まだ家庭のキッチンはガスコンロが主流です。日本電機工業会実績では、出荷累計で1000万台を突破したIHクッキングヒーターですが、普及率で見ると23%程度(2015年に環境省調査)。IHがなかなか普及しないのにはさまざまな理由がありますが、その理由のひとつにガスとIHの操作感の違いもあると見られています。
調理にとって火加減は最も大切な要素ですが、IHは火の強さがひと目で直感的に分からない、という不安があります。特にシニア世代ほど、慣れ親しんだガスコンロから離れられないことでしょう。そこでパナソニックは、ガスコンロで慣れ親しんだ操作感を再現したビルドイン型IHクッキングヒーターを開発しました。これにより、IHの普及拡大を図っていく考えです。
コンロのある天面に火加減調節のダイヤルを採用
パナソニックが5月20日に発売するXJシリーズは2口IH(左右3.0kW)+グリル(平面ヒーター+遠赤ヒーター)搭載のビルトインタイプの中級機種。最大の特徴は、火加減調節にダイヤルを採用したことです。
多くのIHは、火加減調節はタッチタイプの左右キーを操作して、液晶画面またはインジケーターの数値で火加減を判断します。一部ダイヤル式を採用しているモデルもありますが、コンロのある天面ではなくグリル側に搭載されています。
ダイヤル上のインジケーターとリングの明るさで火力がわかる
XJシリーズは左右IHヒーターのすぐ手前にダイヤルを設置し、ダイヤルを左右に回すことで火加減の調整をできるようにしました。ダイヤルを時計回りに回せば火力が強くなるのですが、この時、ダイヤル横の液晶画面に数値で火力を示すとともに、ダイヤルの上の赤い光のインジケーターで火力レベルが分かるようになっています。
さらに、対応するIHの周りの赤く光るリングの明るさも火力に応じて変化するので、ガスから転向した人でも火加減が分かりやすく使いやすくなっています。加えて、火を止める場合はダイヤルを左に回すか、上からポンと押すだけ。吹きこぼれや焼きすぎの時にワンタッチで急停止できるのはとても便利です。
一定の温度をキープでき、タイマー付きなのも便利
揚げ物は温度設定すれば、ダイヤルを操作しなくても一定の温度を自動でキープできます。これはIHならではのメリット。温度管理が簡単なので、日ごろ料理をしたことがないオッサン(筆者)でも揚げ物が手軽に作れます。実際に、初めての経験なのに、サクサク美味しい野菜の素揚げができました。タイマー設定できるのもIHならでは。煮物は弱火でタイマーをかけてほったらかしにできるのも便利です。
グリルでの魚の調理は自動メニューでおまかせ
さらに、ガスからの転向でIHの便利さを実感してもらうため、グリルでよく使う調理を自動メニュー化しました。自動メニューは、切り身/干物/つけ焼き/生・姿焼きの4種類。ほとんどの主婦がコンロのグリルを魚調理メインで使っているため、これら使用頻度の高いメニューを自動化したものです。魚を入れてメニューを選んでスタートするだけで、あとはIHが上手に焼いてくれるのです。
グリルは5面がフラットなので、お手入れはさっと拭くだけ
価格を抑えた需要創造モデルですが、パナソニックの特徴である「遠赤 Wフラット ラクッキングリル」は健在です。天井面と奥を含む5面がフラット構造なので、焼き魚などで汚れやすいグリルも使用後にさっと拭くだけでOK。あの脂でベトベトするイヤなグリルからはおさらばです。
筆者の家ではちょうど1年前にガスからIHに変えました。いまのところ不便はなく、むしろメリットしか感じていません。熱効率が良いのでお湯が湧くのが早く、炎がないので火事の心配もナシ。揚げ物の温度管理がカンタン、グリル料理はメニュー選んでほったらかし、煮物もタイマーかけてほったらかし(と妻が申しております)。こうしたメリットに加え、パナソニックの新製品はダイヤル操作で直感的に火加減調節できるので、長くガスコンロを使ってきたベテラン主婦にも使いやすいでしょう。消費税の増税前でもあることですし、この機に実家をリフォームして親孝行…なんてことを考えてみては?