この10年あまりを振り返ってみても、家電はめざましく進化しています。洗濯機も、ドラム式や乾燥機能搭載モデルの普及が進み、洗濯の効率はぐっとよくなりました。また、各メーカーが電気代や水道代を抑えた省エネ性の向上に力を入れているため、洗濯機自体の機能・性能がアップし、それと同時にハイエンドモデルの価格も高額化しています。
そういった“大きな買い物”だからこそ、じっくり比較検討して気に入ったものを選び、手に入れればなるべく長く、便利に使いたいと思うものでしょう。とはいえ、どんな家電にも寿命はあり、使用年数が長くなれば性能が落ちてきてしまうことも。また、メンテナンスを怠ってきたために、まだ寿命ではないのにパフォーマンスが悪化しているケースも少なくありません。
まずは、今ある洗濯機が本来持つ機能を最大限に活かすためのメンテナンス方法をマスターしましょう。そこで今回は、総合家電メーカーのパナソニックで広報を務める石井由美さんに聞きました。
買い替えのタイミングは7~10年を目安に
洗濯機の平均使用年数は、およそ10年(※消費動向調査 平成29年3月実施調査より)。寿命が決まっているわけではありませんが、洗濯機の性能は10年で飛躍的によくなっているので、買い替えを検討するタイミングとして目安にするのがいいでしょう。
「たとえばドラム式では、2010年に発売したヒーターで乾燥させるタイプの乾燥機つき洗濯機と、昨年発売したヒートポンプタイプの乾燥機つき洗濯機を比較すると、年間の電気代+水道代で2万円弱のコストダウンが期待できます。また、洗濯から乾燥にかかる時間も、ヒーター乾燥では約170分かかっていたものが、ヒートポンプでは約98分と早くなっているんです」(パナソニック・石井さん)
メンテナンスで、買ったときと同じ洗浄力を取り戻そう
まだ買い替えを検討していない場合は、日々の使い方や掃除の仕方について見直し、メンテナンスしてみましょう。メーカーによって推奨していることはさまざまですから、取り扱い説明書を読み直してみることも大切です。
【洗濯機の寿命を延ばす使い方】
1.洗う前の洗濯物を洗濯槽に溜めない
洗濯機をまわすまで、日々の洗濯物を洗濯槽の中に溜めていませんか? 蓋を閉めてしまえば来客があっても気にならないので便利ですが、洗濯物についた湿気と菌が洗濯槽に充満して、黒カビや雑菌繁殖の原因になります。
洗濯機をまわしたあとすぐに蓋を閉めてしまうと湿気がこもるので、層乾燥機機能なども活用してしばらく乾燥させておき、洗濯機の中はいつも乾いた状態で清潔にしておくことを心がけましょう。
「洗う前の衣類は、洗濯かごに入れて保管することをお勧めしています。洗濯機を回すとき以外は、洗濯槽にものを残さないようにしましょう」(パナソニック・石井さん)
2.規定以上の洗剤を入れない
汚れ落ちが悪かったり、柔らかさが足りなかったりして、洗剤や柔軟剤を用量以上に入れてしまうと、衣類に洗剤が残り、黒ずみの原因になってしまうことがあります。汚れ落ちや柔らかさに不満を感じる場合は、洗剤自体を変えることや、洗濯時間や洗浄コースを変えてみるのもひとつの方法です。
また、洗濯機自体に搭載された先進機能を活用する手も。「パナソニックの最新式ななめドラム洗濯機では、衣類の量やコースによって洗剤や柔軟剤を自動的に計量し、投入するシステムがついていますので、ボタンを押すだけで手軽にお洗濯していただけます」(パナソニック・石井さん)
3.洗濯する前に洗濯物の汚れを確認する
洗濯かごに入れた衣類を洗濯機に移すときに、汚れの状態を確認してみましょう。ペットの毛や髪の毛、埃、子どもたちが外遊びで持ち帰った砂や小石、泥汚れなどは、他の洗濯物に汚れを付着させてしまうだけでなく、洗濯機自体を傷つけたり、洗濯槽の汚れにつながったりします。洗濯機に入れる前に予洗いをしたり、ブラシで落としたりしてから、洗濯機を回しましょう。
