デジタル
2019/5/24 0:00

近すぎちゃってどうしよう!スマホで迫力写真も撮れる「防水スタンダード双眼鏡」が楽しすぎ

まず、この写真を見ていただきたい。風格をただよわせながらも、威嚇するようにコチラを睨みつける猛虎のド迫力! フサフサとした毛並み、しっとりと湿度をもった鼻、ヒゲの1本1本まで、ハッキリと見てとれる。

この1枚、動物写真家の前川貴行さんが撮影したもの。「さすが!」「やっぱりね」という声が聞こえてきそうだが、前川さんが仕事で使うカメラやレンズで写した写真ではなく、双眼鏡とスマホという意外な機材で撮られているのだ。

 

「今まで数え切れないほどの動物写真を撮ってきましたが、双眼鏡とスマホで撮るのは初めての経験です。撮影場所ですか? ロシアの針葉樹林……ではなく、家の近所の動物園です」(前川さん)。

 

まさか、双眼鏡とスマホだけで、動物園でもこんなにエキサイティングな写真が撮れるとは。では一体どんな双眼鏡かといえば、レイメイ藤井の「防水スタンダード双眼鏡 RXB129」で、お値段は1万2000円。双眼鏡に新たな楽しみをプラスした、画期的なフィールドギアだ。

 

動物写真家・前川貴行氏が体験する「防水スタンダード双眼鏡」で覗く世界

写真家の前川貴行さんは、世界を股にかけ、ホッキョクグマ、トラ、ゴリラなどを撮影する野生動物写真の第一人者だ。撮影時に双眼鏡が欠かせないという前川さんに、高品質でユニークな機能をもつレイメイ藤井の「防水スタンダード双眼鏡 RXB129」を使って、プロフェッショナルの経験と視点から、性能や使い勝手を検証してもらった。

↑動物写真家の前川貴行さん。野生動物写真家の第一人者だ
↑動物写真家の前川貴行さん。野生動物写真家の第一人者だ

 

↑撮影中も双眼鏡で動物の顔の向きや立ち方といったなどの状況を観察しながらシャッターチャンスを待つという
↑撮影中も双眼鏡で動物の顔の向きや立ち方などの状況を観察しながらシャッターチャンスを待つという

 

「写真家にとって、双眼鏡は決してマストな装備ではありませんが、動物の写真を撮っている私にとっては、フィールドで動物を探したり、動物の状況を観察するためになくてはならない必携品です」と語る前川さんが、双眼鏡選びで最もこだわるのが“見え方”だ。

 

「クオリティが低い双眼鏡は、ピントが合いにくく、何より少し曇った見え方で、クリアさがありません。『防水スタンダード双眼鏡』は解像度が高く、レンズの口径も42mmと大きいので、明るく高コントラストな視界を確保できました。双眼鏡のウィークポイントである逆光時に使っても、ひどく見づらいという印象はありませんでしたね」(前川さん)

↑レンズの径が大きいと、光の量を多く採り込めるため視界も明るい。日暮れ時の使用や、天体を見る時に効果を発揮する
↑レンズの径が大きいと、光の量を多く採り込めるため視界も明るい。日暮れ時の使用や、天体を見る時に効果を発揮する

 

そしてもう一つ、フィールドで使う前川さんにとって“タフであること”も絶対条件。「強靭で防水仕様の施されたボディや、持ち運びやすいコンパクトかつ軽量なサイズ感も気に入りました」(前川さん)。

↑本体は防水仕様(IPX4)。水辺はもちろん、突然の雨に降られたり、星空観察など結露しやすい状況でも安心して使える
↑本体は防水仕様(IPX4)。水辺はもちろん、突然の雨に降られたり、星空観察など結露しやすい状況でも安心して使える

 

「防水スタンダード双眼鏡」は、目で覗く側の接眼レンズから筒先の対物レンズまでの光軸がストレートになった“ダハプリズムタイプ”(後述)なので、筐体をスリムに設計でき、これも使いやすさにつながっている。

 

「倍率が高いほど、遠くにあるものが大きく見えますが、高倍率になるほどボディも大きくなり持ち運びがしにくい上、手ブレも大きくなります。撮影に携行するには倍率8倍がちょうどいいといえます。私が仕事で愛用しているタイプも8倍です」(前川さん)

↑「防水スタンダード双眼鏡」は、接眼レンズから対物レンズまでの光軸が一直線になった“ダハプリズムタイプ”。その特徴をいかしスリムなボディを実現する
↑「防水スタンダード双眼鏡」は、接眼レンズから対物レンズまでの光軸が一直線になった“ダハプリズムタイプ”。その特徴をいかしスリムなボディを実現する

 

【双眼鏡の構造】

レンズには凸レンズが使われているため、そのまま覗くと像が逆さに見えるが、それを正立させるために採用するのが“プリズム”。その形式には、以下の2タイプがある。

・ダハプリズムタイプ……屋根のような形をしたプリズムを採用しており、ドイツ後で“屋根”を意味する「ダハ」と称される。接眼レンズから対物レンズまでの光軸を一直線に設計できるため、本体をスマートかつコンパクトにできる。ただしコストがかかるため、より高額になりがち。

