今年4月から時間外労働の上限が月45時間となり、違反企業に罰則が導入されるなど、働き方改革関連法が順次施行され始めています。各企業が業務の効率化のためさまざまな試みを行っていますが、社員が自分の机を持たない「フリーアドレス」などのオフィスの使い方改革もそのひとつ。
そこで今回は、仕事効率化に役立つアイデア満載の最新オフィス用品をピックアップ。働き方改革の専門家である株式会社ワーク・ライフバランスのコンサルタント、松尾羽衣子さんにこれらのアイテムのオススメポイントや活用法についてお話をうかがいました。
なぜいま「働き方改革」が注目されている?
アイテムの紹介の前に、まずは働き方改革の基本的な事柄について松尾さんに聞いてみました。
――近年、働き方改革への注目が集まっていますが、それはなぜでしょうか?
「今の日本は、働いている時間は世界のなかでトップクラスに長いのですが、労働生産性を見ると先進国なかでも特に低いんです。つまり日本人は働いているのに成果を出せていない。少子高齢化が進んで、働ける人口が減ってくるなか、同じ時間でより成果を上げなければ立ち行かない状況が近づいてきています。また、今までの長時間労働を前提にした働き方だと、育児中や介護中の方、事情があり長時間働けない方は成果を出せないという構造になってしまっているのです。無駄を省いて、全員が成果を出すことが求められているんですね」(松尾さん)
――実際の企業の動向はいかがでしょうか?
「これまでは『そもそも働き方改革って何ですか?』というお問い合わせが多かったんですが、去年の後半あたりから『実際に労働時間を短くするにはどうしたらいいですか?』という具体的な問い合わせが増えてきています。4月から働き方改革関連法が施行され、そろそろ実行フェーズに移らないとまずい、と危機感を抱いている企業が増えているのは確かです」(松尾さん)
――では、働き方改革をするうえで、今回のテーマであるオフィス用品はどのように関わってくるのでしょうか?
「“働き方改革”というと、『今のうちのオフィスは狭いので、フリーアドレスにするとか、集中スペースを作るとか、工事が必要そうな変革は無理です』という声を結構耳にします。でも、シンプルに働きやすさのことを考えれば、便利なアイテムをうまく活用することで手軽に始められることも多いはず。“快適なオフィス環境づくり”が働き方改革の第一歩と言えます」(松尾さん)
快適に働くための注目オフィス用品6選!
【その1】
“集中タイム”にサッと設置し、仕事の効率UP!
デスクの上に置いて周囲の視界を遮ることができる、折りたたみ式の簡易パーティション。手軽に設置でき、使用後はコンパクトに収納できます。内側にはペンや小物が収納できるポケットやA4書類用の透明スリーブ付き。PCなどのケーブルを通せる切り欠き加工も施されています。
【松尾さんのおすすめコメント】
「職場環境をオープンにしようとしている今の時代に逆行するようなアイテムにも思えますが、常設ではなく、集中して仕事をしたいここぞというときに最適ではないでしょうか。私たちの会社では『集中タイム』という札を立てると、話しかけない、電話も取り次がない、と決めています。人は集中に入るまでに平均23分かかると言われていて、いったん集中が途切れると、再び集中状態に入るまでに時間がかかるんですね。このパーティションを部署(チーム)で1つ用意しておけば、必要に応じてみんなで回して使えて仕事の効率もアップしそうです」(松尾さん)
【その2】
書類、ノートPC、プロジェクター……ミーティングに必要なものが手軽に持ち運べる!
社内外の移動の際に便利なバッグ。複数サイズを展開する人気シリーズですが、こちらはモバイル端末や書類などを一気に運べるサイズです。フタ付きで中を隠せ、外側には使用者がすぐにわかる名刺ポケット付き。内部の仕切り板は両端にファスナーテープが付いていて、自由に動かせます。マチの大きさでスリム/スタンダード/ラージの3種類を用意。カラバリはネイビー、グレー、ブラウン。
【松尾さんのおすすめコメント】
「これだけ大きいとプロジェクターも入るので、個人での利用だけでなく、プロジェクターを入れたものを部の共有スペースや会議室に置いておくのも良さそうですね。メーカー系の職場であれば商品のサンプルを抱えて会議室に入ったりすると思いますが、そういう場合にも便利そう。ビルが2つにまたがっている企業や、いったん外を歩かなくてはいけないオフィスなどの移動にも重宝しますし、バッグのフタが閉められるのでちょっとした雨でも安心です」(松尾さん)
【その3】
汚れたオフィスチェアに被せるだけで新品のように! 夏場の汗対策にも
オフィスチェアの座面を気軽にリニューアルできるチェアカバー。ゴムをひっかけるだけで簡単に設置でき、伸縮する生地がイスにフィットします。材質はコットン73%・ポリエステル27%で洗濯も可能。カラバリはブルー、ブラック、ブラウン、レッドの4種。ほかに夏向きの「ドライメッシュタイプ」と、座り心地が良い「ふかふかタイプ」も用意されています。
※構造上、座面と背面が一体となっているイスなど、イスのタイプによっては使用できない場合もあります。詳しくは製品サイトをご覧ください
【松尾さんのおすすめコメント】
「実際にカバーをかけてみると想像以上に馴染んで違和感もありません。オフィス空間ってきれいであることはすごく大事で、イスをわざわざ買い替えなくてもこれだけで気分を変えられるのが良いですね。
ただ社内で話をしている際に、フリーアドレスのオフィスで使用する場合には『例えばさっきまで部長が座っていた席に、すぐにカバーを被せることはしにくいよね』って意見が出ました(笑)。一方で、ある男性社員からは『夏に汗をかいたまま座って、そのあと会社を出るときにフリーアドレスだと申し訳ない気持ちになる』という声もあったので、汚れないように配慮する目的で使うのは十分アリだと思います」(松尾さん)
【その4】
ノートPCに直接ふせんを貼っている人にはコレ!
