ライフスタイル
2018/11/24 10:30

縮まない、型崩れしない、節約できる! 高級衣料クリーニング店に教わる、自宅でできるニット洗濯

そろそろニットが着たくなる季節。お気に入りのニットを着たいけど、去年は家で洗濯したら縮んでしまったんだよなぁ。かといって、家にあるニットを全部クリーニングに出したら、お金がかかるし……。どうしたらいいんだろう?

 

そうだ、ご近所の榎本裕介さんは、ファッション好きが利用する高級クリーニング店「レジュイール」で働いているんだった。きっと、自宅でニットを上手に洗濯する秘訣を知っているはず。今年こそ、お気に入りのニットをダメにしないようにできるかも!

 

参ったなぁ……と、いつも困っている「参田家(まいたけ)」の面々。きょうはお父さんが、なにやら困っているようです。

自宅でクリーニング店のようにニットを洗い上げたい!

お父さん「お気に入りのニットがあるんですが、家で洗濯してもいいのでしょうか?」

 


榎本さん「大丈夫ですよ! 衣類のタグに水洗い表示があれば、ご自宅でも洗濯ができます。最近は洗濯機も進化していますが、やっぱり手洗いするのがおすすめです。でも、ちゃんとした手順を踏まないと縮んでしまったり、ニットならではのふんわりした風合いがなくなったりしてしまうことがありますね」

 

お父さん「やっぱりニットの洗濯って難しいんですね。手洗いして縮んでしまったらどうしよう……」

 


榎本さん「そんなに心配することはありません。液体洗剤を入れた、30度くらいのぬるま湯にニットを入れて、やさしく押し洗いしてください。ぬるま湯は温度が低すぎても汚れが落ちないし、熱いと縮んでしまうので水温に気をつけましょう」

 

お父さん「押し洗いかぁ。自己流で手洗いしていたら、危うくこすり洗いするところでした! 脱水はどうすればいいのでしょうか?」

 


榎本さん「ニットを手で挟み、押しながら水分を抜いていきます。雑巾のように絞ると、型崩れしてしまうので要注意! ちなみに、洗剤はおしゃれ着洗い用のものではなく、ふつうの液体洗剤で大丈夫ですよ。洗濯後は、柔軟剤を入れたぬるま湯にニットを入れ、再度押し絞ってください。柔軟剤には静電気を防いでくれる効果もあるので、乾燥する季節にはマストですね」

 

お父さん「意外と簡単ですね! 洗濯をした後、干す時のポイントはありますか? 」

 


榎本さん「目の細かい“ハイゲージ”のニットはハンガー干しが可能ですが、目が粗くざっくりした“ローゲージ”はNG。ニット自体の重みで下方向に伸びてしまうんです。だから、必ず平干ししてください。その際、ニットの形をピシッと詰めて整えて置くのが型崩れを防ぐポイント。ニットは少しくらい伸びても、干すときの形状に気をつければ元に戻ります。気になるようでしたら洗濯前にサイズを測っておいて、そのサイズに合わせて形を整えて干すといいです。実際、私たちの店では、洗濯前のサイズを測り、その数値を元に乾かす作業を行っているんですよ」

 

お父さん「なるほど~。ちなみに、ニットを頻繁に洗濯しなくてもいいように、普段からできることってありますか?」

 


榎本さん「実は、普段からケアすることの方が大事なんです。まず、暑くて汗をかくような日や、焼肉屋さんなど臭いが強い場所に行くときには、ニットを着ないこと。もし、脇などに汗がついてしまったら、濡れタオルで拭くだけで汗の汚れや臭いを防ぐことができます。消臭スプレーをかける方も多いですが、臭いの元を消してくれるわけではないのでおすすめしません」

 

お父さん「ガーン! 僕やっちゃってました……。 ニットを着るときはTPOを考えるのも大切なんですね。あと、シミができてしまったときの対処法はありますか?!」

 


榎本さん「食べ物のシミの場合は、食器用洗剤を少しつけて、ティッシュなどで挟んでシミを移すようにすれば、取れる場合もあります。その際、絶対にこすってはいけません!」

 

お父さん「参考になります! あと、長く着ていると毛玉ができてしまいますが、毛玉を予防する方法はありますか?」

 


榎本さん「シャツみたいな固い衣類と一緒に洗わないこと。毛玉は、摩擦によってできてしまうからです。もし毛玉ができてしまったら、ニット用のブラシで優しく毛玉を取ってください。電動毛玉取りも便利ですが、たまに穴が開いてしまうことがあるので注意が必要です」

 

お父さん「お気に入りのニットに穴が空くとショックだな~。実は去年、ニットを洗濯して縮ませてしまいました。何が原因だったのでしょうか?」

 


榎本さん「もしかしてニットを乾燥機で乾かしませんでしたか? それはニット洗濯で一番やってはいけないこと。必ず縮んでしまいます。ニットは一度縮んでしまうと元には戻りません。必ず日陰で平干しをしてください」

 

お父さん「そうだったのかぁ……。次からは絶対に乾燥機は使いません! ニットの季節が終わって収納するとき、気をつけることはありますか? 」

 


榎本さん「ニットは湿気と日光に弱いので、日陰で風通しのよい場所に保管してください。畳むときにコピー用紙などの薄紙を間に挟むと、通気性がアップします。また、防虫剤と乾燥剤は必ず入れてください。防虫剤の防虫成分は、上から下へ流れる性質があるため、必ずニットの上に置きましょう! 」

 

お父さん「それは知らなかった! 防虫剤は衣類ケースの底に置いてたから、うちの妻にも教えてあげなくちゃ!」

 


榎本さん「あと、ずっと保管しっぱなしも良くないです。1カ月に1度くらいは保管ケースのふたや引き出しを開けて風を当てるとニットが長持ちしますよ。ぜひお気に入りの1枚を大切にケアして長く着てください」

 

お父さん「はい、とても勉強になりました! 榎本さん、ありがとうございます 」

 

家でできる! 伸びない&縮まない「ニットの洗濯方法」

①液体洗剤を入れた洗濯水にニットを入れて、やさしく押し洗いする

 

②脱水も手作業で、押し絞る。雑巾のようにねじり絞るのはNG!

 

③日陰で平干しにする。できるだけ元の形に詰めた状態で干す

 

④ニットの間に薄紙を挟み、畳んで収納する

 

まとめ

自宅ケアでプロの仕上がり!

榎本さんが教えてくれたニット洗いの極意は、丁寧ながら自宅で簡単に実践できる方法だったなぁ。モヘアなど特殊なニットはプロに任せた方がいいみたいだけど、普段使いのニットなら榎本式の洗濯法を参考に自分で洗ってしまおう! 家族のニットも一緒に洗ってあげたら、妻に褒めてもらえるかも!?

 

教えてくれたのは……

高級衣料クリーニング「レジュイール」スタッフ/榎本裕介さん

ファッションケアや、染み抜きに独自のシステムを取り入れた、世界で唯一の洋服専門ケア会社が経営する、高級衣料クリーニング店「レジュイール」勤務。この道15年のベテランで、レジュイールでは洗いやシミ抜きを担当している。
https://www.rejouir.co.jp/