また、このときにひとつひとつの洗濯物のシミや汚れを把握しておくことで、部分用洗剤をつけるなどの対策をするのもおすすめです。
「例えば、防水性のアウトドアジャケットやレインコート、ウエットスーツなどは洗ったり脱水したりできません。取扱説明書をよく読み、洗濯できないものをチェックしておきましょう」(パナソニック・石井さん)
4.使うたびにするメンテナンスと、月イチのメンテナンスを怠らない
洗濯機を使い終わったあとは毎回、糸くずフィルターの掃除が必要です。また、ドラム式は週に一度は排水フィルターの掃除をし、乾燥機を使ったときは、必ず毎回乾燥フィルターの手入れをしてください。
洗濯槽の隙間の埃は、汚れが気になったら柔らかい布などで拭き取り、洗剤の投入口や風呂水フィルターも汚れたら掃除するようにして、いつも清潔な状態で洗濯機が回せるように保っておきます。また、月に一度は塩素系漂白剤で洗濯槽のクリーニングをすることで、付着している汚れを除去できるほか、カビの繁殖やニオイの発生を防ぐことができます。
「パナソニック製品では、黒カビの原因となる洗剤カスの付着を抑制するため、洗濯するたびに自動で洗濯槽を掃除ができる機能があります。一部機種には衣類を取り出したあと蓋を閉めれば、“ナノイー”で自動で槽のクリーニング運転をできる機能があるので、黒カビの発生を抑えることができます。洗濯物のニオイや黒カビの付着が気になる場合や、年に一度程度は、推奨している洗濯槽クリーナーでのお掃除がおすすめです」(パナソニック・石井さん)
ニオイや衣類に付着する汚れが気になり始めたら……
プロによる洗濯機クリーニングですっきりきれいに!
自分でお手入れしていても、やっぱりニオイが気になる、衣類に汚れが付着しているなどと感じている場合は、洗濯機そのものの汚れが取りきれていないこともあります。自分でお掃除できない部分は、プロのクリーニングを試してみましょう。
ダスキンの全自動洗濯機除菌クリーニングサービスは、縦型にもドラム式にも対応しています。ダスキン広報担当の梅村理恵子さんに、どういったサービスを受けられるのかを教えてもらいました。
見たくない現実ですが……左側はクリーニング前の洗濯槽の汚れ。洗濯槽を覗き込むだけでは見えない裏側の部分に、洗剤の残りカスやカビ、繊維のくずがたまり、汚れとして層になって付着しています。これではいくら洗濯しても、洗濯槽に繁殖しているカビが衣類についたり、水流がうまくまわらなかったりして、ニオイや汚れをしっかり落とせないこともあります。
「電動ブラシや専用の資機材を使って届きにくいところをお掃除させていただき、ダスキン独自の薬剤を使って漬け置きしたりすることで、右の写真のようにクリーニングすることができます。ニオイや汚れが気になったら、一度クリーニングするとよいと思いますよ」(ダスキン・梅村さん)
縦型全自動洗濯機除菌クリーニング1台
標準料金:1万2960円
ドラム式全洗濯乾燥機除菌クリーニング1台
標準料金:1万9440円
暑さと湿気で雑菌の繁殖が気になる季節だからこそ、普段からしっかりとお手入れして洗濯し、気持ちのよい衣類に袖を通したいものです。きちんと除菌・洗浄されていない衣類を着ると、汗や湿気で濡れたときに生乾き時の独特なニオイがしたり、下着やピローシーツなど、肌に直接触れるものは、その不衛生さが肌荒れの原因につながったりすることも。きれいな洗濯機で正しく洗濯し、清潔な毎日を過ごしましょう。
パナソニック https://panasonic.jp/wash/
ダスキン 洗濯機クリーニング https://www.duskin.jp/servicemaster/landry/sm000170/
取材・文=吉川愛歩 構成=Neem Tree