乗り物
鉄道
2018/9/10 20:32

ベイスターズ応援電車「ビクトリー号」、鉄道好きが興味津々のギミックとは?

9月、プロ野球はシーズン終盤戦を迎え、日々、過熱の度合いを高める。そんな折、横浜を本拠地とするDeNAベイスターズを応援する特別ラッピング電車「ベイスターズトレイン ビクトリー号」が東急東横線・みなとみらい線で運転を開始した。ラッピング電車は16日(日曜)まで走り続ける。

↑東急東横線、みなとみらい線を走った臨時「ベイスターズトレイン ビクトリー号」。渋谷駅発、日本大通り駅行きという珍しい特別列車となった 写真協力:HK

 

↑車内の様子

 

選手たちの雄姿を車内外にラッピングした「ビクトリー号」

東京急行電鉄(以下、東急と略)と、横浜高速鉄道、さらにDeNAベイスターズの3社の協力によって生まれた「ベイスターズトレイン ビクトリー号」。横浜高速鉄道Y500系8両編成を利用して、DeNAベイスターズ一色のラッピング電車として仕立てた。

 

もともとY500系は、車体の色が球団カラーのブルーを基調にした電車。車外にまず選手の写真がラッピングされている。さらに車内がすごい。ドアには躍動する選手たちの姿がラッピングされている。床や中吊りほかの広告スペースもすべてDeNAベイスターズだらけ。吊り革ももちろんDeNAバージョンだ。

 

ビクトリー号を利用した特別ツアーには特別ゲストも登場!

「ベイスターズトレイン ビクトリー号」が走り始めた初日の9月7日(金曜日)から3日間は、同列車を利用した「ビクトリーツアー」が行われた。渋谷駅から横浜スタジアムの最寄り駅、日本大通り駅まで走る臨時列車として運行。列車には公募により選ばれた250名が乗車。DeNAのユニフォームを着込んだ、熱心なファンの姿が目立つ。

↑球団ユニフォームを着込んだDeNAファン一色だった「ビクトリーツアー」。乗り込んだファンたちは、選手の雄姿を熱心に撮り歩くために車内を行ったり来たり

 

乗車したファンたちは、まずはラッピングされた電車の中を熱心に見て回り、記念撮影を楽しむ。取材日の特別ゲストは球団OBの三浦大輔さん、MCはダーリンハニー吉川正洋さんというコンビ。吉川さんは大の鉄道ファンであり、熱心なDeNAファンとして知られている。車内アナウンス用のマイクを利用しての、この2人の軽妙なやり取りに車内は大いに盛り上がった。

↑「ビクトリーツアー」初日は、特別ゲストとして“ハマの番長”ことOBの三浦大輔さんが同乗。乗車したファンにポストカードを配布、ハイタッチで応援ムードを盛り上げた

 

渋谷駅発12時48分、日本大通り13時33分着。途中の数駅で、運転停車はしたものの、ドアは開かずという東急としては非常にレアな臨時列車となった。特別ゲストの三浦大輔さんと吉川正洋さんが車内を巡り、ファンと交流する。あっという間に日本大通り駅に到着した。その後も記念グッズ抽選会や、スタジアム内での練習見学と盛りだくさんの1日となった。

↑乗客を送り届け、車両基地へ戻る「ビクトリー号」。車両は横浜高速鉄道のY500系が利用された。正面にはDeNAベイスターズのヘッドマークも掲げられた

 

ラッピングされた「ベイスターズトレイン ビクトリー号」は、9月16日まで東急東横線とみなとみらい線を中心に走り続ける。車内のラッピングは、この16日で外される予定だが、車体に貼られた選手たちの写真は、その後しばらくの間はラッピングされたままで走り続ける予定だ。

 

おもしろい車内ラッピングに鉄道ファンも興味津々

ベイスターズファンとして盛り上がり必至な「ビクトリー号」だが、鉄道好きにもおもしろい電車だった。車外をラッピングした電車は多いが、車内をラッピングしている電車となると、そう多くはない。

 

特に興味をひかれたのが、ドアに貼られた選手たちのラッピング。トンネルといった背景が暗い場所では、その迫力のシーンが1枚の写真のようになってしっかり見える。だが明るい背景のところで見ると、ガラス窓のみ透けてみえるように工夫されている。車両の運行のためには、この部分が透けることが必要なのだそう。ちゃんと鉄道車両のラッピングならではの難しい問題もクリアされていたわけだ。

↑ドアに貼られた背番号19は、「小さな大魔神」の愛称を持つ山崎康晃選手。背景が暗いトンネル内では、このように迫力ある投球シーンがしっかりと見える

 

↑明るいところでは、このようにガラス窓部分が透けて見えるようにつくられている。保安上の問題から、窓部分だけこのように透ける特別なラッピングシールが貼られている

 

↑車体の側面にはDeNAの選手たちのプロフィール写真がラッピングされている。乗降トビラのラッピングは、外から見ると、このように選手の姿が見えないことがわかる

 

ここまでは最近走り始めた「ベイスターズトレイン ビクトリー号」というラッピング電車を見てきた。このほかにも、ここ最近は全国の鉄道会社がラッピング電車を走らせている。次回はそうした事例を挙げつつ、ラッピング電車の最新傾向を見ていこう。