三菱電機のエアコン「霧ヶ峰」といえば、同社が持つ独自の赤外線センサー「ムーブアイ」で有名。特に上位機種には、AI技術を搭載した赤外線センサー「ムーブアイmirA.I.」を搭載し、360°部屋の隅々までセンシング。床や壁からの輻射熱や、窓からの日射熱などを検知・分析し、外気温などの変化により、部屋にいる一人ひとりに起こる少し先の体感温度変化を予測します。
部屋に居るのが大人か子どもかを見分け、それぞれの暑さ寒さの感じ方の違いも見分けたうえで、気流の角度や風量を調節するといいますから、不便を感じる前に察してサーブする、まさに「有能な執事」そのものなわけです。そして今回、同社はさらに湿度までも察してコントロールする新製品を発表しました。以下で詳しく見ていきましょう。
エアコンまかせで勝手に最適な環境をキープ
今回発表したモデルはハイエンドモデルの「FZシリーズ」と「Zシリーズ」。発売はともに11月1日で、価格はFZシリーズが32万8000円~44万8000円前後(税抜)、Zシリーズが21万8000円~39万8000円前後(税抜)。両シリーズは、先述の「ムーブアイmirA.I.」に加え、世界初の機能「おまかせA.I.自動」を搭載。こちらは住宅によって異なる「顕熱(温度)負荷」、「潜熱(湿度)負荷」まで分析し、少し先の部屋の温度と湿度の変化を予測。最適な運転モードや気流に自動で切り替える機能です。
ボタン切り替えが不要で、省エネにも効果あり
例えば、温度はそのままに、湿度だけを下げたい場合とき。従来の冷房であれば、設定温度に達すると、冷房と同時に除湿も抑えてしまい、温度が低くても湿気でムシムシする場合もありました。しかし、「おまかせA.I.自動」なら、AIが判断して自動で湿度を下げる運転だけに切り替えてくれるので、常に快適な状態がキープされるわけです。なお、温度・湿度がこのままでもOKと予測した場合は、送風のみに切り替えるなど、賢く運転してくれます。
さらに、いまどんな運転をしているか、リモコンを見れば一目瞭然。「A.I.ナビ」機能により、「少し先のしつど(湿度)のバランスを予測し除湿に切り替えました」「外気・日射・住宅の性能から体感温度の下降を予測! 早めに控えめな運転にしました」など、理由とともにリモコンに表示してくれます。こうした「見える化」機能の搭載も、満足度のアップに貢献することでしょう。
なお、操作は基本的に「A.I.自動」ボタンを押すだけでOK。つまり、ボタンひとつ押しておくだけで、エアコンが勝手に最適な状態を保ってくれるわけです。デジタルカメラで言う「インテリジェントオート(※)」が搭載されたようなものですね。
※インテリジェントオート…被写体の撮影状況を自動で認識し、最適な設定で撮影してくれるデジタルカメラの機能
↑表示がわかりやすいFZシリーズ、Zシリーズのリモコン。一番押しやすい中央部には、「A.I.自動」と「停止」のボタンを配置しています
なお、この機能は、省エネにもメリットあり。室温や湿度が上がってから対応する従来の後追い運転では、必要以上の負担が強いられてしまうため、消費電力も高くなってしまいます。その点、「おまかせA.I.自動」なら、先読みして今後必要なぶんだけ運転するので、ユーザーは快適なままエネルギーも節約できるというわけです。
無線LANアダプターで、スマートスピーカーでの音声操作も可能
冷房の機能も強化しています。本機は、屋外気温が46℃でも冷房運転ができることを保証する「STRONG冷房」を実現。日本の歴代最高気温は先日、2018年7月23日に記録した熊谷の41.1℃で、いままでの保証温度43℃でも大丈夫そうですが、四方をコンクリートで囲まれた場所では観測気温以上の温度になることも。46℃までの対応はありがたいところですね。
さらに、別売の無線LANアダプターを導入すれば、スマートスピーカーによる音声操作が実現します。とはいえ、「おまかせA.I.自動」によって、エアコン操作の頻度が激減すると思うので、これらの連携もそこまで必要ないかもしれませんが……便利であることは間違いありません。また、無線LANアダプターで、スマホによる遠隔操作にも対応。これからの季節、帰宅前に運転させておけば、暖かい部屋に帰れる幸せが味わえますね。
従来の温度変化の予測に加え、湿度も察して賢く運転してくれ、拡張性も楽しみな新「FZシリーズ」と「Zシリーズ」。もう、エアコンは一切操作しなくていい……本機はそんな未来の姿を見せてくれた気がします。