近年クレジットカードの利用には、アプリとの連携が不可欠になりつつある。今回はクレジットカードの管理に最適なオススメアプリをカードマスター・岩田昭男師範が伝授。スマートなクレカ利用の参考にしてほしい。
【今月の悩める小羊】
金塚井 荒志(32歳)
・毎月のカード請求額が簡単にわかるアプリを教えて
・複数のカードに対応できるアプリがいい
・カードの利用明細も確認できるとうれしい
独身生活を謳歌する営業マン。複数のクレジットカードを利用しているが、使った額や支払い日の把握ができず、口座残高不足になることも多い。アプリを使って手軽にお金の管理ができないか思案中。
お金の管理が苦手な僕を助けてくれるアプリはない?
岩田師範「クレジットカードの請求額を手軽に把握したいそうじゃな」
金塚井「はい。普段クレジットカードを3枚使ってて、ひと月に使った額がわかんなくなるんです。残高不足が続いてブラックリストに入ったら困るし、そのへんの管理ができるアプリはないかな~と」
岩田師範「なるほどな。一般に各クレジットカード会社が提供するアプリは、その会社が発行するカードしか管理できないものが多い。一方、最近話題の家計簿アプリは、複数のカードや銀行口座を一元管理できるが、できることが多いぶん難易度が高く感じられるもの。そこで注目なのが、カード会社が提供する気安さと家計簿アプリの利便性を兼ね備えた無料アプリじゃ」
金塚井「おお、そんな絶好のアプリがあるんですか!」
岩田師範「例えば三菱UFJニコスの「請求額・ポイント残高かんたん確認アプリ」はマネーツリーの提供するAPIであるMT LINKを使い、毎月のカード請求額のほか銀行口座、電子マネー、ポイント残高も確認できる。三菱UFJニコス発行のカードのみならず、国内発行の多彩なカードを管理可能。細かな利用内容も表示し、何にムダ遣いしているかわかるぞ」
金塚井「なんと、カードだけでなく銀行口座からポイントまで簡単に確認できるとはスゴいっす!!」
岩田師範「JALカードアプリはマネーフォワードのサービスの提供を受け、JALカードのみならず多くの国内クレジットカードや銀行の利用明細をアプリで確認できる。もちろんショッピングマイルの確認も可能じゃ」
金塚井「マイルを確認できるのはさすがJALカードのアプリ。オススメはこの2つのアプリのどちらかってことですか?」
岩田師範「そうなるかの。また、特定のクレジットカードに紐付けられずに複数のカードを手軽に管理したいなら、CRECOもアリ。複数のクレジットカードや電子マネーを登録すれば、利用明細をカレンダー形式で表示、どのカードでいついくら使ったかひと目でわかる。カードごとに請求額や明細をまとめて確認も可能。カードの認証情報は暗号化され、ネット上でなくスマホ内にのみ保存されるので、情報漏洩のリスクも少ない」
金塚井「複数のクレジットカードを手軽に登録・管理できるアプリはほかにもあるんですか?」
岩田師範「先ほど挙げたMT LINKは北海道銀行や京葉銀行などのスマホアプリとも連携。これらのアプリでは同銀行以外の銀行の口座やクレジットカード、電子マネー、ポイントカードを管理できる」
金塚井「銀行の口座開設ならクレカより簡単でいいかもです」
岩田師範「カード会社や銀行を横断する情報共有の波は今後より波及しそうじゃ。フィンテックは意外なところから進展しつつあるな」
【今月の注目スマホアプリ】
クレジットカード・銀行口座・電子マネーなどを管理でき支払日前にプッシュ通知も届く
三菱UFJニコス
請求額・ポイント残高かんたん確認アプリ
カード請求額やポイント残高、銀行口座や証券口座、電子マネーをオートログインで一括管理できるアプリ。支払日と利用日をカレンダーで確認できるほか、支払日が近づくとプッシュ通知してくれる。
管理対象:クレジットカード、電子マネー、ポイント、銀行口座、証券口座
クレジットカードや銀行の残高確認のほかマイルの確認もできる
JALカード
JALカードアプリ
「明細まとめて管理」機能でクレジットカードや電子マネー、銀行口座などの利用履歴や残高を確認できるアプリ。JALカードで貯めたマイルの確認やキャンペーン登録、特約店のクーポン取得も簡単。
管理対象:クレジットカード、電子マネー、JALのマイル、銀行口座、証券口座など
異なるクレジットカードの利用明細をスワイプしてラクラク確認できる
アイ・ティ・リアライズ
CRECO
クレジットカードと電子マネーの利用明細を自動取得するアプリ。利用明細はカレンダー形式で表示、複数のカードもスワイプして請求書を確認できる。みずほ銀行などのネットバンキングと連携可。
管理対象:クレジットカード、電子マネー
黒帯になるためのキーワード解説
●家計簿アプリ
家計簿アプリのなかで最近注目を集めるのが銀行口座やクレジットカードと連携する総合管理型。本文中に登場するマネーツリーやマネーフォワードは総合管理型の2大アプリで、なおかつ銀行やクレジットカード会社向けに金融プラットフォームを提供している。
●API
Application Programming Interfaceの略。アプリの機能の一部を外部から呼び出して使うための仕組み。金融APIでは、カードユーザーなどが特定アプリから接続した場合のみ銀行口座やカード利用履歴の参照などをできるよう設定し、安全性を確保している。
●MT LINK
マネーツリーが提供する金融API。国内2700以上の銀行口座(個人、法人)、クレジットカード、電子マネー、ポイントカード、証券口座の取引明細が集約できる。個人のプライバシーを重視し、データ提供の際は個別に利用者の同意を取るため、登録者の信頼も厚い。
【Profile】
岩田昭男:クレジットカード分野のオピニオンリーダーとして、20年以上取材・研究に携わる。「Suicaが世界を制覇する」(720円+税/朝日新書)など著書・監修書多数。