剥離紙をはがしてノートPCの背面などに貼りつけ、ふせんでタスク管理ができるふせんボード。持ち運び時やメモを見られたくないときは透明のボードをスリーブにスライド収容でき、コンパクトにしつつふせんを隠せます。サイズは75×25mmふせん4枚添付用の「大」、50×15mmふせん6枚添付用の「小」の2種。
【松尾さんのおすすめコメント】
「私はノートPCのパームレスト部分によくふせんを貼っているんですけど、落ちてしまう心配があるんですよね。自分用のメモで恥ずかしいから、小さく折って貼っているときもあります。なので、これはそんな悩みを解決してくれるとても良いアイデアだと思います。リモートワークが多い人であれば、さっとボードがしまえてすぐに移動ができますし、クライアント先に自分のPCを持っていくときもふせんが隠れるので良さそうです。大きな声では言えませんが、歯医者の予約電話をする、など私用のメモを貼るのにも向いているかも(笑)」(松尾さん)
【その5】
スリムなファイルを使ってオフィスを省スペース化
10ポケットで背幅6mm、40ポケットでも背幅8mmと一般的なクリヤーホルダーの約半分のスリムタイプ。キャビネットに従来以上の冊数を収納できます。必要なファイルが見つけやすい立体見出し付き。ポケット数は10ポケット、20ポケット、40ポケットの3種類。カラバリは青、桃、透明、緑、橙と豊富です。
【松尾さんのおすすめコメント】
「40ポケットでこの薄さはすごいですね。フリーアドレスにした会社でも、法的に保存が義務づけられている書類などが結構あるものです。私が以前に担当した企業さんでも、IRの部署に書類がたくさんあって、『整理してキャビネットが3つから2つに減ったけど、これ以上は無理です……』と悩まれていました。このクリヤーブックがあればキャビネットが1つで済んだかもしれませんね。
実は働き方改革では掃除がすごく重要で、時間を効率的に使うためにも『あるものをちゃんとした場所に置く』ということが前提になります。年間で20日間ほど「探し物」に時間を費やしているというデータもあるほどなんです。省スペースで整理ができるアイテムは見逃せないですね」(松尾さん)
【その6】
デスク周りの掃除はこれひとつ! 使い分けがいらないウェットシート
帯電防止剤と界面活性剤が配合されているため、PCの液晶画面拭きとデスクのクリーナーを分けずに1枚で掃除できるウェットシート。ワンタッチで蓋が開き、サッと片手で取り出せる卓上ケース入りで使い勝手もよくなっています。50枚入で詰め替え用も用意されています。
【松尾さんのおすすめコメント】
「共有のデスクトップPCって結構汚れてますよね。個人の利用以外にも、そういう共有の場所に1つ置いてあると便利そう! 1種類で済むので省スペースにもなります。それからノートPCのタッチパネルも汚れがちで、私はお客様に見せるときに『すみません、汚くて』と言いながら拭いていることがよくあります(笑)。そういう打合せ前にサッと拭けるのも便利です。できれば、もう少し小さな持ち運びしやすいサイズが選べるとさらに良いですね」(松尾さん)
働き方改革を進める上で重要な「ハード」と「ソフト」とは?
最後に、働き方改革を進めるうえでのポイントを松尾さんにうかがいました。
「ここで紹介されているような便利アイテムなら手軽に導入できそう、と感じた方も多いのではないでしょうか。これは働きやすい快適なオフィスという“ハード面”での充実につながっていきます。
1つ留意いただきたいのは、働き方改革はハードとソフトの両輪で進めていく必要があるということです。働きやすい環境を整備するとともに、ソフト面、すなわちチームの『関係性の質』を高めることも重要。よくある失敗が、リモートワークを採り入れたのに『あいつ本当に仕事をしているのか? さぼってるんじゃないか?』と疑念が出るケース。これではハード面が整っていても、関係性の低さが足を引っ張り、うまくいきません。
また、私たちが働き方改革で重視しているのは、無駄になっている時間をなくしつつ、そこで生まれた時間でいかに根本的な仕事をするか、自分たちは何のために仕事をしているのかを考えること。個人で効率化することも大事ですが、効率化して終わりではなく、お互いの関係性を良くしてチーム力を高め、本当に大事なことに皆でチャレンジするなど、生まれた時間をどう活かすかが働き方改革の重要なポイントだと思います。」(松尾さん)
松尾さんお話にもあるように、働き方改革は環境づくりと関係性づくりをバランスよく進めていくことが重要です。面談やミーティングなどでチームの関係性づくりは進められても、環境づくりは大掛かりでなかなか進まないとお困りの方は、まずはオフィス用品を見直すところからはじめてみてはいかがでしょうか?
<オフィスの悩みをズバリ解決! 「カウコレ」プレミアムとは?>
今回紹介した商品は、カウネットのオリジナルブランド『「カウコレ」プレミアム』よりピックアップしたもの。同シリーズには、オフィス用品のプロフェッショナルであるカウネットならではの着眼点で作られた便利なアイテムが多数揃っています。オフィスで困り事があれば、ぜひ一度ご覧ください。もちろん、法人だけでなく個人での購入も簡単に行えますよ!
撮影/我妻慶一