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自己啓発
2018/10/31 17:45

日本シリーズの勝敗の行方は?――日本一の下剋上キャッチャーが語る「勝者のメンタリティー」

2018年の日本シリーズが始まった。3戦が終わった時点で、1勝1敗1分け。これまでいくつもの名勝負が繰り広げられてきた日本シリーズ。今年も2018年だけのドラマが紡がれるのだろう。

 

 

思い出深い日本シリーズベスト3

筆者にとってベストの日本シリーズは1979年の広島VS近鉄だ。“江夏の21球”である。筆者の年代の野球ファンなら、誰もが鮮やかに思い出せるシーンにちがいない。

 

そして1986年の広島VS西武。初戦延長14回引き分けの後、2戦目から広島が3連勝したが、西武が驚異の4連勝で大逆転。ドラマの発端となった第5戦の延長12回裏にサヨナラヒットを打って勝ち運を引き寄せたのは、今年監督として広島と対戦している工藤公康投手。この一打がきっかけになって、西武ライオンズが史上初の8戦日本シリーズを制した。

 

2010年のロッテVS中日は、下剋上シリーズという表現がぴったりだった。リーグ第3位からクライマックスシリーズを勝ち上がって日本シリーズに出場し、ロッテが3勝2敗で迎えたナゴヤドームの第6戦を2―2で引き分け、続く7戦を取ったロッテが4勝2敗1分けでチャンピオンの座についた。

 

 

短期決戦の色合い

普通に決まれば7戦で終わる短期決戦では、ラッキーボーイの出現が不可欠であるとか、第2戦が最も大切であるとか、レギュラーシーズンで活躍した選手はあまり目立たないなど、日本シリーズならではのジンクスが存在する。

 

4番対決とかエース対決といった言い方でシリーズ全体の色合いが表現されることもしばしばだ。たとえば2010年は下剋上シリーズという実に収まりのよい言葉とともに語られることが多い。ただ、色合いということを考えてあえて言いかえるなら、捕手対決ということだったのではないだろうか。

 

千葉ロッテ不動のレギュラーとしてフル稼働していた里崎智也捕手。そしてセ・リーグを代表するNo.1キャッチャーの地位を築いていた谷繁元信捕手。対決を制したのは里崎智也捕手だったわけだが、「史上最大の下克上」というフレーズも里崎捕手が生み出したものだったらしい。千葉ロッテが2005年の阪神相手の日本シリーズで4連勝したときも、「俺に風が吹いている」という名ゼリフを残している。

 

リードもコメントもセンス抜群の里崎智也さんが、とても面白い本を出した。「夢は超えられる」と語る里崎さんが挙げる、勝つための提言をまとめた一冊だ。

 

 

小さな失敗と成功を積み重ねていく

勝者になるための84の提言』(里崎智也・著/学研プラス・刊)は、次のようなひと言でスタートする。

 

小さな失敗の積み重ね、小さな成功の積み重ね。小さいからこそ、継続しなければ意味がありません。

『勝者になるための84の提言』より引用

 

そして、この本の活用方法はいい意味できわめてざっくりしている。

 

ここでは提言が84個ありますが、すべてを実践しなければ勝者になれないという意味ではありません。ひとつでもかいつまんで読み、目線をいつもとちょっと変えるだけでいいのです。だから、この本は、机やベッドのそばに置いておいて欲しいと思っています。

『勝者になるための84の提言』より引用

 

 

夢は超えられる

里崎さんは語る。

 

成功するまで諦めないで、失敗を重ねる。失敗は成功しなければ、永遠に失敗のままです。逆に成功すれば、それまでの失敗はすべて、失敗ではないんです。だから、誰でも「夢は超えられる」んですよ。

『勝者になるための84の提言』より引用

 

もうちょっと噛みくだいた言い方だと、次のようになる。

 

超えられないのは、目標設定が曖昧だから。最初の目標がないので、超えたかどうかの自覚がないんです。小さな失敗の積み重ねが、やがて夢を叶え、夢を超えるんです。

『勝者になるための84の提言』より引用

 

まずは、どんなに小さくてもいいから、目標を決めることが夢を超えるプロセスの第一歩となるようだ。

 

 

自分で限界を作ってしまうメンタリティ

筆者は、その第一歩をすでに見つけている。「自分で限界をつくるな」という項目だ。

 

成功しない人は、すぐに自分で限界をつくってしまう。どうせ無理だとか、お金がないとか、時間がないとか、才能がないとか。自分で限界をつくってしまう。まだ、何もやっていないのに。

『勝者になるための84の提言』より引用

 

どうやら、限界というのは頭の中で勝手に作ってしまうものらしい。頭の中にできてしまうものへの対抗策は、体を動かすのが一番のようだ。

 

でも大切なことは、行動力があるかないかです。言われたことしかやらないと、その人の能力値は伸びない。コーチなどからのアドバイスを生かし、自ら限界を突き破って、ありとあらゆることに挑戦しないと、決して成長はしません。

『勝者になるための84の提言』より引用

 

 

元プロ野球選手なので、例えが野球寄りになるのは仕方がない。ただ、里崎さんの言葉と一般人の日常生活との親和性は決して低くない。プロ野球界での成功体験に裏付けられた言葉には、あらゆるバイアスを排して耳を傾けるべき響きを強く感じる。

 

成功者の言葉は後づけだ―そんな思いがよぎった瞬間に、無意識のうちに自分で限界を作ってしまっているのかもしれませんよ。

 

 

【書籍紹介】

勝者になるための84の提言

著者:里崎智也
発行:学研プラス

働き方改革が叫ばれる昨今、ビジネスパーソンが成功するにはどんな心構え、どんな行動が必要なのか? 千葉ロッテマリーンズで2度の日本一、WBCで世界一&ベストナインを経験した“下剋上オトコ”、里崎智也が84の提言で綴る!

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