1世代で、2014~2015年に発売された「α7 II」「α7R II」「α7S II」が第2世代、2017~2018年発売の「α7R III」と「α7 III」が第3世代となります。
このうち最新モデルであるα7 IIIは、第3世代のスタンダード機という位置付け。高画質と高速性、高機能をバランスよく兼ね備えています。
α7 IIIの実売価格はボディ単体で20万円台の前半。決して手ごろとはいえませんが、昨年発売されたα7R IIIが30万円以上、最上位モデル「α9」が40万円以上もすることから考えると、不思議とα7 IIIの20万円台がリーズナブルに感じられます。もし発売の順番が逆だったら、価格から受ける印象は違ったかもしれません。
そんなα7 IIIを私自身も入手し、これまでのところ仕事から作品、プライベートまで幅広く有効活用しています。特にお気に入りのポイントを以下の7点にまとめてみました。
【魅力その1】フルサイズ機では最小クラスのボディ
魅力としてまず挙げたいのは、フルサイズ機として抜きん出た機動力の高さ。正確には、α7 IIIだけでなく、α7シリーズに共通したメリットです。
α7 IIIの外形寸法は幅126.9×高さ95.6×奥行き73.7mm。初代機α7や2代目α7 IIに比べるとグリップが大型化したぶん、奥行きは増していますが、幅と高さはほとんど変わっていません。
バッテリーとカード込みで約650gという重量に関しては、2代目α7 IIよりも51gアップし、α7シリーズではα7R IIIに次いで2番目に重くなっています。ただ、それでも他社のフルサイズ一眼レフに比べると100g以上も軽量です。
一眼レフ機の場合、画質を重視してフルサイズ機を選ぶか、携帯性を重視してAPS-Cサイズ機を選ぶか、という二者択一になりがちですが、α7 IIIなら画質にも携帯性にも妥協せず、両方のメリットが得られます。
【魅力その2】撮影条件を問わずスムーズにピントが合う高速AF
性能面では、強力なAFが魅力です。像面位相差AFは693点、コントラストAFは425点もの測距点を備え、どちらも画面の広範囲をカバー。構図の真ん中でも端でも、静物でも動体でも、明所でも暗所でも、撮影条件を問わずスムーズにピントが合うのはとても快適です。
AFまわりの付加機能としては、目にピントを合わせる「瞳AF」や動きものの撮影に役立つ「ロックオンAF」に対応。背面に新設されたマルチセレクターによって、数多い測距点をダイレクトに選択できることや、被写体追従感度といったAF設定を細かくカスタマイズできる点も便利です。
かつて動体AFはミラーレスカメラの弱点と言われていましたが、α7 IIIでは、ほとんどのシーンで一眼レフ機に遜色のない動体AF性能を体感できるでしょう。
【魅力その3】シャッターチャンスを逃さない高速連写
連写は、最高で10コマ/秒に対応。α7シリーズではα7R IIIと並んで最速を誇ります。しかも連続撮影可能コマ数は、JPEG最高画質で約163枚、RAWで89枚と十分。人物や乗り物、スポーツなどの動きのある被写体を撮る際に重宝します。
あまりに快適なので、調子に乗って連写しすぎると、あとからの写真セレクトに時間がかかる点にはご注意を。軽快に作動する画像管理ソフトが欠かせません。
私の場合、本格的なスポーツ撮影というよりは、ポートレートやスナップがメインなので、Hi+(10コマ/秒)やHi(8コマ/秒)はほとんど使わず、連写のときは主にMid(6コマ/秒)を活用しています。つまり、私のふだんの用途では最高10コマ/秒はオーバースペック……。とはいえ、どんなシーンでも対応できるという安心感があります。