知り合いに、毎週のように婚活パーティーに参加している女性がいる。彼女はおとなしやかな美人なので、毎週必ず誰かとカップリングし、LINEアカウントを交換して帰ってくる。なのでどんどんLINEを交わす男性が増える。けれど誰を選んだらいいのかわからないという。
異性関係ではなく、部屋がこれと似たような飽和状態に陥っている人は結構いるのではないだろうか。
同じようなモノが増殖する恐怖
『ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました』(わたなべぽん・著/KADOKAWA・刊)は、著書であるわたなべさんが、部屋の中の大量のモノと格闘したコミックエッセイである。散らかった部屋で暮らしていた彼女はある日、気づいたのだ。もしかしたらモノが多すぎるせいで部屋が散らかっているのではないかということに。
彼女の洞察は深い。なぜモノが増えていくかというと、そこには「なりたい自分」への願望が入っているのだという。たとえば彼女の場合、増えていくのはレシピ本や英会話の本。まだ手持ちの本をマスターしていないのに、別の本を買い足してしまう。英語の本など30冊以上もあったという。
できない自分への言い訳行為
これは耳が痛かった。私も彼女にそっくりの行動をしてきたからだ。私の部屋にもレシピ本も英語の本も30冊以上あったからだ。最近はレシピはiPadで電子書籍やレシピサイトを適宜利用しているので全然増えなくなったし、英語の本は分かりやすくて気に入った先生の本だけで勉強するようになったので、だいぶ減った。
忙しい時などに「この仕事が終わったら料理をしよう」「英語をしよう」などと未来の自分のために本を買う。それは一見自己投資のようにも見える。けれど実態は違う。何もしてない自分を、本で装飾しているだけなのだ。そして本を買っただけで安心してしまい、結局全然手をつけない。そして不安になってまた別の本を買い足す。買い足すという行為に依存しているのである。
「いつかやる」は「いつになってもやらない」
結果部屋に同じような本が増える。それは何を意味しているかというと、進歩していない自分がいるので、また同じような本を買ってしまうということなのだ。同じような本が増殖していくのは、自分が足踏みしている証拠のようなものだと思う。そもそもなぜ「いつかやろう」と思って買ってしまうのだろう。時間ができてさあやろうという時に書店に出向けばいいではないか。
わたなべさんは買い物することで現実をごまかしていたことに気づき、モノを捨てられるようになった。彼女の部屋にあった「いつかダイエットをする時使うためのグッズ」や「時間ができたら読もうと定期購読していた雑誌」や「いつか観ようと撮ってある録画したDVD」など「いつかの自分のためのモノ」を処分し、部屋からモノがかなり消え、お部屋にお客様を呼べるようになった(写真も載っているけれど気持ちいいほどにモノがなくなっている!)
人間関係も整理が必要
ここで、冒頭の婚活パーティーでどんどんLINEでやりとりする男性が増えていって困っている女性を振り返ってみると、彼女の謎の行動の理由が見えてくる。「本当は早く本命の男性見つけて結婚したい」のに、食事以上の仲になることが怖い。だからとりあえずカップリングして、とりあえずLINEのやりとりをするということで心を落ち着かせようとしていたのだ。けれどそれは真実の愛ではないから心がもやもやし、結局また婚活パーティーに行ってしまう。
「もしかして、やり取りしている誰とも結婚する気ないんじゃないの?」
ズバリ突っ込むと、彼女はあっさりそうだと認めた。その途端「私、今までなにやってたんだろう」と全員にお断りをしてしまったのだ。そして後日「いつも行ってる婚活パーティーはいつも同じような人ばかりだから、結婚相談所に登録することにした」という連絡が来た。部屋の片付けと同じように、異性関係もいったん整理する必要があるのかもしれない。
【書籍紹介】
ダメな自分を認めたら部屋がキレイになりました
著者: わたなべぽん
発行:KADOKAWA
生まれてこのかた、ホコリだらけの部屋に住み続けてきた著者・わたなべぽん。一念発起して片付けを決心するのものの、ものが多すぎて部屋がまったくキレイにならない! そして「使ってないのに、持っているだけでなんとなく安心」なものにあふれている我が家に茫然…。でもそんな自分に向き合いながら、思い切って捨てることを続けていたら新しい人生が目の前に!? 体を張ってお届けする、実録お片付けコミックエッセイです。
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