文房具に造詣の深いライター/デザイナーのきだてたくさんが、オススメの文房具を紹介するコーナー。今回は、意味もなくぐりぐり書いたり、びりびり破いたりすることで、ストレス解消に効く文房具をご紹介!
病気を防ぐ意味でも紙文具でストレスを解消すべし!
先日、飲み会の席で知人の開業医が「病気の原因として『ストレスですねー』と言うと、ほぼ9割の患者さんが納得する」と言っていた。
なるほど。雑な診断だけども、確かにそうかもしれない。現代の日本で、自分にストレスがかかっていないと感じていない人など、まずいないだろう。むしろ、ストレスが無い=まともに働いていない、と受け取られてしまうため、面倒でも周囲に「自分はストレスフルである」と表明し続けねばならない、というストレスすらあるのだ。
とはいえ、ストレスを抱え続けると結果的に病気につながってしまうのは冒頭の医者の言う通り。そこで今回は、そんな日常のストレスにほどほどに効くノート・メモなど紙文具を紹介したい。
①ストレスは水に流そう!
ストレスの要因や内容をはっきり文字として書き出すことで、気持ちをすっきりさせる解消法がある。しかし、企業内のあれこれを書き残すと、後から法的にマズいことになる可能性もある。また、ストレッサー本人に文章を見られてしまう危険も大きい。そこで使ってほしいのが、マルアイ「ストレス流せるメモ」(410円)だ。
叫んでいるようなフキダシ型のメモに、普段からイライラ来ているようなことをぐりぐりっと書き殴る。誰かに見られたら社会的なアレコレが終わってしまうようなヒドいことを書いても大丈夫だ。なんせこのメモ、商品名通りキレイに流せてしまうのだ。
水分に触れると溶ける用紙なので、トイレや給湯室の流し台などで水に漬けると、あっという間にモロモロッと溶け崩れて流れていく。これならどうやっても中身を読まれることはない。
イライラすることを書くだけでもストレス解消になるが、さらにそれを水に流してしまうと、本当に嫌なことが溶けて消えていくようで、思ったよりもカタルシスがある。その上に書いたことが絶対にストレッサーにバレることはないのも、安心感があっていい。
②単純作業で気分を切り替え!
単純作業を延々と続けるのも、ストレス解消に効果的だ。例えば編み物や刺繍に没頭すると気持ちが落ち着くし、もっとシンプルに梱包材のエアクッションシートをプチプチ潰すのもスッキリする。コクヨ「チビット」(356円~)は、プチプチを潰すのに似た効果が得られるメモ帳である。
用紙全面に方眼の罫線がうっすら入って見えるが、じつはこれは全てミシン目の切り取り線。メモった文言を必要なところだけ切り離せる、という機能性文房具で、このミシン目(5~6㎜方眼)を無心にビリビリとちぎるのがなかなか気持ちいい。
ストレッサーとなっている事案の内容や相手の名前をぶつぶつ呟きながらちぎるとさらにスッキリするが、他人に見られると問題になりそうなので、その辺りは個人の判断でやってもらいたい。
ちぎってしまった破片はゴミになるだけなので勿体ない気もするが、ストレスが溜まって仕事が滞るぐらいなら、メモ用紙1枚2枚を無駄にして気持ちを切り替えたほうがいいだろう。
単純作業の繰り返しといえば、メモの端にぐるぐると意味もなく落書きをするのも気分を変える効果がある。ATYPYK「KILL TIME」(15ユーロ・約1829 円)は、そんな意味のない落書きをするのに特化したノートだ。
ページごとにそれぞれ落書きのベースが印刷されており、そこに好きなだけ落書きをすることができる。(逆に、普通にノートとして使えるページは無い)
例えば、何台もの自動車が印刷されたページであれば、マフラーの辺りから好きなだけぐりぐりと排気ガスを書いていい。ガットの張ってないラケットのページに黙々と格子を書き込むのも集中できそうだ。「13」という数字の「3」の部分に書き足しをして「18」にする、という、意味は分からないけどやってしまいがちな落書きを好きなだけ繰り返せるページもある。
落書きのパターンは全部で60種類。これだけ思う存分に落書きしたら、かなり気分も落ち着きそうだ。
③破壊衝動に身を任せる!
で、これだけやってもまだストレスが溜まってる! イライラする! というのであれば、もういっそ、ビリッと本能的な破壊衝動に身を任せちゃってもいいんじゃないか、と思うのだ。
エディット「スカッとノート」(540円)は、破り心地にこだわって作られたノート。なので、イライラした時は思いっきりビリビリと破いていいのだ。というか、メーカー推奨の使い方が「破る」なので、もう、好きなだけ破ってしまおう。
そもそも、破り心地に対するメーカーのこだわりがスゴい。まず、破りやすすぎると爽快感が無いし、破りにくいとイライラする。ということで選ばれた、ちょうどいい手応えで破れる紙を使用。破れ目が直線的にならずギザギサとするのも、破った感があって爽快だ。
もちろん破れる時の「ビリビリッ」という音も重要ということで、心地よいサウンドにもこだわって作られている。
さらに、「細かくちぎってばらまきたい」という要望も想定済み。細かめに破ったものを握って持ってもひとかたまりになりにくい紙質なのもポイントだ。
……と言っても、べつに普通の紙を破ってもそこそこ爽快感は得られるだろう。なんであれ、破壊するのは爽快なんだし。
しかし、筆者のような気の弱い人間は、メモ用紙をちびちび破った後に「ストレスが溜まるぐらいなら、メモ用紙1枚2枚を無駄にして気持ちを切り替えた方が……」などと無用の言い訳をしてしまうものだ。これでは逆に余計なストレスが溜まる可能性もある。
最初から「好きなだけ破っていいよ! ビリビリいっとけ!」と言ってくれているのであれば、そんな無駄な心配なく爽快感を享受できるだろう。
ジャンジャンビリビリ、やっちゃってもらいたい。本当にけっこう気持ちいいから。
【URL】
マルアイ http://maruai.co.jp/ ※商品サイトなし
コクヨ https://www.kokuyo-st.co.jp/
コクヨ「チビット」 https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/tidbit/
ATYPYK http://atypyk.com/
ATYPYK「KILL TIME」 http://atypyk.com/objects/kill-time/
エディット http://www.edit-note.com/
エディット「スカッとノート」 http://www.edit-note.com/shopdetail/001000000008/