LGエレクトロニクスが2019年モデルのWindows10搭載ノートPC「LG gram」シリーズの新製品を発表しました。2月15日から販売がスタートします。ラインナップの中には「モバイルデスクトップ」をコンセプトに掲げる、シリーズ最大サイズの17インチのノートPCも加わります。実機をハンドリングしながら特徴を見ていきましょう。
LGエレクトロニクスのノートPCは1988年に韓国で初めて発売されました。LG gramシリーズが日本に上陸したのは2016年のこと。軽くて頑丈、コンパクトでポータビリティに優れるノートPCとして脚光を浴びました。その後も2017年・2018年と続けてバッテリーの大容量化を果たしながら進化を続けて、いよいよ2019年には4サイズ11モデルにラインナップを広げます。
内訳は13.3インチ/14.0インチ/15.6インチ/17.0インチという4種画面サイズの違いと、「プロセッサ/メインメモリ/記憶媒体」の仕様で枝分かれします。さらに13.3インチと14.0インチにはダークシルバーとホワイトのカラバリがあります。参考までに最もお手頃な13.3インチの「13Z990-GA55J」が実売価格が15万8630円。最大サイズの17.0インチモデル「17Z990-VA76J」が想定売価23万3150円になります。
全モデルに共通する特徴は内蔵バッテリーによる長時間連続駆動と突きぬけた軽量設計、そしてビジネスユースにも最適な頑丈さです。
バッテリーの長寿命性能は13.3インチが最も長く約28時間を実現。14.0インチが約27時間、15.6インチが約24時間、17.0インチが約22時間となります。ノートPCといえば外出の多いビジネスパーソンには必携のアイテム。筆者も記者を生業の一つとしていますが、移動中にバッテリーが切れないかやきもきするのが嫌なので、いつも外で仕事をするときには電源アダプターをバッグに入れて、電源が取れるカフェで空き席を探しています。バッテリーが20時間以上持つPCならアダプタを持ち歩かなくて良いので、荷物が軽くなります。そして電源付の店を必死になって探す生活からも解放されるでしょう。夢のようです。海外出張に出かけるときにも、電源アダプターはスーツケースに放り込んで手荷物を軽くできそう。日帰りの国内出張や旅行ならもうパソコン本体だけ持って出れば十分かもしれません。
それにしてもLG gramシリーズはなぜこんなにタフなバッテリー性能を実現できたのでしょうか。それはバッテリーセルに電導効率の良い「カーボンナノチューブ」を採用しているからです。セルの密度が高いので、従来のリチウムイオン充電池と同じ体積でより多くのバッテリーを蓄電します。そして約3時間で素速く満充電にできるので、寝ている間にプラグに挿しておけば、翌日以降はまた約20時間のロングライフバッテリーが確保されているというわけです。何という安心感。
そして大容量バッテリーを搭載しながら、13.3インチと14.0インチの2019年モデルは今回も重量が1kgを切りました。15.6インチ、17.0インチのモデルも実機を持ち上げてみると思わず「展示用の模型か?」と疑ってしまうほど軽くスリムなので驚きました。
ノートPCは持ち歩いて使う機会が多いので、ボディは頑丈なほど良いものです。LG gramシリーズは本体の底面・天面、そしてキーボードの面にそれぞれ種類の異なるマグネシウム合金を使っています。マグネシウム合金は軽くて耐衝撃性にも優れるマテリアル。LG gramシリーズはLGエレクトロニクスが独自に設定した厳しい耐久テストをクリアして、アメリカ国防総省が制定するMIL規格も満たすタフネスを獲得しています。本体を落としたり、激しく振動させても大丈夫。LGエレクトロニクスが開催した説明会ではスクーターでLG gramシリーズを“轢く”というパフォーマンスが披露されました。めったに起こらないハプニングだと思いますが、強さの証明になったと言えそうです。
砂ボコリにまみれる屋外や高温・低温環境にパソコンをさらすことは御法度ですが、海水を想定した塩水の噴霧も含めてLG gramシリーズの耐久性試験は徹底しています。この強さをして、例えば屋外での工事作業現場や飲食店の店舗でも安心して使えるノートPCとして、筆頭の選択肢に上がるのではないかと思いました。
そのほかに2019年モデルの特徴として、電源ボタンに指紋認証センサーが内蔵されました。そして各サイズには映像と音声、データの伝送と充電・給電をケーブル1本で対応するThunderbolt 3端子を搭載するモデルがラインナップしました。13.3インチの最小モデルにまでHDMI端子とUSB Type-C端子が搭載されているので、外部映像出力への対策は万全。ビジネスシーンのプレゼンテーションに大活躍してくれること間違いなしです。
購入後にパフォーマンスの力不足を感じた場合は、LGカスタマーセンターに持ち込めばオプション料金でメモリと記憶媒体のSSDを増設してくれるアップグレードサービスが受けられます。「使い慣れたパソコンを長く使い続けたい」というユーザー想いなサービスではないでしょうか。
さて、今回新たに追加された大画面・17.0インチのLG gramにスポットを当てましょう。今回筆者もLGエレクトロニクスの製品説明会で実機を触ってきました。
17インチ台のノートパソコンなんて目の当たりにすること自体が久しぶりでした。よっぽどデカいのだろうと思っていましたが、拍子抜けするほどスリムでコンパクトに感じました。もちろんWQXGA解像度(2560×1600画素)の画面は大きいのですが、左右上下のベゼルがスリムなので、パソコン本体がとてもスリムなのです。聞けばLGが2018年に海外で発売した15.6インチのノートPCとフットプリント(占有面積)がほとんど変わらないそうです。横幅は約38cm、縦が約26.5cm。IPS液晶を採用するパネルは視野角が広く、コントラストも鮮やか。アスペクト比が16対10と、通常よりもやや縦側が長めになっているので、複数のアプリやフォルダを開いても画面上のワークスペースが広くて窮屈に感じられません。
17インチのサイズを持て余すかと思いきや、手に持った感覚は1340gの質量を感じないほど。あとは入れるバッグのサイズ、PCを保護するケースの確保が課題でしょうか。筆者はリュックサックタイプのバッグで移動することが多いので、サイズ感は問題ないと思うのですが、もしビジネスバッグがメインという方であれば2019年モデルの15.6インチもやはりスリム&コンパクトなので、店頭でふだん使いできそうな方を比べるのが良いと思います。
17インチの圧倒的なメリットはNetflixやAmazonプライムビデオなどの映像コンテンツを見る時でしょうか。イヤホン再生はバーチャルサラウンドが楽しめるDTS Headphone:Xの技術に対応しているので、外出先で没入感あふれるコンテンツ体験に身を任せられそうです。
大きな画面はビジネスユースにもメリットを感じられる機会がたくさんあります。クライアントに企画書や写真・動画などを活用したプレゼンテーションを見せるときには大画面の方がより見やすく、伝えたい情報をプレゼンできるでしょう。アイデアを形にして人に見せる仕事をしている方にはPCが絶好のプレゼンツールになるはず。
キータイピングの打鍵感は十分なフィードバックがあって筆者は気持ち良く感じました。15.6インチと17.0インチのモデルにはテンキーが付いてきます。
ノートPCは画面が大きい方が好みだけれど、重すぎて持ち歩くことをあきらめていたという方は新しいLG gramをぜひ試してみるべきだと思いました。テクノロジーの進歩によって、これだけ大きな画面のノートPCを軽快に持ち運べる、良い時代が来たものだと筆者もしみじみと思った次第です。