2019年10月に、消費税が8%から10%に増税となります。もちろん高価格な製品ほど増税の影響は大きいですが、必ずしも“駆け込み買い”が得とは限りません。今回は、増税前に狙い目のカテゴリを抽出し、そのなかからプロがベストバイ製品をセレクト。“買うべきモノ”をしっかりと見極めて、増税前後の「勝ち組」になりましょう!
今回は、前回の「有機EL編」に引き続き、エントリーからハイエンドまで幅広いラインナップの「液晶」モデルをチェックします。
【解説する人】
AVライター/鳥居一豊さん
専門誌の編集を経てフリーライターとして独立。オーディオ&ビジュアル機器の魅力をわかりやすく解説します。
液晶テレビはコスパのよさと完成度の高さに注目
4Kチューナー内蔵など機能が充実する上位モデルでも、有機ELほど高価ではないため手が出しやすくなっています。長年の実績のなかで画質や使い勝手もかなり磨き上げられ、完成の域に近づきました。
■比較チェックポイント
1.コンテンツ量
高解像度かつ高輝度の4K HDRを、多彩なソースで楽しめるかチェック。新4K放送のほか、Netflixなどのネット動画、UHD BDの視聴に対応するかを調べました。
2.画質
4K HDR映像の表現力に加えて、地デジ放送の映像でもノイズが少ないことが重要。視野角が広く、斜めからでも画質の劣化が小さいモデルも高評価となります。
3.操作性
テレビ放送や動画配信サービスなどのコンテンツを、いかに快適に視聴できるかをテスト。リモコンや操作メニューは見やすさと操作のレスポンスを重視しました。
4.音質
上質な映像に相応しい迫力ある音が得られるかで、4Kコンテンツの価値は大きく変わります。特に確かめておきたいのは、力強い低音を再現できるかどうかです。
【その1】
立体音響や転倒防止スタンドなど付加価値の高いハイコスパモデル
パナソニック
ビエラ TH-49GX850
実売価格20万1420円
広視野角のIPSパネルを採用。高画質技術「ヘキサクロマドライブ」により、暗部の階調製を高めました。「ドルビーアトモス」対応のスピーカーは、高さ方向の定位を再現します。転倒防止スタンドなど気の利いた設計も魅力。
【SPEC】●画面サイズラインナップ:65V型、55V型、49V型 ●パネル:IPS液晶 ●バックライト:エッジ型+エリア制御 ●チューナー:BS/CS 4K×1、地デジ/BS/110度CS×3 ●音声実用最大出力30W ●接続端子:HDMI入力端子×4、USB×3、LAN×1ほか ●サイズ/質量:W1099×H694×D248mm/20.5kg(スタンド含む)
【コンテンツ量】評価A
アプリを任意で追加して幅広いコンテンツに対応
新4K放送対応のチューナーを搭載するうえ、アプリを任意で追加して多彩なネット動画も楽しめます。視聴可能なコンテンツ数はトップクラスです。
【画質】評価B+
独自の高画質技術により高コントラスト化を実現
IPSパネルでは表現が難しかった暗部の階調感を、独自の技術で克服。コントラスト感があり、ノイズも少ない映像は及第点といえる仕上がりです。
【操作性】評価A
アプリ一覧やコンテンツにワンタッチで遷移できる
リモコン左上突起部にアプリ一覧画面に飛べるボタンを備え、遷移がスムーズ。NetflixやAbemaTVなど直接コンテンツにアクセスできるボタンも用意します。
【音質】評価A+
最新のサラウンド技術で臨場感を存分に味わえる
高さ方向の定位を再現する「ドルビーアトモス」に対応し、映画などを臨場感たっぷりに楽しめます。スピーカーボックスの剛性を高めたことで音質も改善しました。
【その2】
バズーカウーファーで迫力のサウンドを堪能できる
東芝
レグザ 49Z720X
実売価格20万5070円
IPSパネルと直下型LEDバックライトを組み合わせたことで、明るく見やすい画質を実現。「重低音バズーカオーディオシステムPRO」が鳴らす迫力の重低音も特徴です。USB HDDを接続すれば、地デジを最大6chぶん全録できるタイムシフト機能が便利!
