『なぜ、胃が健康だと人生はうまくいくのか』(江田証・著/学研プラス・刊)によると、私たち日本人は“胃弱民族”なのだそうだ。胃の不調を訴える人が多いだけでなく、なんと日本人として生まれると、男性で10人に1人、女性で20人に1人以上が胃がんにかかるというデータがあるそうだ。これは先進国の中でも突出していて、たとえば米国では胃がんは白血病と同じくらい、めずらしい病と思われているという。
自分の胃はなんともないと思っていても、日本人の6割に無症状のうちに進行する胃炎があるというというから、これは無視はできない。
胃がきれいな人は病気にならない
著者で医学博士の江田先生は毎日多くの患者の内視鏡検査を通じて実感しているのが「胃がきれいなピンク色をしている人は病気になりにくい」ということだそうだ。
胃とは、体の中心に位置する握りこぶし2個大の臓器です。この胃が持つパワーには驚かされるものがあり、また胃を整えることで全身が健康になることを日々実感しています。(中略)胃の状態は個人差が大きく、同じ年齢の人でも「胃のきれいさ」は、実際の年齢とは必ずしも相関しません。たとえば、100歳の人の胃でも美しいピンク色をして、ツヤツヤしている人もいれば、30歳の人でも非常に老化し、色あせてデコボコのニキビ肌のように荒れた肌をしている人がいるのです。
(『なぜ、胃が健康だと人生はうまくいくのか』から引用)
慢性胃炎はがんにつながる!
健康診断で「慢性胃炎ですね」と言われた経験のある人は意外にも多いのではないだろうか? これまでの医師たちは、慢性胃炎は加齢によって誰にでも起こるもので、病気ではないから放置しても問題ないという考え方を持っていたそうだ。
しかし、現在は”慢性胃炎は放置してはいけない病気”だということがわかっていると江田先生は言う。
慢性胃炎とは、胃の粘膜にジワジワと炎症が起こり、ずっと続いている状態を言います。怖いことに、この慢性胃炎は、ほとんど「自覚症状がない」のです。(中略)体の中に慢性的な胃炎が続くと、血管が固くなってしまう「動脈硬化」になってしまうことがわかってきました。体のどこかに慢性的な炎症があると、全身に影響が出るのです。最近の研究により、がんや病的老化、血管の病気など、ほとんどの病気のベースには、「炎症」があることがわかってきたのです。無症状(サイレント)な慢性胃炎というものが、いかに怖いかということです。
(『なぜ、胃が健康だと人生はうまくいくのか』から引用)
つまり、今すぐ、誰もが積極的に炎症を取る生活を心がけることが大切というわけだ。
胃がんは伝染する!
さて、胃炎を引き起こす原因は“ヘリコバクター・ピロリ菌”という細菌で、日本人の40歳以上の70%がこの菌に感染しているので要注意だと江田先生は警鐘を鳴らしている。しかも、ピロリ菌には極悪と弱毒があり、日本人のピロリ菌は悪いことに超極悪ピロリ菌で、高い確率で胃がんを引き起こすだけでなく、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因にもなっているそうだ。
さらに江田先生は「胃がんは伝染ります」とも言っている。
ピロリ菌が私たちに感染するのは、幼少期のころです。多くは5歳からで、遅くても11歳までに感染することがわかっています。しかし、大人になってからピロリ菌が口から入ってきても、食道から胃に入るまでの間に殺菌されてしまいます。幼少期には、胃酸を出す細胞が未熟で、免疫機能も不十分であることなどから、ピロリ菌が口から入ってくると、殺されずに胃の中に定着することがわかっています。このピロリ菌の感染経路は、「口━口感染説」が最も有力です。
(『なぜ、胃が健康だと人生はうまくいくのか』から引用)
つまりピロリ菌に感染した親から、口移しに食べ物を与えられるときに感染するのではないかと考えられているのだ。
江田先生は、人生の契機となるような機会をとらえて、ピロリ菌の検査をすべきだと提案している。万が一、ピロリ菌が見つかっても恐れることはない。しかるべき除菌療法を受ければいいのだから。
ピロリ菌を抑えるヨーグルト『LG21』
コンビニでも、ピロリ菌を抑える食品が置いてある。それは、「ラクトバチルス・ガッセリーOLL2716」という特別な乳酸菌が入ったヨーグルトで、『LG21』の名で商品化されている。
人間の胃は、胃酸が強く、普通の乳酸菌を食べても、胃酸で乳酸菌が死んでしまいます。「ラクトバチルス・ガッセリーOLL2716乳酸菌」は胃酸に強く、胃の中に一定時間接着し、ピロリ菌の数を減らすことができます。(中略)ピロリ菌の除菌治療を行う際、このヨーグルトを摂りながら除菌すると、除菌成功率が高まります。
(『なぜ、胃が健康だと人生はうまくいくのか』から引用)
さらに、胃の炎症を改善する野菜の代表は「ブロッコリー」で、含まれるスルフォラファンという成分にピロリ菌を抑える効果があるそうだ。
また、「キャベツ」も不快な胃痛、胸焼けの解消にひと役で、含まれるビタミンUに胃酸を抑える効果があるのだ。江田先生によるとキャベツは冷やすとビタミンUの量が増えるので、冷蔵庫で冷やし、千切りにして食べるのが最も効果的だそうだ。
加えて、今が旬のサンマをはじめとした青魚に豊富に含まれるEPS(エイコサペンタエン酸)もピロリ菌胃炎を改善してくれるという。ただし、しょっぱい味付けはNGで、塩分を控えた薄味で食べるよう心がけたい。
本書には、この他にも健康な胃を保つために知っておくべき知識のすべて記されている。また、よい医師の選び方や症状の伝え方のアドバイスまで紹介されているので、とても参考になる。
この一冊で胃の悩みはすべて解決だ!
【書籍紹介】
なぜ、胃が健康だと人生はうまくいくのか
著者:江田証
発行:学研プラス
「胃が快調になることでビジネスも生活も好転する」と断言。生命力と直結している胃を健康にすれば、人生も成功できる。全国から月に3000人の患者が訪れる胃の専門医が教える、健康胃をつくり望む人生を満喫する秘訣が満載。