くるんと丸みを帯びたかわいらしいフォルムと、「めのう」や「ヒスイ」が持つ温かみのある輝き。神秘的なオーラをまとう勾玉(まがたま)は、持っているだけでどこか安心できるお守りとしてはもちろん、男女や年齢を問わず、ネックレスやブレスレット、チャームのワンポイントとしても人気です。
実は昨年末から今年にかけて、この勾玉をテーマにした写真が、ぞくぞくとTwitterやインスタグラムにアップされ、ちょっとした勾玉ブームとも言える盛り上がりを見せています。どうして勾玉がSNSでこれほど注目されたのでしょうか? その理由はあとで説明するとして、まずは知っているようで意外と知らない勾玉の秘密に迫りましょう。
知っているようで意外と知らない、「勾玉(まがたま)」って何?
いつ頃から勾玉は存在するのかというと、なんとその歴史は古く、すでに縄文時代には作られていました! 日本各地の縄文時代の遺跡からヒスイ製の勾玉が出土しています。また「魏志倭人伝」によると、邪馬台国の女王イヨが魏王朝へ献上した品にも青い勾玉が含まれていたとか。勾玉は古代から特別な装身具の一種として、さらに権力を象徴する品として重んじられていたことが伺えます。
『古事記』『日本書紀』にも、勾玉の記述が見られます。天の岩戸にアマテラスオオミカミが隠れた際には勾玉が作られ、榊の枝にかけられたと記されています。この勾玉は、のちにアマテラスオオミカミの孫・ニニギノミコトが地上に降りる際に与えられ、三種の神器の一つ「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」になりました。
ちなみに、勾玉の丸っこい形の由来ですが、これには諸説あります。縄文時代に動物の牙で作られていたペンダントをもとにしたという説や、魚の形、人間の腎臓の形を模したという説。ほかにも呪術的な解釈として、人や獣に魂が宿る「宿りの形」として胎児に似せたという説、曲がった「カギ型」に魔を遠ざける力があるという説……などなど。なぜあのような形になったのかは、ヴェールに包まれているといったところでしょうか。
勾玉の形の意味としては、頭の部分が太陽、尾の部分が月を表しているともいわれています。つまり勾玉は太陽と月が重なり合った大いなる宇宙の象徴でもあるのです。見ているだけで神秘的な気持ちになるのは、長い歴史の伝統と、不思議な形に込められた壮大な意味を感じるからではないでしょうか。
SNS上で「勾玉アート」ブームが起こった理由
三種の神器の一つであり、天皇譲位と密に関連する勾玉。新天皇の即位(元号改定)にあわせて、勾玉をテーマにしたSNS上でのアート作品のコンテスト「まがたまアートコンテスト」が、出雲型勾玉を伝承する勾玉製作元・株式会社めのや主催で開催されています(作品の応募期間は2018年12月17日~2019年1月31日で現在募集は終了しています)。これがTwitterやインスタグラムに勾玉をテーマにした写真が多数投稿されていた理由。
アートコンテストというと敷居が高く感じられますが、「次世代に新たな勾玉の魅力を伝承するため、勾玉のイメージを覆すオリジナルアート」であればなんでもOKで、「イラスト・グラフィックデザイン・GIF・動画・フィギュア・写真・キャッチコピー・小説・ポエム・短歌・アクセサリーなど、表現方法は問わず」という、自由な発想で挑戦できるコンテストでした。
★まがたまアートコンテスト2019の詳細はコチラ
そうしたオープンな雰囲気もあってか、アートコンテストにもかかわらず応募総数は1155件!(インスタグラム714件、Twitter441件)。ハッシュタグ「#まがたまアート」で検索すると、見たこともないような新感覚の勾玉作品がズラリとヒットします。勾玉の形を活かした動物のポップなイラストをはじめ、時計の6時と9時に勾玉をあしらった勾玉時計、勾玉型の白玉を浮かべたおしるこ、背ビレのついたゴジラ風勾玉、勾玉の数字パズル、勾玉ラテアート、勾玉ピアノ曲……。かわいくて、もしお店にあったら絶対に欲しいと思うアイテムもあれば、発想が斬新すぎてわけのわからない「これぞ芸術」という作品もあって、とにかく見ていて飽きません! ここで応募作品のほんの一部を紹介しましょう。
ギュウギュウとくっつきあって勾玉型に丸く眠る2匹の猫。かわいさと尊さは宇宙無限大! ずっと見ていられます。
こちらはガトーショコラで表現した勾玉模様。日本と西洋がコラボした、ある意味スーパーフード! 食べたらパワーがみなぎってきそうです。
勾玉ヘアに勾玉イヤリング、服の袖も勾玉型のキュートな女の子。勾玉の持つかわいらしさと透明感が女の子にも宿っているようです。
★Twitterでの応募作品はコチラでご覧になれます
おなじみの芸人も「勾玉アート」に挑戦!
この「まがたまアートコンテスト」、多数のお笑い芸人が参加していることでも話題です。ジャルジャル、もう中学生、ネゴシックス、岩橋良昌(プラス・マイナス)といった、おなじみのよしもと芸人からも投稿がありました! 芸人らしく着眼点がフリーダム。おなじ「勾玉」がテーマでも、ここまで個性が出るんですね。
岩橋良昌さん(プラス・マイナス)の作品。顔がギッシリ詰まった勾玉が煙突から飛び出す!? これは煙? パワフルかつ味のあるアートです。
ジャルジャルの勾玉アートはなんとコント! 動画「勾玉な奴」がYouTubeに公開されています。「まがたま」の言葉の響きを活かしたシュールなコントがたまりません。
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このように大いに盛り上がっている「まがたまアートコンテスト」ですが、果たしてどの作品が最優秀賞に輝くのでしょうか。自分なりの1位を見つけるつもりで、Twitterやインスタグラムの「#まがたまアート」を覗いてみるのもオススメです。「商品化されたらヒットするでしょ!」という作品もいろいろあったので、そうしたアイデアが新時代の勾玉アイテムにつながっていくかもしれない、そんな未来も楽しみです。
★「めのや」「いずもまがたまの里伝承館」の詳細はコチラ