2017年7月に登場したイヤホン「AZLA」は、同軸ハイブリッドドライバーや2重構造のハウジングなど、これまでにない技術を詰め込んだ斬新さが話題となりました。そして、この秋にはマイナーチェンジを施した第2世代目の「AZLA MK2」が登場。今回は、新しくなったAZLAのサウンドを、この春に発売された同ブランドの兄弟機「HORIZON」と比べながら、それぞれの個性的なキャラクターを紹介していきます。
AZLAは2017年夏に日本上陸を果たした韓国のブランド。デビューを飾ったイヤホンがブランドの名前を冠する「AZLA」でした。AZLAと同じ3~5万円台のイヤホンのなかには独自の技術によって高音質化に工夫を凝らしたものも多くありますが、AZLAはBA型とダイナミック型のドライバーを1基ずつ同軸上に配置するハイブリッドシステム「BED」を特徴とした、精度の高いサウンドが発売以来好評です。
本機のハウジングはユニークな二重構造になっています。内側のアルミブロックから削り出したハウジングには、ドライバーから生まれる背圧をコントロールするために大型のベンチレーションポート(空気穴)を設けています。そしてその外側をポリカーボネート樹脂のハウジングで密閉した構造が、「オープン型イヤホンのように開放的な音がする密閉型イヤホン」というオリジナリティを引き出しています。
イヤホン「AZLA」の開発によって培われた技術をベースに、同社は8mm口径のダイナミック型ドライバー1基だけでワイドレンジ、かつ力強く伸びやかなサウンドを実現したイヤホン「HORIZON」を2018年春に発売しました。AZLAよりもハウジングが数段コンパクトになったので、女性にも日常の音楽リスニングに最適なイヤホンとして高く評価されています。
そして初代のAZLAから数えて約1年の開発期間を経て「AZLA MK2」が誕生しました。本機にはHORIZONの成功によって得た資産が惜しみなく活用されています。初代のAZLAからリファインされたポイントは主に「フィルター」「ケーブル」「イヤーピース」の3点と言われていますが、それぞれを詳しくみていきましょう。
イヤホンの外観やサイズは初代のAZLAから大きく変わっていません。「BED」システムによる同軸ハイブリッドドライバーを、アルミとポリカーボネートの異素材二重シェルで覆った「Infinity Driver」などの高音質化技術も継承されています。
変更されたポイントのひとつめは、ノズル先端のメッシュフィルターのパターン。こちらが変更されたことにより、高域にいっそうの透明感と広がりが加わっています。音のインプレッションについては後ほどまた触れたいと思います。
そしてふたつめのポイントであるケーブルは、銀メッキをかけた銅線による3芯構造として伸びやかな音に磨きをかけました。ケーブルが少し柔らかくなっているので、取り回しが快適です。なおAZLAは新旧モデルともにリケーブルの仕様が2ピンコネクターになります。HORIZONはMMCXなので、それぞれに交換ケーブルなど対応するアクセサリーに違いがあることを覚えておくとよいでしょう。
そして最後のポイントであるイヤーピースには、HORIZONから採用が始まったAZLA独自の「SednaEarfit(セドナイヤーフィット)」が付いてきます。設計に788人の耳型データをサンプルとして、誰の耳にも快適なフィットを追求。イヤーピースはイヤホンの底力を引き出してくれる重要なアイテムですが、HORIZONを発売以来愛用している筆者としては、このSednaEarfitイヤーピースが新バージョンのAZLAに採用されたことが何よりうれしい改善点かもしれません。
音質や遮音効果もさることながら、シリコン素材がとてもきめ細かいので、耳に入れた時の肌触りがとても滑らかなのです。飛行機での長旅に持ち出す時は、イヤホンを付けっぱなしにして音楽を聴いたり、機内エンターテインメントの視聴に大活躍してくれます。SednaEarfitのイヤーピースは単品販売もしているので、ぜひ試してみて下さい。