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2018/8/22 17:00

白物ライターに黒物家電の招待状が、なぜ。「画質こだわらない派」にも薦めたい三菱電機の新4K液晶テレビ「REAL 4K RA1000」

「画質」や「音質」といわれても……

皆さんは家電に「黒モノ」と「白モノ」というジャンルがあることを知っているでしょうか? 黒モノとはテレビやオーディオなどのAV機器、そして白モノとは冷蔵庫や掃除機、調理家電といった生活家電のことを指します。これは、テレビなどは黒いデザインが多く、冷蔵庫などの生活家電が白いデザインが多かったことから普及した名称といわれています。ちなみに筆者は白モノ家電を専門に執筆する「白モノ家電ライター」なのですが、そんな筆者になぜか三菱電機から「10月に発売するテレビの新製品説明会」の招待状が届きました。

↑新製品説明会が行われた京都にある三菱電機 京都製作所。音響などのさまざまな研究施設もあります

 

筆者が「黒モノ」に手を出さない理由は非常にシンプル。それは画質や音質にそこまでのこだわりがないからです。もちろん画質や音質が良いなら嬉しいとは思いますが、大金をはたいて「最高画質」を追求する熱意はありません。そして、じつは一部のAV機器好きを除いて、世の中にはこういったユーザーは意外と多いと思っています。そこで、ここでは「画質に(そこまで)こだわりのない人」の視点で新製品について紹介したいと思います。

 

4Kチューナーと録画機能の「全部入り」テレビ

さて、今回発表された製品は三菱電機の4K液晶テレビ「REAL 4K RA1000シリーズ」(以下、RA1000)。名前の通り4K対応のテレビで、40インチ、50インチ、58インチの3モデルが用意されています。本製品の特徴は新4K衛星放送チューナーを内蔵していること。また、2TBのハードディスクを内蔵していて、4K番組の録画も可能。もちろんUltra HDブルーレイディスクの再生にも対応した、いわゆる「全部入り」テレビです。

↑新しく発表されたREAL 4K RA1000シリーズ。左から40型のLCD-A40RA1000、50型のLCD-A50RA1000、58型のLCD-A58RA1000

 

AV機器に詳しくない人にとって、この「全部入り」は非常に魅力的。とくに嬉しいのが4Kチューナーの内蔵でしょう。じつは今年の12月から新4K8K衛星放送が本格的に開始しますが、この放送を受信するのに必要となるのがこの4Kチューナーなのです。ところが、現在発表されているK4テレビの多くはチューナーを後から取り付けるタイプ。こういった「外付け機器」の導入は、テレビに詳しくないユーザーにとっては意外と高いハードルです。

 

掃除がしやすいのはかなり魅力的

さらに、外付けの機器を導入するデメリットには「テレビ裏の配線が増える」という問題があります。チューナー1台くらいなら問題はありませんが、レコーダーやアンプなどを足していくとテレビ裏の配線はスパゲティのような状態に。こうなると、ケーブルのあいだにホコリは溜まる上、テレビ台をずらしてケーブルが抜けようものなら、元に戻すのも困難です。ところが、RA1000は本体裏から出ているコードは電源コードとアンテナ用のコードの2本だけ。これで4K衛星放送の視聴からレコーダーへの録画、ダビングなどができるのは嬉しいポイントです。

↑一体型のRA1000(写真右)とチューナーとレコーダーを外付けにした製品(写真左)の背面の配線を比較。非一体型は配線の汚さはもちろんですが、外付け機器ごとに電源を必要とするのも大きなデメリット

 

また、付属するリモコンがシートタイプなのも掃除をするうえで便利。一般的な「ゴムでできたボタン式のリモコン」はボタンと本体の隙間に細かなチリやベタつく食べかすなどが入り込みやすいもの。このため、リモコンには専用ビニールを貼り付けている人も多いのです。ところが、本体とボタン一体型のシート式リモコンなら、全体をさっと布で拭くだけで汚れが落ちます。毎日触るものだけに、こういった細かな配慮は嬉しいですね。

↑シート式リモコンなので「ボタンの隙間が汚れる」といった問題もなし。ちょっとジュースがかかってしまったくらいならティッシュですぐキレイになります。ただし防水ではないので注意

 

「ながら見」に便利な機能満載

もうひとつ気に入ったのがRA1000の「ながら見」に最適な機能の多さです。ニュースや天気予報といった番組は「ながら見」することも多いもの。そんなユーザー向けにRA1000はリモコンで画面の向きを変更できる「オートターン」機能を搭載しています。最近はリビングにオープンキッチンが隣接した部屋も多いですが、料理をしながらの視聴にも最適です。また、専用アプリをインストールすればスマホからもテレビ操作が可能なので、いちいちリビングまでリモコンを取りに行く必要もありません。

