分譲マンションと必ずセットになっているのが「マンション管理組合」と「マンション管理会社」。しかし、これらが実際どんなことをしているのかご存知ない方も多いはずです。
この記事では、不動産のプロ、渕ノ上弘和さんにその2つの組織が何をしているのか、また、いい管理会社の見分け方も併せて聞いてきました。
教えてくれた人
渕ノ上弘和さん
「資産価値」を重視した中古マンション選びをサポートする不動産エージェント、コンドミニアム・アセットマネジメント株式会社の代表。中学生の頃から不動産に興味を持ったという不動産オタクで、宅地建物取引主任者資格の講師や、大手マンション管理会社2社への勤務などを経て現職へ至る。
「マンション管理組合」「マンション管理会社」は何をしているの?
まず、マンションの住民で構成される管理組合はマンションの資産価値を維持するための活動を行うわけですが、その業務は以下の4点に分けられます。
・組合運営業務
管理組合の総会・理事会等の意思決定機関の運営に加え、住民からの意見やクレームなどの問題を解決するための取り組み。
・会計出納業務
マンションの区分所有者である管理組合員からのお金の徴収、必要経費の支払い、会計帳票や決算報告書の作成。さらにはマンション管理組合向けの債券を購入するなど、資産運用も行うことがあります。
・清掃/保守業務
マンション住民が目にする清掃員さんによる清掃はもちろんのこと、1〜2年に1回行われる排水管の洗浄作業、消防設備点検(感知器や、避難梯子等の点検)をはじめとしたマンション設備の維持に関わる作業を指します。
・維持修繕業務
大規模修繕工事の実施や、そのプランニングとしての長期修繕計画の策定、日常における不具合の修繕など。なお、これらは資金計画に密接に関連するため、会計出納業務における実際の資金状況を勘案し、計画をします。
そして、マンション管理会社は、管理組合から仕事を請負い、上記業務のサポートを行っています。上記の業務のうち、管理組合だけでカバーしきれないものを管理会社が担うという図式になっています。
いいマンション管理会社を見分けるには?
さて、ここからはいいマンション管理会社の見分け方を紹介していきます。渕ノ上さんが教えてくれた、いい管理会社のポイントは、「管理戸数が多い」「フロントマンの離職が少ない」「管理員さんの研修をきちんと行なっている」の3点です。
・管理戸数が多い
「管理会社は現状としてスケールメリットが非常に出やすい(大手企業が有利になりやすい)業態です。管理戸数が多ければ、保守・清掃会社に対する価格交渉力が強まるため、結果として請け負っている保守業務が廉価になりえます。また、マンション管理に関する多くの情報を保有できるため、施策の横展開が行いやすくなります。管理会社ごとの管理戸数については、様々な雑誌での特集や、マンション管理新聞でのランキングでチェックしてみてください。」(渕ノ上さん)
・フロントマンの離職率が低い
「今後のIT化により大きく変わることを期待していますが、現状として管理業は離職率の高い傾向にあります。そんな業界にあって、フロントマンの離職が少ない会社はマネジメントがきちんとできていると判断できるため、いい管理会社といえるのです。私の聞いた話では、事業所やエリアによる例外もありますが、大手会社になればなるほど離職率が低いそうです。」(渕ノ上さん)
・管理員の研修をきちんと行なっている
「現場の顧客満足度を上げるためには管理員に対する研修の頻度やレベル・内容が非常に重要です。マンションでたまに見かける『研修のため管理員が不在となります』というアナウンスは、一見ネガティブに見えてしまいますが、本質的にはポジティブな要素といえます。研修がしっかりしている管理会社はそのスケジュールも決まっているので、一度問い合わせてみるといいでしょう。」(渕ノ上さん)
管理組合や管理会社は、マンション選びにおいて気にしない人も多いかもしれません。しかし、あなたの今後の暮らし向きに確実に影響してくるものなので、しっかり気を払っておくことをおすすめします!