・ポロプリズムタイプ……イタリア人のポロが発明したプリズムを採用。光がZ型の軌跡を描いて接眼レンズへと入射するため、接眼レンズより対物レンズが外側に設計され、横幅がかさみやすい。

 

こうした双眼鏡としての基本設計のよさに加え、「防水スタンダード双眼鏡」のオリジナリティといえるのが、付属のスマホアダプターを使い、スマホで撮影できることだろう。

 

「使い始めは、アダプターにあるレンズ穴の中心とスマホのカメラレンズを合わせるのに手間取りましたが、コツさえつかんでしまえば、いつも使っている感覚で撮影を楽しめました」(前川さん)。また、同じく付属のビノホルダーを使い、双眼鏡を三脚に固定すれば、手ブレを抑えた、よりきれいな写真が撮れるという。

 

では早速、前川さんに「防水スタンダード双眼鏡」に自前のiPhoneを取り付けて撮影、その“作品”を見せてもらった。

 

スマホをアダプターで取り付けて撮影開始!

↑「スマホアダプター」は幅約60~90mmのスマホに対応。セットして、カメラアプリで焦点を調整すればすぐに使える
↑「スマホアダプター」は幅約60~90mmのスマホに対応。セットして、カメラアプリで焦点を調整すればすぐに使える

 

↑スマホの画面を見ながら静止画や動画の撮影ができる。画面が大きくシャッターシャンズを狙いやすい
↑スマホの画面を見ながら静止画や動画の撮影ができる。画面が大きくシャッターチャンスを狙いやすい
※機種によってレンズの数や仕様が異なります。使用する機種に合わせてスマホアダプターを取り付けてください。

 

1.オランウータンに接近!

↑柵の奥の方で寝そべっているため、遠目から見ているだけではイマイチ状況がつかみにくい
↑柵の奥の方で寝そべっているため、遠目から見ているだけではイマイチ状況がつかみにくい

 

双眼鏡×スマホで撮影してみると…


「少しアンダーめに撮ったことで皮膚や毛の質感もいい感じに出ました。頬被りをしているおもしろい瞬間を撮れました」(前川さん)

 

2.レッサーパンダに接近!

↑木の上に何かがいるとはわかっても、柵の外からではその状況すらわかりません
↑木の上に何かがいるとはわかっても、柵の外からではその状況すらわかりません

 

双眼鏡×スマホで撮影してみると…


「初回はずっと動き回っていたので撮影を断念。2度目でようやく木の上で寝ている瞬間が撮れました。休んでいるときがチャンスです」(前川さん)

 

3.アオサギに接近!

↑そこにいることはわかってもアオサギの特徴や風貌までは確認できません
↑そこにいることはわかってもアオサギの特徴や風貌までは確認できません

 

双眼鏡×スマホで撮影してみると…


「動物を撮る時は眼にピントを合わせるのが基本。精悍な表情をとらえることができました。双眼鏡の望遠効果で背景がうまくボケました」(前川さん)

 

4.トラに接近!

↑動物園でよく見る風景です。トラがいることはわかるだけでディテールはさっぱり見えません
↑動物園でよく見る風景です。トラがいることがわかるだけで、ディテールはさっぱり見えません

 

双眼鏡×スマホで撮影してみると…


「動いている時は撮れないので、トラが休んでいる瞬間を狙い、正面を向くタイミングで撮ったものです。スマホとはいえ細部まできれいに撮れています」(前川さん)

 

「双眼鏡としてはコストパフォーマンスに優れたいい製品だと思います。写真家としては、スマホ撮影はやや力技という印象はありますが、画質もよく、何よりこの発想がおもしろいですね。用途が広く、ふだんは双眼鏡として使い、いざという時はスマホで写真を撮れるので、初めて使う入門機に最適ではないでしょうか」(前川さん)

 

【商品情報】

レイメイ藤井「防水スタンダード双眼鏡 RXB129
1万2000円(税別)
天体観測から音楽フェスまで、さまざまなシーンで“見て”“撮れる”オールマイティな防水双眼鏡。スマホアダプター、ビノホルダー、ショルダーストラップ付ケース、ネックストラップなど付属品も充実する。サイズは幅130×高さ54×奥行きD146mmで質量は508g(キャップ含まず)。
http://www.raymay.co.jp/nature/contents/nature/item/RXB129/index.html

 

【プロフィール】

動物写真家 前川貴行

1969年、東京都生まれ。動物写真家。エンジニアとしてコンピューター関連会社に勤務した後、26歳の頃から独学で写真を始める。97年より動物写真家・田中光常氏の助手をつとめ、2000年よりフリーの動物写真家としての活動を開始。日本、北米、アフリカ、アジア、そして近年は中米、オセアニアにもそのフィールドを広げ、野生動物の生きる姿をテーマに撮影に取り組み、雑誌、写真集、写真展など、多くのメディアでその作品を発表している。
第一回日経ナショナル ジオグラフィック写真賞グランプリ。
http://www.earthfinder.jp/


『生き物たちの地球1』(朝日学生新聞社)

↑前川さんの動物写真に対する矜持や作品の一部はこちらからチェックできる
↑前川さんの動物写真に対する矜持や作品の一部はこちらからチェックできる

 

取材・文/安藤政弘 撮影/中田 悟