↑オートターンで液晶画面を前後40度(前20度、後ろ20度)まで回転可能。液晶テレビは斜めから見ると色が薄く見える視野角の問題があるので、地味ながら便利な機能です

 

↑スマホの専用アプリを使った操作も可能です。わざわざリモコンを取りに行くことなく手元で操作が可能。もちろんオートターン機能もスマホで操作できます

 

もうひとつ「ながら見」に便利だと感じたのがBluetooth送受信に対応している点。テレビの音声をBluetooth対応のスピーカーやイヤホンに飛ばして再生できるため、台所で洗い物をしているシチュエーションでも手元スピーカーなどで音声を聞き逃すことがありません。他社製品でもBluetooth対応テレビはあるのですが「Bluetooth使用時はテレビ本体スピーカーからは音声出力できない」という仕様が多いもの。その点RA1000は本体とBluetooth対応機器両方から音声出力ができます。このため、リビングの家族とキッチンで料理する人が同時にテレビを楽しむことができるのが魅力的でした。

↑写真ではJBLの手元スピーカーでテレビ音声を出力。シンクで水を流していてもハッキリと音声が聞き取れます

 

ちなみに「ながら見」でもうひとつ便利に感じたのが「声ハッキリプラス」機能の搭載。これは人の声だけを強調する機能です。バラエティのロケ番組などでは、背景音に紛れた声が聞き取りにくく、画面上に音声スーパーをいれることも多いものですが、家事中は画面を見ずに音声だけで内容を把握することも多いもの。こんな場合に声だけをハッキリと再生する本機能が力を発揮しそうです。

 

いざというときの安心感も

ちなみに、三菱電機スタッフによるとRA1000は耐転倒設計にも力を入れているのだとか。最近は日本各地で地震が起きていますが、年々薄く大きくなるテレビは地震の際の転倒も心配です。同社によると、日本では「テレビが10度傾いても倒れない設計」にする必要があるそうですが、RA1000はそれ以上の角度でも倒れることのない地震に強い設計になっているといいます(対転倒角度の数値は非公開)。会場ではスタッフが無理にテレビを傾けたり、揺らしたりしましたが、本体をかなり傾けた状態にしても倒れることはありませんでした。ただし、この耐転倒設計のためか、本体下にある専用スタンドは本体画面よりもかなり前方に張り出ています。最近の「インテリアの邪魔をしないミニマムデザイン」からは逆行しているので、このあたりは好みが分かれるかもしれません。

↑会場ではスタッフがテレビを勢いよく傾けたり、押したりしましたが倒れることはありませんでした。スタッフによると、最近の地震では「本棚が倒れたのに三菱電機のテレビは倒れなかった」という声もあったのだとか

 

このほか、レコーダーやブルーレイディスクプレイヤーなど、機能一体型テレビの場合「どれかのパーツが壊れたらテレビが観られなくなるのでは?」と心配になりますが、RA1000は録画用の内蔵HDDやブルーレイディスクドライブなどのユニットを取り外してもテレビの視聴が可能です。内蔵HDDやブルーレイディスクドライブだけの故障なら、修理中もテレビを使い続けられるのは便利だと思いました。

↑内蔵HDDやドライブを取り外しても、テレビの視聴は可能。取り外せるユニットだけの問題なら、修理中もテレビを使い続けられます

 

個人的に残念なのは全録に対応していないところ

実際にRA1000を触ってみて、さまざまな点で魅力を感じた本製品ですが、ひとつだけ残念だったのが、ここまで生活に密着した「使いやすさ」を追求しているにもかかわらず「全録」機能を搭載していないこと。全録とは複数チャンネルを数時間~数日間全部録画する機能で、わざわざ番組を指定して録画しなくても、視聴し忘れた数時間~数日分の番組などを気軽に視聴できます。このため忙しいユーザーや子育て世帯などに人気の機能。本製品は生活密着型の製品だけに、できれば搭載して欲しかった機能です。

 

ちなみに、今回は画質や音質についてあえて言及しませんでしたが、RA1000は高性能の4Kエンジンを搭載しているため、もちろん非常に高画質。会場ではテレビを並べて画質の比較なども行われましたが、RA1000はコントラストが高く鮮やかな映像をパキッと表現していました。個人的にはアニメやCG系向きの派手な映像に向いた画質だと感じます。また、音質については同社の老舗音響ブランドDIATONEのスピーカーを搭載しており、とくに中高域の音にキレのある音を楽しめました。

↑スピーカーにはこだわりの「DIATONE NCVスピーカー」を搭載しているそう。非搭載テレビとの聞き比べ体験もありましたが、スキッと澄んだ音が印象的でした