これから暑くなり、食材が日持ちしない時期になります。せっかく美味しいものを買ったのに、保存方法が悪かったがために味を損ねてしまった……。みなさんにもそんな経験があるのではないでしょうか?
それは日本酒も同様。日本酒は繊細な味わいが持ち味で、おいしく家飲みするためには、保存法が重要なカギとなるのです。本記事では、誰でもカンタンに実践できて、暑い時期でも劣化を防げるワザを紹介します。
「吟醸酒は冷蔵庫」、「純米酒は冷暗所」が基本
日本酒には、冷蔵しないと味が劣化する酒と、常温でもさほど変わらない酒があります。吟醸酒のように長期低温発酵させて造った酒、生酒のように鮮度が命の酒は、冷蔵保存が原則です。特に生酒は常時5~6℃の温度で保存しないと味が変質してしまいます。問題は、家庭の冷蔵庫ではスペースが狭く、収納しにくいのが難点。その点、4合瓶で保存すれば、スペースを取らないので便利です。本醸造酒や純米酒は冷蔵せず、冷暗所に置いても大丈夫。冷暗所が良いのは、涼しく、1年を通して温度が一定で、日光や照明器具の光が届かないためです。
そもそも吟醸酒、本醸造酒、純米酒って何? という人は下の記事にまとまっています。ここでは簡単にそれぞれの特徴をまとめておきましょう。
吟醸酒…原料は米、米麹、水、醸造アルコール。精米歩合が60%以下で、低温でじっくりと時間をかけて発酵させて造る。
純米酒…醸造アルコールを加えておらず、米、米麹、水だけで造った酒。精米歩合の条件は特にありません。
本醸造酒…原料が米、米麹、水、醸造アルコールで、精米歩合が70%以下。
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次に注意が必要なのは、日光や蛍光灯。紫外線が酒の成分を変化させ、味の劣化を招きます。昔から酒の瓶が緑色や茶色なのは紫外線防止のため。専門店では、冷蔵ケース内に紫外線をカットした博物館用の蛍光灯を使用し、ガラス面もUVカットを施しています。家庭では同じようにいきませんが、瓶を新聞紙に包む、あるいは箱に入れて保存するなどの対策は可能です。空気も酒にとっては大敵。日本酒は栓を開ければ空気に触れて酸化し、味がどんどん劣化してしまいます。栓を開けたらできるだけ早く飲み切りましょう。
家庭でもできる! 3つの日本酒保存術
予備知識はこれぐらいにして早速、日本酒の3つの保存方法を伝授! 難しいことはありません。どれも数分でできるので、すでに自宅に日本酒瓶が置いてある方は実践してみてください。
【その1】
冷蔵庫で保存する!
効果:★★★★★
ラベルに「要冷蔵」と記載された日本酒は冷蔵庫に入れて保存すべき。特に吟醸酒は冷蔵保存したほうが良いでしょう。また、火入れしていない生酒は必ず冷蔵庫で保管しないと、味が劣化します。
保存の目安となる温度
生酒 ……5~6℃
吟醸酒……10℃前後
純米酒……常温OK
普通酒……常温OK
【その2】
新聞紙で包むか化粧箱で保存!
効果:★★★
簡単にできる紫外線対策は、酒瓶を1本ずつ新聞紙に包むか、化粧箱に入れて紫外線を防ぐこと。冷蔵庫に入れるときもドアの開閉などで微量の光を浴びるため、注意が必要です。
【横にするのはNG】
【その3】
4合瓶に移して保存する or 4合瓶で買う!
効果:★★★★
冷蔵庫に一升瓶が入らない……そんな場合は、一升瓶を購入後に自分で4合瓶に入れ替えればOK。もちろん最初から4合瓶で購入してもOKです。
どうせお酒を飲むならおいしく飲みたいもの。晩酌することが多い方は、これを機会に保存方法の改善を検討されてはいかがでしょうか。