いま、文房具業界でちょっと話題になっているアイテムがある。修正テープのトンボ鉛筆「MONO AIR」だ。
つい先週に発売されたばかりの新製品なのだが、事前に一般向けの試用モニターキャンペーンを行い、すでに大好評を博している。この修正テープ、驚くほど軽い力でテープを引けるというのだ。なんせ、メーカーがパッケージに「驚くほど軽く消せる」と書いてしまっているほど。トンボ側も相当に自信がある商品だというのは見て取れる。
モニターキャンペーンでは「MONO AIRは○○より軽い消し心地!」というお題のコメントを募っていたが、当選したユーザーからは「シャボン玉より軽い」「バラの花びらより軽い」「子どもたちのジャンプより軽い」など、いろいろ趣向を凝らした(言いすぎじゃないか? というようなものも含む)軽さの表現が寄せられていた。
それだけ軽い軽いといわれれば、文房具好きとしてはやはり気にはなるだろう。では、実際に使ってみるとどんな感じなのだろうか?
この「MONO AIR」はカートリッジ交換不可の使い切りタイプ。テープ幅は4.2㎜、5㎜、6㎜の3種類で、テープ長は全て10m巻となっている。
テープ幅は先端のヘッドの色で見分けられるので、自分が常用するテープ幅の色を覚えておくと買い間違えがない。
ヘッドカバーを外して引いてみると、まず感じるのがスタートの軽さだ。ヘッドを紙に当てて動かすと、実に滑らかにどこまでもスルスルスルとすべり出す感じ。この軽さには確かに驚かされる。
実のところ一般的な修正テープの引き始めを重いと感じたことはなかったのだが、「MONO AIR」と比べると確かにテープの頭からギリギリッと抵抗があるように思う。ただ、そこから数㎝を引き続けるとテープを引く手の動きに勢いがつくため、一般的な修正テープの重さもさほど感じなくなるが、それでも「MONO AIR」の軽さは明白だ。
修正テープの使い方としてもっとも多いのが、1~2文字ちょっとの短距離の修正。引き始めから数㎜までの加速は特に重要な要素となる。文字修正とは自動車でいうゼロヨンレース(0~400m間の加速を競う超短距離レース)のようなもので、「MONO AIR」は軽快に短距離を駆け抜けるゼロヨンレーサーといえるだろう。
数回の修正であればさほど違いはでないだろうが、これが何度も繰り返して使うとなると、このスタートからの加速性能の差が腕の疲労度の差につながることは充分に考えられる(ただ、そこまで修正するならゼロから書き直した方がいいとは思うが)。
また、修正テープはテープ残量(供給リール側の残り)が少なくなると、どうしてもギア比の問題で引き心地が重くなる。もともとの引き抵抗が少ない「MONO AIR」の方が、最後までスムーズに使い切れるという道理もある。
では、どうして「MONO AIR」はこんなに滑らかなのか? それは、修正テープを切るためのリールの構造に秘密がある。
実は一般的な修正テープは、テープを送り出す供給リールにかかる抵抗で、テープを引っ張り切る仕組みになっているため、常にリールに負荷がかかるようになっている。トイレットペーパーのカバーを常時押さえつけながら、無理矢理ペーパーを引き出しているようなものだ。
一方「MONO AIR」は、ヘッドを紙に押しつけることで供給リールのロックを解除する新開発のエアータッチシステムを採用。これにより負荷をかけ続けることなく、滑らかにテープを送り出すことができる。
切るときは、紙からヘッドを離した瞬間にリールをロック。これでスパッとテープを切ることができるという仕組みだ。
さらにテープ自体も、上から文字を書いても剥がれにくい密着力を向上させた新しいものを使用。これはグリップ力の高いタイヤを履いているようなもので、ヘッドの空滑りを減らし、スタートダッシュの効率を高める役割を担っているようにも感じた。
エアータッチシステムを搭載しているためか、ボディ自体はここ最近のコンパクトな修正テープと比べるとサイズ・重量ともに少しかさばるが、ふで箱に入れて持ち運ぶ程度では邪魔にはならないはずだ。
ひとまず試しに、テープの引きの加速性能を体感してみてほしい。気に入るようなら日常使用のメイン修正テープの座に据えてしまってもまったく問題はないだろう。
【URL】
トンボ鉛筆 http://www.tombow.com/
「MONO AIR」商品ページ http://www.tombow.com/products/mono_air/