家で仕事をする時間が圧倒的に多い筆者は、約半年に一度のペースで部屋の模様替えをすることにしている。とはいえ間取りは1LDK。しかもリビングダイニングに動かせないタイプのテーブルが設えられているので、大規模なことはできない。
ベッドや机の位置で気分を変える
今のマンションに住み始めてから9年経った。仕事机の場所は何回も変え、今はベッド脇に置いてある。今の配置にしてから2か月くらい経つのだが、違和感があったのは最初だけで、これまでで一番しっくりくる感覚を楽しんでいる。
大きな家具といえばダブルベッドと二人がけのソファ、2ピースの仕事机、あとはテレビくらいだ。ベッドをリビングに置くわけにはいかないので、バリエーションもそれほどない。だからベッドだけは定期的に向きを変え、朝起きた時の視点の違いを出すようにしている。
面白いと思うのは、限られた空間の中で限られた数の家具を動かすだけでも、確実に気分が変わることだ。
引っ越した翌日の朝の感覚
筆者は引越しが大好きで、社会人になってから15回くらい繰り返している。同じマンション内の別部屋というパターンもあった。引越しのメリットは、その都度要らなくなったものを半強制的な感覚で捨てることができるので、身軽になれることだ。断捨離とは言わないが、さまざまな意味で暮らしのスリム化につながる。
引っ越した先で迎える最初の朝が好きだ。荷物の移動で疲れ切って熟睡し、朝いつもより早い時間にぱっと目が覚めて「あ、引っ越したんだ」と思うあの瞬間。ひょっとしたら、これを味わいたいがために引越しを繰り返していたんじゃないかとさえ思う。
筆者の中で、模様替えはプチ引っ越しと定義できるかもしれない。だからこそ、今の部屋で頻繁に模様替えをするのだろう。朝起き上がる場所、起き上がって見える角度が少し違うだけでも、引っ越して最初の朝の感覚に近いものが味わえる気がするのだ。
だから今は、模様替えのための実用的で実際的なヒントを常に必要としている。目的はなんであれ、模様替えの具体的なノウハウが欲しいと思っている人は多いのではないだろうか。筆者を含め、そんな人たちにお勧めの本がある。
DIYが不得手な人も大丈夫!
『部屋をおしゃれにリメイクする本』(学研プラス/刊)には、「すぐマネできる“カンタン+楽しい”DIYヒント」というサブタイトルがつけられている。
この本では、「リメイク」をテーマに、誰もが気軽に楽しめるDIYのイロハをまとめています。あこがれのお部屋の実例から、自分だけの理想のかたちをさがして、リメイクにチャレンジしてみましょう。
『部屋をおしゃれにリメイクする本』より引用
DIYというと、独特の手先の器用さが求められるのかと思ってしまう。実は筆者、そういう方面の才能はまったくない。目次を見てみよう。
CHAPTER 1 あこがれのお部屋STYLE SAMPLE
CHAPTER 2 スペース別にみるリメイクマニュアル
CHAPTER 3 原状回復OK! 賃貸でもできるリメイクマニュアル
という大分類になっていて、第1章でサンプルが紹介され、その後各章ごとに「おしゃれな部屋づくりの極意」「リメイクの基本」「スペース別リメイクアイディア」「原状回復DIYのおすすめアイテム」「賃貸ルームのリメイク術」といった各論が展開される。技術的な話はともあれ、筆者が出発点としてまず大切にしたいのは次の文章だ。
イメージをふくらませてDIYの楽しさを知ったら、お気に入りの家具を手作りし、自分だけのベストなお部屋にカスタマイズ。部屋リメイクでいつもの暮らしがちょっとハッピーになること間違いなし! です。
『部屋をおしゃれにリメイクする本』より引用
まずはイメージを膨らませる
「MIX」「NOSTALGIC MODERN」「VINTAGE」「HANDSOME」という見た目も響きもいいキーワードで紹介される第1章は、心惹かれるアイデアが満載されている。住んでいる部屋に重ね合わせて考える作業は、それだけで楽しいはずだ。楽しさの正体は、小物なら時計やランプ、大きめのものならテーブルやソファなど家具の配置バリエーションだと思う。
イントロダクションの文章にあるように、まずここでイメージを膨らませておくことが大切だ。自分なりのコンセプトが決まったら、それを実現する作業に移ろう。
これならできるDIY
この本には、したいこと別に分類された道具類の紹介もある。そういうところも優れているのだ。筆者のように手先が決して器用ではない人間は、アイデアを形にする過程に必要な時間がほかの人たちより長くなりがちだ。ものを創り出すこと自体が大目的ではないので、手順を考えるところで心折れてしまうことも少なくない。
しかしこの本は、道具を紹介した後、たとえば床のリメイクなら、「買ってきた木材はこういう道具でこう切って、こうやって貼りつけていきましょう」という感じで、実に丁寧に教えてくれる。これなら、クックパッドを見ながらラザニアを作る感覚でDIYに取り組める。
大工仕事にまったく自信がなくても、部屋を自分の思いどおりにリメイクできる。全工程を終えてぐっすり寝て、次の朝起きた時は、引っ越し先での最初の朝の感覚を味わうことができるだろう。それを楽しみに、まずは机周りから始めることに決めた。
【書籍紹介】
部屋をおしゃれにリメイクする本
著者:学研プラス
発行:学研プラス
リメイクシートやはがせる壁紙などのお手軽DIYアイテム、初心者でも楽しめる簡単DIYで、自宅をおしゃれに模様替えするためのヒントを紹介します。SNSの人気者も多数登場。賃貸でもできる原状回復可能なテクも満載です!