今年も、事実上の世界一の日本酒を決めるコンペティション「SAKE COMPETITION(サケコンペティション) 2018」が開催されます。本コンペは一般の消費者がお店で手に取れる「市販酒」のトップを決めるために、2012年からスタート。審査は全国の日本酒の技術指導にあたる方や、推薦された蔵元など、プロ中のプロがブラインドできき酒を行って決めるため、銘柄の知名度は一切関係なし。ひたすら味わいのみが審査対象という、このうえなくフェアなコンペです。
NEW!! 2018年6月11日更新 「SAKE COMPETITION 2018」の結果はコチラ
同コンペは年々参加する蔵も増えてきたうえ、受賞によりスターダムに駆け上がった銘柄が誕生し、部門で1位に輝いた銘柄はいち早く品切れとなるなど、市場に与える影響も大きくなってきました。今回は、そんな「SAKE COMPETITION 2018」の審査の第一段階となる予審会が5月16日に行われましたので、その様子をレポートしていきます。
「真剣勝負」の緊張感が漂う審査会場
今回の出品数は、455蔵総出品数1772点で、過去最多の出品数を記録しました。審査される部門は、これまでの純米大吟醸部門、純米吟醸部門、純米酒部門、吟醸部門、Super Premium部門(720mlで税抜1万円以上、1800mlで税抜1万5000円以上)、ラベルデザイン部門の7部門に加え、新設された「海外出品酒部門」を合わせた合計8部門。5月16日の予審で決審へ進むお酒を絞り込み、5月18日の決審で最終的な順位を決めます。なお、予審の審査員は37名、決審の審査員は41名(発泡清酒部門の審査員は15名)。各審査員がそれぞれのお酒に1(最高点)~5(最低点)点の間で点数をつけ、それを集計したものが結果となります。
今回取材した予審会の会場は、体育館ほどの広さ。中には長テーブルが等間隔で置かれ、その上には4合瓶サイズの酒瓶がズラリ。酒瓶はすべて銀色のフィルムで覆われており、酒銘は一切確認できないので、必然的にブラインドの審査となります。全国から集められた審査員は、チェックシートを片手に一定のリズムで粛々と出品酒をきき(※)、テーブルからテーブルへと移動しながら、点数をつけていきます。審査員同士の私語は一切なく、声を立てることすらはばかられるような緊張感が漂っていました。
※酒をきく(唎く)……お酒の品質を判定すること
会場には「海外出品酒部門」に参加したカナダの蔵元も
さて、そんななかでキャッチしたのが、「海外出品酒部門」に出品する蔵元の一人。カナダ・トロントで「泉(IZUMI)」という銘柄を手がける、「Ontario Spring Water Sake Company」の蔵元、Ken Valvur さんです。
Kenさんの「Ontario Spring Water Sake Company」は北米東部の最初の醸造所。オンタリオ州のおいしい湧き水を仕込み水に使用し、「真澄」で知られる宮坂醸造(長野県)などのアドバイスを受けながら、2011年に醸造をスタート。現在は、トロントの高級レストランで提供されています。ご本人にお話を聞いてみると、目指している味わいは、「甘味と酸味のバランスのよさ」とのこと。「私たちのお酒は、カナダ人にとって親しみやすい白ワインのような、フルーティで甘みを感じる酒質を狙っています。かなり受け入れられるようになってきたので、現在少しずつドライなタイプも増やしているところです」と、カナダならではのアプローチを話してくれました。果たして海外で醸されたお酒は日本の審査員の目にどう映るのか、Kenさんの蔵の成績とともに「海外出品酒部門」の結果に注目していきたいところです。