寒い冬、暑い夏、と一年で何度も登板し長時間フル稼働するエアコン。前のシーズンに使ったまま、放ったらかしで稼働させていませんか? エアコンの汚れは外側からは見えにくいため、ニオイや音などが気にならなければ、何年も掃除していないという人もいるでしょう。でも、掃除をしていなければ当然、エアコンの内部には汚れやカビが付着しています。
そこで今回は、ハウスクリーニングのプロ「おそうじマスターズ」の深瀬利軌さんに、自分でもできるエアコン掃除のコツと、さらにプロに頼むとどのような掃除が可能なのかを聞きました。
エアコン内部のカビを吸い込まないよう注意!
エアコンは、室内の空気を取り込んで温度を変化させて排出する、という働きをしています。そのため、家族に喫煙者がいたり、油ものをよく使うキッチンのそばやリビングにあったりするエアコンは、特にヤニ・油汚れがひどく、定期的な掃除が必要です。
「羽根の部分にカビが黒くポツポツと出てきていたら、内部がカビている証拠です。エアコンの空気は、その内部で温めたり冷やされたりしますから、エアコンを稼働させるたびにカビをばらまき、吸い込んでしまうことになるんです。このため、ご自身で掃除する際には、ホコリを吸い込まないようマスクをしたり、汚れないようエプロンをつけたりしましょう」(おそうじマスターズ・深瀬利軌さん、以下同)
エアコンのセルフクリーニング 10ステップ
それでは、実際に自分でクリーニングする手順を見ていきましょう。
1. 電源を抜く
忘れがちですが、最初に電源を抜くところからスタートします。「感電する恐れがありますから、電源は必ず抜いてください。季節のはじめなどで久しぶりに使うときは、掃除を始める前に一度きちんと作動するか、確認してからにしましょう。リモコンの汚れも雑巾などで拭き取っておきます」
2.壁や床が汚れないように養生シートを貼る
エアコンの掃除をしていると、汚れた水分が垂れて壁や床を汚してしまうことがあります。床にはビニールシートなどを敷き、壁は養生テープでゴミ袋などを止めておくといいでしょう。「ホームセンターなどで売っている、『マスカー』という養生テープ付きのシートが便利です。また、電源コードも必ずシートの中に入れておき、汚れがコンセントにつかないようにします。脚立や椅子などに乗っての作業になりますから、くれぐれも安全に注意しましょう」
3. エアコン上部のホコリを掻き出して吸い取る
ブラシと掃除機を使って、エアコン本体の上部などに溜まったホコリを掻き出して吸い取ります。「歯ブラシのように小さなものではなく、ざっと掃除できる大きなブラシだといいと思います。ブラシノズルがあるタイプの掃除機をお持ちの場合は、そちらを使うと便利です」
4. フィルターのホコリを掃除機で吸い取る
カバーの左右の端を持ち、上に押し上げるとカバーが開きます。フィルターにホコリがたまっているので、掃除機で吸い取っていきます。
「まずは、見える範囲でのホコリを吸ってしまいましょう。このままの状態でフィルターを外してしまってもいいのですが、ホコリが落ちて舞うので、できるだけここで吸うようにしてください」
5. フィルターを外して取りきれなかったホコリを吸う
フィルターを外すと、掃除機の届かなかった部分にもホコリが溜まっていることがわかります。「こちらも掃除機をかけて、ホコリを取り除いていきましょう。カバーを開けて中を確認することは簡単にできますから、大掃除などでなくても、気がついたらフィルターのホコリは取っておくようにします」
6. ブラシや歯ブラシで細かい部分のホコリを吸い取る
接続部に溜まったホコリは柔らかいブラシで掻き出しましょう。
エアコン本体に戻り、羽根の部分や細かい部分のホコリを掻き出して、掃除機で吸い取ります。「10年以上経ったエアコンは、羽根を取るときにプラスチックが割れてしまうことがあるので、我々も羽根を取らずに作業します。無理して外さず、手の届く範囲で作業するようにしてください」
羽根の奥に付着しているカビは、歯ブラシを使えば届きます。よく見えない場合は懐中電灯で照らしてみましょう。
7. アルカリ電解水で油汚れを拭き取る
ベタベタした汚れには、薬局などで売っているアルカリ電解水がおすすめです。界面活性剤が入っていないので手が荒れず、エアコンに洗剤成分が残ってしまうことがありません。「竹串を3本まとめてテープでとめ、平たいヘラのような形にします。そこにアルカリ電解水をスプレーしたマイクロファイバーを巻きつけて、羽根のキワなどのベトつきを拭います」
マイクロファイバーを使って、目の粗い方でホコリを吸着させ、目の細かい方で仕上げ磨きをします。
8. フィルターを洗う
外したフィルターをお湯で洗い、ブラシで汚れを掻き出します。汚れ落ちが悪い場合は、アルカリ電解水をスプレーして5分ほど置いたあと、ブラシをかけながらお湯で流してみましょう。「フィルターは、ホコリがついていた面ではなく、裏側からお湯をかけて落とすと汚れが落ちやすいでしょう。また、水ではなくお湯の方が汚れは落ちやすいです」
9. フィルターは完全に乾かす
きれいに洗ったフィルターは、必ずきちんと乾かしてからエアコンに取り付けましょう。「乾いていないと、エアコンを作動させたとき、洗濯ものの生乾きのようなニオイがしたり、カビの原因になったりします。しっかり乾かしてからエアコンに取り付け、できたら取り付けたあと、1時間ほどエアコンを作動させておきます」
10. 動作確認をする
すべての作業が終わったら、エアコンが正しく動くかチェックしてみましょう。「動作確認が終わったら作業は終了です。汚れは、ついてから時間が経つと落としにくくなります。プロに頼んで洗浄するのは二年に一度ほどでもいいと思いますので、できれば月に一度はフィルターの掃除するのがおすすめです」
内部までスッキリ!プロに頼むエアコン洗浄
自分で掃除できる部分はきれいになりましたが、実は内部の汚れには手が届きません。次に、高圧洗浄機を用いたプロによるエアコンクリーニングを見ていきましょう。
・高圧洗浄機を使った洗浄はプロに任せる
プロが使うのは高圧洗浄機とアルカリ成分の強い薬剤です。「個人でも高圧洗浄機をお持ちの方はいると思いますが、電化製品は基盤などが水で濡れたら即座に壊れてしまいますし、感電などの不安もあります。よほど詳しい方を除いては、ご自分で高圧洗浄機を使ってエアコン掃除するのはおすすめしません」
・しっかり内部洗浄すれば省エネにもつながる
カバーを外して養生し、薬剤を付着させたら高圧洗浄機で洗っていきます。
洗うたびにエアコンから汚水が流れ出てきて、その汚さに驚きます。「内部洗浄すると、汚れが落ちるだけでなく、本来の機械が持つパワーをフルで使えるようになるため、省エネにもつながります。なんとなく部屋が暖まらない、冷えない、などと感じたときは、エアコンが汚れている可能性も考えてみましょう」
・カバーを洗って装着したら終了
黄ばんでいたカバーも、アルカリ性の薬剤で真っ白によみがえりました。「エアコンにもよりますが、1時間程度で作業は終わります。カビを吸い込んでいると、肌荒れやアレルギーの原因になる可能性もありますから、定期的なお手入れができるといいですね」
エアコンがきれいになると、それだけで部屋のなかでの深呼吸が気持ちよくなるもの。できるだけこまめに掃除してみましょう。
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