デジタル
2019/2/1 17:30

短く使えば使うほど幸せになる! 最新調査からわかる「SNSとの付き合い方」

周囲の人とのつながりを深めるソーシャルメディア(SNS)。しかし、近年ではその負の側面が次々と明らかになっています。これまでにもSNSは疎外感や孤独感を招くことがたびたび指摘されていましたが、ペンシルベニア大学の研究者が2018年11月に発表した最新の調査でも、SNSの長時間利用がユーザーの健康を害していることが明らかとなりました。日常生活やビジネスなどにおいて便利なコミュニケーションツールとなりましたが、やはりSNSはユーザーの身を滅ぼすものなのでしょうか?

 

SNSの利用時間を制限すると孤独感が減少

ペンシルベニア大学の研究チームは、SNSの利用と心の健康状態の関連性を調べるため、143人をランダムに2つのグループに分け、一方には普段通りにSNSを使ってもらい、もう一方にはSNS(Facebook、Snapchat、 Instagram)の利用時間を1日各10分に制限してもらいました。

 

3週間後に精神状態に関するアンケート調査を行ったところ、普段よりもSNSの利用時間を制限された方が、気分の落ち込みや孤独感を減らしていることが明らかとなったんです。

 

ただし、この調査を行った研究者は「SNSをまったく利用しないほうがいいというわけではない」と言及しています。それは、SNSの利用によって社会や友だちとのつながりを感じて、孤独感を和らげる働きがあることもわかっているから。この実験が示したのは、SNSを長時間利用すると、心の健康にネガティブな影響を及ぼす可能性もあるということです。

 

Facebookの自殺防止AIプロジェクトの成果は?

SNSと心の健康の問題といえば、近年ではSNSの投稿からうつ病や自殺を予防するという取り組みや研究も進んでいます。Facebookの投稿頻度や投稿に使われた言葉、その投稿に対する友人からの反応などを見て、「うつ病関連マーカー」と呼ばれる指標を見つけ出すアルゴリズムの開発に取り組む研究者たちもいるんですね。

 

Facebookは17年から、投稿に使用された言葉などから自殺願望をAIが検知する取り組みを行っています。

あなたの運命はデータ次第!? 世界で実用化が進むAIを使った自殺予防と予防医学

 

Facebookの発表によると、この取り組みが始まった初月には、Facebookが救急隊員に連絡をとった緊急を要するケースは、アメリカで約100件あり、その件数は増大しているとのこと。取り組み開始初年度に対応したケースは約3500件と、おおよそ1日10件の計算になります。そのうちのどれくらいが自殺やうつの防止につながったのかまでは発表されていませんが、もしかしたら誰にも気付かれなかったかもしれない3500件ものケースでFacebookが助け舟を出していたと考えれば、その取り組みの大きさはやはり侮れません。

利用の仕方次第で元気を与えてくれるSNS。ただし、ジギル博士とハイド氏のように、のめりこみ過ぎると、気付かないうちにユーザーの心に影を落としてしまうものであるようです。できるのなら、Facebookの自殺防止プロジェクトなどにはお世話になりたくないものですが、万が一のときのストッパーとしてこのような取り組みも進んでいることは、善かれ悪しかれ、テクノロジーの進化と言えるかもしれません。