貧富の格差を目の当たりにできる場所。それはゴミ集積場だ。食べているものや使っているものに明らかな違いがある。
お金持ちの生活を真似すれば、出すゴミは変わる。そしてゴミだけでなく、人生全般の流れも変わってくるのではないだろうか。
食べ物格差が見えるゴミ
お笑い芸人、マシンガンズの滝沢秀一さんはゴミ清掃員を兼業していて、ゴミ清掃車に乗り、家庭のゴミを回収する日々を送っている。彼が目撃したゴミにまつわるエピソードがこのほど1冊の本『このゴミは収集できません』(白夜書房・刊)にまとめられた。
それによるとお金持ちのエリアとそうではないエリアとでは、出されるゴミが違うのだという。顕著なのはドリンク類で、お金持ちのエリアでは高そうなワインやミネラルウォーターのボトル、そうではないエリアでは発泡酒の缶や一升瓶、それからコーラのボトルが大量に出ているという。しかも、お金持ちではない地域のほうが驚くほど酒量が多いらしい。
収入が高いほど健康意識も高い!?
違いは粗大ゴミにも顕著だ。お金持ちのエリアからは健康器具がゴミとして排出されるという。健康器具にも流行があり、一時期はロデオボーイがたくさん出されていたという。馬の鞍のようなマシンにまたがってテレビを見れば自然と痩せられるというアレだ(確かに私も途中で飽きて友達に譲ってしまったことがある)。
そしてお金持ちではないエリアからはそうした健康に気を配る品はあまり現れない。それどころか、ポテトチップやカップ麺など、決して健康的とは言えそうもないものが目立つようだ。さらにタバコの吸い殻の量もお金持ちではないエリアのほうがダントツに多いというから考えさせられてしまう。
実は、先進国では貧困層ほど肥満傾向にあるという。2015年には厚生労働省も「国民健康・栄養調査」で低所得者層ほど肥満傾向が強いと発表している。コンビニやファストフードなどで高カロリーの食事を摂り、さらに安いお菓子も多食すると、さして食費がかかっていなくてもカロリーオーバーになってしまうのだ。
お金持ちライフを真似てみる
この本を読むと、お金持ちとそうでない人とでは、生活の質に違いがあるということがはっきりと見えてくる。そして、お金持ちは贅沢というよりは、よりナチュラルにヘルシーに暮らしていることがわかる。そうした生き方のほうが長く健康でいられ、人生を楽しめるからなのかもしれない。ご馳走ばかり食べていたら、成人病のリスクが高まるから、きっとハレの日だけ豪華なディナーをいただいているのだろう。
ということは、もしかしたらお金持ちに少しでも近づくためには、まず生活習慣を変えるのが近道なのではないだろうか。まずは普段の飲み物を清涼飲料水からミネラルウォーターに変えるだけでも、糖分やカロリーは減り、健康的になるだろう。食べ物も手軽なインスタントものではなく、野菜を多めに使った栄養ある品を手作りするとさらにいいのだろう。作るのが面倒だったら野菜サラダなどバランスが取れそうな品を選ぶようにするだけでも違うはずだ。
ゴミから見える人生
先日、元AKB48の篠田麻里子さんが電撃結婚をした。決め手となったのはお互いに玄米を食べて育ったところだというので「玄米婚」と言われ話題になっている。もしかすると食事の傾向が似通っている人とは、生活水準も似ていて、結婚してもしっくりくるのかもしれない。ということはお金持ちに近い食生活をすれば、玉の輿や逆玉の輿も夢ではなくなる可能性すらあるのでは、と妄想してしまう。
ちなみに本書では、お金持ちではないエリアにアイドルのCDが大量に廃棄されているのをよく見かけると書かれていた。封入されている握手券だけが必要なので、それを抜いたらCDはゴミとなってしまうのだ。握手券はキラキラした世界にほんの一瞬だけ近づける魔法のチケットなのかもしれない。
著者の滝沢さんはこうした傾向を貧富の差と合わせて「自己投資する人と真逆の投資をする人」との差だとも書いている。健康にしろ栄養にしろお金持ちは自己投資をし続けている。けれどそうではない人は目先の楽しさやラクさに目が行きがちなのかもしれない。普段から自分自身を大切にして生きているかどうかの差は、ゴミにもにじみ出ているものなのだ。
【書籍紹介】
このゴミは収集できません
著者:滝沢秀一
発行:白夜書房
お笑い芸人がゴミ清掃で発掘したゴミ学。定収入を得るためにゴミ清掃員を始めたお笑い芸人、マシンガンズ・滝沢秀一の人気ツイートが、イラストや書き下ろしのエッセイを大幅に加えて、待望の書籍化! ゴミから見る格差社会や、ゴミ清掃員おすすめの物件、ゴミ清掃業界のとび抜けた人材など、読めば、あなたのゴミに対する意識が変わるはず。
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