自室で音楽を楽しむ際、iTunesをはじめとしたソフトを使ってPCから再生している方は多いのではないでしょうか。でも、自室の環境では音質が悪いと感じることもありますよね。
やっぱり高性能オーディオ機器を買わないとだめなのか……。でもそんなことはありません! お金をかけず、ちょっと工夫するだけで、明らかに音質が向上することがあるのです。
ここでは、手間やコストをかけず、iTunesなどを使ったPCオーディオの音質が上がる6か条を紹介。音質にお悩みの方は、ぜひ試してみてください!
PCオーディオ機器は、別々のコンセントを使う!
PCは多くのノイズを発生させる機器ですが、そのひとつに電源コンセントを通じてオーディオ機器に侵入する「電源ノイズ」の存在があります。これを避けるには、PCとオーディオ機器の電源を、別々のコンセントから取るのが有効。それぞれの電流経路を物理的に遠ざけることで、混入するノイズの影響を抑制し、音質の劣化を防げるのです。
部屋にコンセントが2つ以上あるなら、ひとつをPC用、もうひとつをオーディオ用にするのが効果的です。コンセントが1つの場合でも電源タップを使えば、ある程度ノイズを抑制することができます。
ノートPCの場合は、バッテリー駆動にする!
電源コンセントから侵入する電源ノイズは、PCだけでなく、エアコンや蛍光灯などの電化製品からも発生します。PCオーディオでは、PCのACケーブルを使用せずバッテリー駆動にすれば、外部からのノイズを抑えることができます。
また、家庭用電源の電圧は100Vと定められていますが、多少の変動があるため、それが音質の影響を与えます。PCからACケーブルを抜けば、電圧の変動の影響も受けることなく、安定した電力供給を実現できるのです。
使っていないソフトのウィンドウは閉じる!
PCオーディオにおいて、ブラウザやメーラーなど複数のソフトを同時に起動したままの音楽再生は、音質劣化の原因になります。PCの作業量が増えて高周波ノイズを多く発生させてしまうためです。CPUの負担が極端に大きなソフトでは音飛びや雑音が発生することも。
またNASを利用して音楽を再生するケースでも、接続しているPCで大きな負担がかかる作業をすると、ネットワークプレーヤーへ転送する音源データに悪影響を与えがちです。じっくりと音楽鑑賞をする際は、不要なソフトはできるだけ閉じるようにしましょう。
正しいポジションにスピーカーを設置する!
スピーカーを正しく設置することは、音質向上の基本中の基本。スピーカーから出る音はあらゆる方向に放出されますが、広域になるほど直進性が増すため、適切な高さでないと聞き取りにくく、音場感を損なってしまいます。スタンドなどで調節して、高域用のユニット(ツイーター)と耳の高さを揃えるのが理想的でしょう。
また、左右のスピーカーがリスニングポジションから等距離に無いと、音が左右の耳に到達するタイミングにズレが生じ、ステレオ感が得にくくなります。2台のスピーカーと聴取位置の関係は、「正三角形」がベストです。
スピーカーの周囲に、最低15cmのスペースを確保する!
スピーカーから出る音には、直接耳に届くものと、周囲の壁や物に反射して少し遅れて届くものがあります。後者は「間接音」と呼ばれ、音の広がりに影響します。スピーカーの周囲に物が多くあると、不要な反射が増えて間接音の明瞭度が下がってしまい、定位感や音場感が損なわれてしまいます。
そのため、スピーカーの周囲には物は置かず、スムーズに音が放射されるようにしたいところです。最低でも、15cm以上のスペースを確保しましょう。スピーカーとスピーカーの間に置くことが多いPCも、不要な音の反射と原因となります。PCとスピーカーの距離もできるだけ離しましょう。
ケーブル類は重ならないように、整理整頓を心がける!
デスクトップでのオーディオ再生は、電源コードやUSBケーブル、オーディオケーブルなど、配線が集中してしまいがちです。しかし、ケーブルが煩雑になっていると音質への悪影響を及ぼします。ケーブルは種類によって流れる電気や信号が異なるため、互いに影響を与えやすいのです。
そのため、種類の異なるケーブルをまとめて束ねてしまうのはNG。種類ごとに整理し、それぞれが交差したり絡まったりしないようにしましょう。これにより相互の干渉が減り、雑味のないすっきりした音になります。もちろん、見た目も良くなるので一石二鳥です。
いかがでしたでしょうか。あなたはすべてクリアしていましたか? 音楽を楽しむのなら、オーディオ機器の性能を引き出せる環境を用意して、できるだけ良い音で楽しみたいですね。
イラスト/勝間田しげる
※この記事は、ムック「大人のためのハイレゾオーディオ完全マニュアル」に掲載した内容を再構成したものです。