7月31日~8月3日にパシフィコ横浜で開催されている楽天グループのイベント「楽天オプティミズム(Rakuten Optimism)2019」。「あなたの生活がどう変わる:ドローンと地上配送ロボット」と題した講演を、楽天の常務執行役員 社長室長インベストメント&インキュベーションカンパニー シニアヴァイスプレジデント・安藤公二さんが行いました。
講演では「手ぶらでバーベキュー」をコンセプトにした新たなドローン活用事例も動画で紹介していました。バーベキュー場でアプリから食材を注文すると、近隣のスーパーから食材をドローンが配送。アプリの画面では「ドローンが今どこにいるのか」といった配送状況も確認できます。「欲しい商品が空からすぐに届く。このような革新的なサービスを出来るだけ多くの人に体験してほしい」と、安藤さん。
過疎化した町や山間地、離島といった配送困難な地域で活用したり、運転免許を返納した高齢者の自宅に日用品を配送する、といった用途での利用が見込まれています。「こういった問題はすぐに解決しなくてはいけないと考えています。そのために我々は日本全国の自治体と連携してさまざまな実証実験を進めています。配送ロボットは地方創生に繋がると考えています」と、安藤さん。
2019年6月からスタートして9月末まで実施を予定しているのが、神奈川県横須賀市の離島、猿島でのドローン配送サービス。猿島はバーベキューや海水浴などを目的とした観光客でにぎわっていますが、これまで島にある商品は定期船で配送されるもののみであったため、バーベキュー中に食材が足りなくなってしまったような場合は買いに行ける場所がありませんでした。
今回のサービスでは、楽天のドローン用アプリから数百種類の商品を注文できるようにし、注文が入ったら対岸にある「西友」のスーパーからドローンで商品を届けてくれます。
さらに、別の発表も。ドローンと並んで楽天が2018年から開発に力をいれているのが「Unmanned Ground Vehicle(UGV)」と呼ぶ4輪を備えたロボットを使った無人地上配送。2019年5月には千葉県千葉大学のキャンパス内で実証実験を行い、学生が文房具や食べ物を注文すると、UGVが学生のいるところまで商品を届ける、というものです。
「UGVはまだ公道を走ることができません。政府と連携し、未来の宅配をいち早く実現するよう動いていきたいです。海外ではさまざまな無人配送が実用化されてきているので、日本でもその流れは必ずやってきます」と、安藤さんは話しました。
また、安藤さんは5Gとの連携について述べました。「現在のネットワークでは、ドローンにつけたカメラの画像をクラウド上に送って解析する、といったことができません。ですので、ドローン側で画像情報を処理したり、カメラの画像を人が確認して安全を確保する、といったことをしています。
ですが5Gになれば、すべての画像をクラウド上のAIに送って処理することができるため、ドローンには処理能力が不要になって軽量化ができて、着陸場所の安全を自動で認識できるようになります」。
実際に2018年に楽天生命パーク宮城で行った実証実験では、ドローンに設置したカメラによってスタジアムにいる観客の顔を正しく認識することに成功したといいます。
5Gの高速・大容量・低遅延のネットワークを使えば、より優れたドローンの遠隔操縦が可能になり、UVGも顔認証で荷物をカンタンに受け取れるなど利便性が上がり、時短にも繋がります。楽天が提唱しているテクノロジーによって、新しい地方創生の形が期待できそうです。
写真:楽天株式会社/合同会社西友