世代交代が進む日本酒業界では、若手蔵元による個性的な味の傑作が続々と誕生しています。特筆すべきは、若手蔵元が醸す個性的な地酒「ネオ日本酒」です。趣向の多様化や冷蔵技術の発達、情報化などの影響もあり、酸を効かせたり、低アルコールにしたり、ガス感が楽しめたりと様々な酒が誕生。また、米から作る共同醸造などの動きも活発化しています。
ここでは、なかでも前衛的な5本を、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)認定唎酒師(ききさけし)・大黒静郎氏のコメントとともにご紹介していきます。
業界最注目の革新派蔵元が温故知新で醸す美酒
新政酒造(秋田県)
新政 ラピス
1700円
現存する最古の酵母「6号酵母」発祥の蔵元で、業界の革命児とも称されています。地元の美山錦を磨く「ラピス」は、昨年の「酒コンペティション」純米酒部門で3位を受賞しました。
「柔らかくエレガントな口当たり、そして甘みと酸味の絶妙なバランスに魅了されることは確実。大切な人と大切な日に味わいたい一本です」(大黒氏)
日本酒から “世界酒” になった醸し人の自作米による傑作
萬乗醸造(愛知県)
醸し人九平次 純米大吟醸 黒田庄に生まれて、
2495円(720mℓ)
いち早く世界進出した愛知のブランドで、パリの三ツ星レストランでも採用されています。米作りも手掛けており、黒田庄とはその栽培地のこと。味は鮮烈な柑橘香が特徴で、酸も十分。
「グレープフルーツのような香りと爽やかな喉ごしが存分に楽しめます。塩味の焼き鳥やキンメダイのしゃぶしゃぶと合わせたいですね」(大黒氏)
ピュアが信条の蔵元から低アルコールの銘酒が誕生
油長酒造(奈良県)
風の森 ALPHA type1
1134円(720ml)、2257円(1.8L)
風の森は奈良の老舗が地元の米で醸す、無濾過無加水の生原酒ブランド。低アルコールながらバランスのとれた酒質が本品の特徴で、従来の17%から14%へと抑えられています。
「口にした瞬間、微発泡の爽快感がやさしく広がります。低アルコールで飲みやすく、洋食時にシャンパン代わりの食前酒にしてもOK」(大黒氏)
味のバランスを考慮しつつ長期熟成させた食中酒
曙酒造(福島県)
天明 純米吟醸 一年熟成原酒
1512円(720ml)、3024円(1.8L)
会津の有望な若手蔵元が、旨み、甘み、酸味のバランスを考えて生み出す食中酒ブランド。1年間の熟成を経てから出荷される本作は、丸みを帯びた甘みが最大の特徴です。
「熟成によって引き出された旨みが心地良い余韻をもたらします。濃い味付けの煮物などに合わせてもバッチリ! ぬる燗でもいけますよ」(大黒氏)
宮城の才能が結集して紡ぐ凛とした味の純米大吟醸
DATE SEVEN(宮城県)
DATE SEVEN 純米大吟醸
2160円(720mℓ)、4320円(1.8L)
地元の蔵元同士が協力するのも昨今見られる新たな潮流のひとつ。本作は宮城の7つの人気蔵元が結集して醸造された1本。現在は完売しており、次回作に注目が集まっています。
「グラスを近づけるとフルーティな香りが鼻孔をくすぐります。すっきりした喉ごしながら旨みも十分。白身魚の刺身と好相性です」(大黒氏)
各分野で地産地消スタイルが注目されていますが、日本酒こそ、その土地の魅力が詰まった1本が味わえます。オシャレなラベルデザインは、パーティシーンやギフトにもぴったり。ぜひ若手の個性派による1本をお試しください。
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