グルメ
2018/11/2 21:30

最近首都圏でジワ増の「大陸系激安中華」、名店を専門家に訊いた。

最近、エリアにもよりますが、新規オープンの「大衆中華料理店」が多いように思いませんか? しかも、昔ながらの街中華ではなく、中国から直輸入したような「結構ガチな中華」です。

 

そう、この大陸系中華、一見ではやや入りづらそうな店構えなうえ、味のアタリハズレも大きい。そして、いわゆる、名店というものはあるのでしょうか? そこで今回は、「中華料理もっと向上委員会」なる組織で議長を務める菊池一弘さんを取材。オススメの店舗を教えていただきました。

菊池さんは北京に4年留学していた経験があり、中国語もお手のもの。また、中華をはじめ羊肉料理を啓蒙する活動も行っていて、レストランや食材関係者とのつながりが幅広いエキスパートです。また、オージーラムのPR大使「ラムバサダー」でもある菊池さん。11月3日と4日、中野セントラルパークで開催される「羊フェスタ2018」の主催者でもあります。

 

そんな菊池さんが教えてくれたのが、池袋にある「永利 池袋本店」。実際に菊池さんとお店に食べに行ってみました。

↑「永利 池袋本店」。隣も「凡記 西安肉夾モー」という大陸系中華の店です

 

最近増えてきた「中国東北家郷」のお店

同店のジャンルは中国東北家郷料理。東北料理は四大中華といわれる北京、上海、広東、四川には含まれないものの、近年よく見るようになったジャンルです。冬が寒いため味付けが濃い目。また、モンゴルが近いので羊肉がポピュラーなどの特徴があります。まず菊池さんが注文したのは、その定番。ん、なんじゃこりゃ?

↑「東北大拉皮」1260円。板春雨、野菜、ハム、干し豆腐などをゴマダレ、麻辣ソースと混ぜて食べるポピュラーな前菜。多彩な食感を楽しめる春雨サラダという印象です

 

「きれいな盛り付けも魅力的。個人的には日本の冷やし中華のルーツなんじゃないかなって思いますよ」と菊池さん。ちなみに、一品料理はどれも一皿5~6人前はあろうかという大ボリューム。この量を考えれば、決して高い値段ではありません。そしてほかのメニューを見ると、四川料理や湖南料理も見られます。

 

↑「紅焼肉」1300円。トンポーローに似た豚の角煮で、湖南省出身の毛沢東の好物だったといわれている郷土料理。肉がジューシー、かつとろっとした味付けで絶品です

 

↑「水煮魚片」1430円。白身魚と野菜の煮込みで、見るからに辛そうな四川料理。とはいえ、中本の蒙古タンメンほどではなかったです

 

そういえば、このお店もそうですが、池袋の特に北口エリアには大陸系中華が多い気がします。なぜなのでしょう? また、ほかに大陸系中華がアツい街ってあるのでしょうか?

 

「その理由はふたつ。ひとつは、ターミナル駅の近くに中華専門のスーパーが2軒もあったからです。もうひとつは、空襲で焼け残った古い木造アパートが界隈に多く、安く借りられたからです。70~80年代ごろは、6人で1部屋に住んでいたケースもあったとか」(菊池さん)

↑池袋北口から近く、目立つ看板の食品店「陽光城」

 

↑菊池さんが案内してくれた、中華スーパーの「海羽日光 池袋店」。スーパーといっても1階ではなく、雑居ビルの2~4階を活用した構成。食材はどれも激安で、四川山椒がたっぷり入って200円、冷凍水餃子が1kg450円など

 

ほかにも注目のお店は?

今回の「永利」以外でオススメな店も聞いてみました。

「この池袋には羊の丸焼きで有名な『聚福楼』があります。新宿なら、メジャーな中華と山西省の珍しい麺料理が混在する東新宿の『山西亭』歌舞伎町でいえば、上海料理の『上海小吃』と四川料理の『川香苑』です。四川なら新宿西口の『天府舫』もナイス。神保町界隈でしたら『川菜館』銀座から神田に移転してきた『天津飯店』も復活が話題になった名店です」(菊池さん)

↑「永利 池袋本店」にも羊料理はしっかり。これは「葱爆羊肉」1100円。なお、同店には8品コースで1980円という破格プランもあります

 

いろいろと教えてくれた菊池さん。メニューのアドバイスとしては「コースは、特に安い料理で構成することが多いので味としてはオススメできませんけど」とのこと。大陸系中華はどこも同じと思っている人、本稿を参考にぜひ食べに行ってみてください。

 

 

【菊池さん主催のイベント】

羊フェスタ2018 in なかのアンテナストリート

会場:中野セントラルパークウッドデッキエリア(東京都中野区中野4-10-2)

アクセス:JRほか「中野駅」北口徒歩5分

入場料:無料

開催日時:2018年11月3日(土)11:00~17:00、4日(日)10:00~17:00

 

【URL】

http://hitsujifesta.com/2018/