【SPEC】●画面サイズラインナップ:55V型、49V型 ●パネル:IPS液晶 ●バックライト:直下型+エリア制御 ●チューナー:BS/CS 4K×1、地デジ×9、BS/110度CS×3 ●音声実用最大出力66W ●接続端子:HDMI入力端子×4、USB×4、LAN×1ほか ●サイズ/質量:W1105×H692×D189mm/17.5kg(スタンド含む)
【コンテンツ量】評価A+
放送番組からネット動画までスキがない
新4K放送チューナーのほかスカパー!チューナーを内蔵し、対応するネット動画も幅広い。地デジの全録にも対応するなどスキなし。
【画質】評価B+
あらゆる映像をメリハリの効いた画質に
有機ELレグザと同じ高画質エンジンを搭載。繊細な質感よりメリハリ重視の画質で、あらゆるコンテンツを鮮鋭感の高い映像で表現します。
【操作性】評価B
リモコンは操作しやすいがレスポンスは△
GUIはすっきりとしたデザイン。リモコンも巧みな配置で多彩な機能をわかりやすく操作できます。操作レスポンスはややもっさり。
【音質】評価A
重低音だけでなく厚みを感じられた
巨大なバズーカウーファーによる迫力の重低音はインパクト大。サウンドに厚みがあり、音楽ライブなどのコンテンツも楽しめます。
【その3】
BDドライブ&HDDを内蔵し新4K放送の番組も録画できる
三菱電機
REAL 4K LCD-A50RA1000
実売価格27万620円
UHD BD再生も可能なBDドライブと、2TBのHDDを本体に内蔵する“全部入り”テレビ。新4K放送の録画にも対応します。同社が独自に磨き上げた「ダイヤトーンNCVスピーカー」を正面に配置し、クリアで聴き取りやすい音を実現しました。
【SPEC】●画面サイズラインナップ:58V型、50V型、40V型 ●パネル:VA液晶 ●バックライト:エッジ型 ●チューナー:BS/CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×3 ●音声実用最大出力20W ●接続端子:HDMI入力端子×3、USB×2、LAN×1ほか ●サイズ/質量:W1128×H790×D334mm/26.4kg(スタンド含む)
【コンテンツ量】評価B+
ネット動画に乏しいがUHD BD再生は魅力
UHD BDを再生できるドライブを備えるのは魅力。4K対応のネット動画で視聴できるサービスはYouTubeのみと少々物足りない。
【画質】評価B+
地デジ放送も高精細で階調性の高い映像に
独自の超解像処理を行う「DIAMOND ENGINE 4K」を採用。地デジも精細感の高い映像に仕上げます。コントラストも悪くない。
【操作性】評価A
多くの機能を直感的に扱えるデザインが◎
リモコンは、録画をはじめ使いたい機能をすぐに呼び出せるデザインと配置が秀逸。画面向きを調節できるオートターン機能も便利です。
【音質】評価A
広帯域で音色の揃った鮮明なサウンド
正面配置のスピーカーは2Way構成で、いずれも独自の「NCV振動板」を採用。高音から低音まで音色の揃った鮮明な音を楽しめます。
【その4】
「COCORO VISION」が好みのコンテンツをナビゲート
シャープ
AQUOS 4T-C50AN1
実売価格16万520円
新4K放送チューナーを2基内蔵。独自のAIサービス「COCORO VISION」が、 ユーザーの視聴履歴や録画傾向に応じて好みの番組をナビゲートしてくれます。Android TVを搭載し、多彩な動画配信サービスを手軽に楽しめるのも魅力。
【SPEC】●画面サイズラインナップ:60V型、50V型 ●パネル:VA液晶 ●バックライト:エッジ型 ●チューナー:BS/CS 4K×2、地デジ/BS/110度CS×2 ●音声実用最大出力35W ●接続端子:HDMI入力端子×4、USB×3、LAN×1ほか ●サイズ/質量:W1126×H719×D272mm/23.5kg(スタンド含む)
【コンテンツ量】評価A
4K番組を録画中に別の4K番組を見られる
新4K放送チューナーを2基備え、録画中の裏番組視聴に対応。Android TVを駆使して多彩なネットコンテンツも堪能できる。
【画質】評価B
地デジ放送も明るく見やすい映像で楽しめる
独自に開発した「AQUOS 4K Smart Engine PRO」を搭載。階調性や色再現は凡庸ですが、明るさと見やすさを重視した映像に。
【操作性】評価A
独自のAIサービスは多機能かつわかりやすい
「COCORO VISION」のナビゲートは丁寧でわかりやすく、スケジュール管理もできます。アイコンベースのGUIも見やすい。
【音質】評価A
2.1chシステムのスピーカーはクリアな音質
オンキヨーと共同開発した2.1chシステムを搭載。2Wayスピーカーの開口部を前面に設けることで、クリアで聴きやすい音に。
液晶モデルは性能と使い勝手のバランスが取れたモデルが多く、どのメーカーの製品を購入しても失敗しにくくなっています。各メーカーは「タイムシフトマシン」や「COCORO VISION」といった個性的な機能で差別化を図っていますので、それらの機能を魅力的に感じるかどうかで選んでもいいでしょう。