マーケティング、広告、テクノロジー、ブランドなどの分野で活躍するプロフェッショナルが世界中から集まるADVERTISINGWEEK ASIA 2019。そこで行われていた「TikTok FOREFRONT」セミナーへ。会場内のセミナーでは、TikTok(ティックトック)の運営会社ByteDanceのX Design Centerの鈴木瑛さん、電通クリエーティブ・ディレクターの佐藤雄介さんのトークが繰り広げられました。
日清食品のカップヌードルCMシリーズ「HUNGRY DAYS ワンピースゾロ篇」がCM動画(Twitter/Facebook/YouTube)の再生回数でも話題となっているのは周知のとおり。その仕掛け人は、今回の登壇者のひとり、電通クリエーティブ・ディレクターの佐藤雄介さんでした。
「今は飽和の時代。どんどんコンテンツが消費されて、ユーザーが飽きやすい時代になっている。動画だと簡単に消費されない広告が作れるかと考えたんです。何度も見たくなる、ツッコミたくなる、一言ネットに書き込みたくなるようなもの」とは、佐藤さん。
それらを踏まえたうえで、制作されたのがあの「HUNGRY DAYS」アオハルかよ。のCMシリーズでした。ユーザーに何か気にならせるという、わざとネットニュースになるようなネタを仕込んだりと、その仕掛けが功を奏しているといいます。第1弾となる「魔女の宅急便」篇は2017年、最もツイートされた(520万越え)CMとなり、私たちはまんまとその戦略にはめられていたのですね。
■「HUNGRY DAYS ワンピースゾロ篇」15秒バージョン
そして、TikTokの運営会社ByteDanceのX Design Centerの鈴木瑛さん。そもそもTikTokとは15秒のムービーを共有する動画共有サービスで、若者の間で流行り日本だけで950万MAU(※月間アクティブユーザー数。月1回以上サービスを利用したユーザー数)を誇ります。
「近年はSNSの隆盛などに伴い、インターネット上には情報が氾濫し、ユーザーの注目や興味を獲得することは難しくなりつつあります。TikTokは、独自の機械学習アルゴリズムがユーザーの行動・環境・嗜好データをもとに、一人一人にマッチするコンテンツを提案。共感を生み、効率よく購買や共有といったユーザーアクションにつなげていきます」とは、鈴木さん。
また、TikTokスタンプという機能を紹介していたのですが、みなさんご存知だったでしょうか? もうオジさんだから…筆者は初めて知りました…すみません。同アプリの「顔認証スタンプ」や「手認証スタンプ」、「バーチャル髪色チェンジ」などといったオリジナルスタンプでユーザーに新しい楽しさを提供するもの。特にバーチャル髪色チャレンジは様々な色に変えることができ、髪の毛の色を変えた時の雰囲気がわかりやすくイメージできます。顔を動かすことで、髪の毛が揺れるという細かい動作も特徴でした。
「TikTok」と「日清カップヌードルのCM」には意外な共通点がありました。まずは15秒の動画コンテンツTikTokと、15秒のTV CM、という短い時間でのクリエイティブ。現代の飽きやすく移り気なユーザーたちにも刺さる、15秒最後まで見せる、簡単に消費されないコンテンツを作っています。一般の投稿者とプロのクリエイターでは立場が違うかもしれませんが、どちらも「むずかしいけどおもしろい」ことを考え、クリエイティブを制作しているという点は同じです。
さて、TikTokというと若者が踊ったり、化粧したりといった動画ばかりの印象がありました。が、今回の取材でTikTokを色々見てみると、旅行の景色や、料理・ヨガ・筋トレのハウツーの動画がトレンドに入っているなど、大人でも十分楽しめそう。若者向けアプリと思って毛嫌いしていた人は、正直損しているかもというレベルでした。気になったら中身を見てはいかがでしょう?